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のぞき部あついぶー!

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のぞき部あついぶー!
のぞき部あついぶー! のぞき部あついぶー!

リアクション


第6章 エロパシー


 偽テントには、かわいい女子がうじゃうじゃ集まっていた。
 チェリーバージン2号を担いだ阿国が、1人ずつ撮影していく。
 朝野未沙と未那、冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)月島 悠(つきしま・ゆう)麻上 翼(まがみ・つばさ)アルメリア・アーミテージ(あるめりあ・あーみてーじ)、ミュリエル・クロンティリス、佐倉留美、そして見たことのない女子も1人混ざっていた。
 元本職の巫女である阿国は、留美が貼った間違った着付け方のインチキポスターを撮って、思わず呟いた。
「下着つけないなんて、絶対嘘じゃのう……」
 しかしドキュメンタリー映画である以上、カメラマンが余計なことを言うのは許されない。黙って撮影を続けた。この映画がピンク映画になりませんように、と祈りつつ……。
 留美は、みんなにほとんど御神酒同然の「甘酒」を配って回る。
「さあ、みなさんどうぞ。甘酒はアルコール入ってませんから、仕事にも差し障りありませんわ。はい、どうぞ。はい、どうぞ」
「ありがとう。未那ちゃんも着替えの前に飲もうよ。寒いでしょ?」
 中身を知らない未沙は、留美から「甘酒」を受け取ると、未那にも飲ませてしまった。
「はえぇ〜。姉さん。なんだかぽかぽかしてきましたですぅ〜」
「もう、未那ちゃんはー。はいはい。脱ぐの手伝ってあげるからねー」
「ええっ。巫女さんの服は着られないけど、制服は脱げますですぅー」
「ほらほら。いいからいいから。どうしたの、くねくねしちゃってー」
 未沙も酔っているのか、脱がすと言いながらあちこち触りまくっている。
「あぁーん。変なところ触らないでほしいですぅー」
「あれー、おっかしいなー。うまく脱げないねー」
 未那の制服は脱げずに、ただただイヤらしくはだけていく。
 阿国がカメラをパンすると、モジモジしている悠が写った。
「やっぱり恥ずかしいよぅ。どうしよう……」
 パートナーの翼は「甘酒」をクイッと一口で飲み干して、未沙を呼んだ。
「未沙さん。こっちも手伝ってもらえませんか?」
「悠の着替え? いいよ、みんな一緒にやっちゃおう!」
「ええっ。翼、ちょっとどうしよう。私やっぱり帰るー」
 すると、「甘酒」のおかわりをみんなに勧めまくっていた留美が立ち塞がる。
「あら。この甘酒は仕事をする人に振る舞われたものなのに、仕事をしないで帰るのですか?」
「うう……そんなつもりは……」
 困ってる悠を、アルメリアが離れたところで見ていた。
「あの娘……蒼い髪に蒼い眼。りょうじちゃんにちょっかい出すなって言われたけど、あれがその悠ちゃんだな……ふふふ」
 アルメリアは、あきらめて服を脱ぎだした悠の前に行くと、じーーーっと見つめた。
「ええっ! な、なにい?」
 驚く悠に構わず、じっと見つめ続ける。
「べっつにい〜♪」
「は、はずかしいぃー」
 アルメリアはケータイを取り出すと、その隣でやっぱりモジモジしていたミュリエルを……パシャ!
「きゃあ! や、やめてくださいー」
「ミュリエルさんは、着替えないの?」
「私は、あの、巫女さんじゃないんで……」
「留美ちゃーん! ここにも甘酒飲んでおいて働かない女の子いるよーっ!」
「なんですって?」
 留美がギラリと視線を向ける。
「そんなこと、神様の前で許されませんわ!」
「だってー」
 アルメリアが巫女装束を手渡して尋ねる。
「モジモジしてるけど……巫女さんの格好がイヤなの? 見られたくないの?」
「えっと……お兄ちゃんになら見られてもいいんですけど……」
「じゃあ、写真撮ってあげるよ。ほら、留美ちゃんが着替えさせてくれるって……ね!」
「ええ。お手伝いさせていただきますわ」
 といつの間にか背後から服を脱がしにかかる。というより、身体をまさぐる。
「いやあん……」
 小夜子は1人で着替えていたが、どうも巫女装束の着方がわからない。
「はあ。困りましたわ。……未沙さん、手伝ってもらえませんか?」
「……もちろん! じゃあ、悠もこっち来て。ほらほら」
 もうすっかり確信犯の未沙は、未那と悠と小夜子の身体を触りまくる。
「あぁん。未沙さん。ちょっと……そこは関係なっ……」
 小夜子が身体をよじらせているのを、やっぱりアルメリアはじーっと見つめていた。
 と、アルメリアはテントの隅で静かに着替えている少女に気がついた。
「あれ〜? なんか見覚えある顔だな〜」
(え……バレた?)
 少女はおどおどしながら、アルメリアに背を向けた。
 アルメリアがそーっと背後から近づいて、わざとらしく声をかける。
「ねえ、あなた。そんな隅っこで何やってるの?」
「べ、べつに何でもねえ――ゴホンゴホン。何でもないわ。ただ、着替えてるだけじゃねゴホンゴホン。着替えてるだけよ」
「うふふ。かわいいねえ……和希ちゃん!」
 お金に困って働きに来たのぞき番長の和希だった。
「ば、ばか言えゴホン。わ、わたし、そんな名前じゃないわ。そんな人、知らないわ」
 まぎれもなく、和希だった。
 アルメリアは両肩をガシッとつかんで、顔をこっちに向けようとする。
 和希は恥ずかしいふりをしながら必死に抵抗する。
(うお! やっべえ! バカやめろ! 俺の顔を見るんじゃねえ!)
 と、そのとき――
「あれれーーー?」
 パンダ隊のファイリアが入ってきた。元々この偽テントは、パンダ隊がのぞき部をおびき寄せるために使うつもりだったのだ。
「みんな、こっち使ってたですかー?」
「いけないんですか?」
 ピンクな空間を見て、ファイリアはすぐに閃いた。おびき寄せる作戦を、このまま始めてしまえば都合がいいということに。
「ぜひ、使ってくださいですー。あー! ただ……女子のぞき部はいませんよね? 秋葉つかさはいませんよねー?」
 ファイリアは1人ずつ顔をチェックしていき、和希はますます小さくなっている。
(ぐひゃー! やばすぎるー! 俺は今日はただ働きてえだけだが、こんなところで見つかったら誤解されるぜー! あっち行けーっ!)
 アルメリアは、こそこそする和希を見てニヤニヤ。助けようとはしない。
 ファイリアは和希の肩をポンポンと叩いた。
「こんにちはですー。はじめましてですかー?」
(お、おわった……!)
 ところが、ファイリアは和希の顔を見ずに、踵を返して出入口に向かった。
 他のパンダ隊がやってきたのだ。
(たすかったあああ……)
 ウィノナ、チェルシー、美羽、理沙の4人が、縄でぐるぐる巻きにされた獲物、薫、ハーポクラテス、陽太の3人を引きずっている。のぞき部は108回の煩悩退散オシオキをされた後で脳みそはトコロテンになっていて、その上目隠しされているため着替え中の女子を見ることもできないし、番長にも気がつかない。
「んぱーんぱーんぱー」
 一難去ってまた一難。和希は仲間を助けられる状況で助けられないという新たな試練に耐えねばならなかった。
(うわっ! あいつらやられたのか……トコロテンじゃねえか! で、でも……わりい! 子供たちが待ってるんだッ!!)
 和希は巫女装束に着替え終わると、こそこそとテントを出ていってしまった。
 のぞき部の絆は、このままお金に負けてしまうのだろうか……?
 さて、未沙と留美の毒牙にかかったかわいい女子たちはほとんど全裸になっていて、阿国のカメラはもうまっすぐ捉えることができなくなっていた。それはもうほとんどピンク映画で、あつい部用に備えられたはずの魂サーモメーターが振り切って壊れていたのだ……!
「え、えろすぎじゃけんのう……」
 ファイリアは、ギュッと拳を握りしめた。
「これなら、のぞき部がやってくるですー! ……えっ?」
 握りしめた拳が、ふにゃっとゆるんだ。
 ウィノナがファイリアの大きな胸を背中からもにもにしているのだ。
「さあ、のぞき部出ていらっしゃーい。こーんなに胸が大きいのよー」
「ウィ、ウィノナちゃん……な、なにやってるですかー。やっ。やめっ。だめですっ。そこさわっちゃ……ああっ……!」
 ファイリアとウィノナも、ピンク映画の出演者になってしまった……。
 そのとき、外にはのぞき部の水上光がこそこそと匍匐前進で近づいてきていた。
(な、なんか……やらしい声が聞こえてくる……これがのぞき部の部活動か。ドキドキするよーっ!)
 のぞき穴はあと少し。
 体を起こして、穴まであとほんの少し……。
 と、そのとき。
「へ……へ……へ……へっくしゅん!」
 理沙がテントの中でくしゃみをした。彼女もノゾルギー持ちだった。
「その影にのぞき部がいる!」
 光はいきなりバレて慌てるが、ここが漢になれるかどうかの分かれ道だ。
(ボ、ボクは漢になるんだ……! 落ち着け。落ち着いてうまくやり過ごすんだ……!!)
 そして……ぴょこん。
 頭から猫耳が生えてきた。超感覚だ。
「にゃ〜。にゃ〜」
「あれー。おかしいな。猫アレルギーになったのかなあー?」
 見事!
 光は理沙を誤魔化しきった!
(やった! ボクもこれで漢だ! さあ、のぞくぞ!!!)
 そして……ついに、ついにのぞき穴から中を……
 見たッッッッッ!!!!
 新入部員の光が、いきなり入部初日に快挙を達成だッッッッッッッッ!!!!!
「ん?」
 光の目に写ったのは……目だった。
「んん?」
 それはよく見ても、やっぱり目だ。中から外を見ている目。すなわち、理沙パンダの目だった。
「アフォか!」
「うげっ!」
 ボッコーーーーッ!
 テント越しに顔面パンチを食らって……ぴくぴく。泡を吹いて倒れてしまった。
 当然、108回のオシオキを受け、光の脳みそは漢どころかもはや人間でもないトコロテンになってしまった。
「んぱーんぱーんぱー」
 森の中で、唇を噛み締めながら様子を見ていたのぞき部員がいた。
 偽テントを建てた周だ。
 1人でテントを建てた疲れから眠っていたのだが、さすがに目が覚めたようだ。
「くっそー。俺が建てたテントが、逆に利用されてんじゃねえか……!」
 しかし、罠だとわかった以上は安易に近づくことはできない。
 周は耐えがたきを耐え、偽テントに最も近い木陰から様子を窺っていた。
「むっ。あれは……!」
 偽テントの前には、あつい部のシルヴィオ、そのパートナーのアイシスがやってきた。
「いい天気だなー、アイシス!」
「そうねー、こんな陽気の日にはルカルカに会いたいねー」
 シルヴィオは洗面器に荒縄を入れて、湯通ししている。
 もの凄くわざとらしい会話によって呼び出されたルカルカは上手から登場し、一段とわざとらしく声を張る。
「はあ〜、ちょっとこの服キツいなあ。胸が苦しい……」
 巫女装束をまとったルカルカは、豊満な胸のあたりを撫で回すように触り出した。
「はあ〜。ルカルカ、なんかおかしな気持ちになってきちゃう〜」
 くねくねし始めた。
 周のスケベブラッドは本日も絶好調。ドッバドバ出て、足元の土から出てきたモグラが迷惑そうに去っていく程だ。
(くっそう! あのお姉さんと愛し合いたくなっちまうぜー。でも……ありゃあ絶対罠だ! のぞき部を舐めんなよっ!)
 しかし、体は素直だった。
 いつの間にか、ふらふらと前へ出ていた。
「はっ! 俺、何やってんだ、バカ!」
 慌てて戻ろうとするが、もう遅い。
 教導団の最終兵器乙女ルカルカにしっかりと服を掴まれてしまった。
「こうなったら、戦うしかねえ!」
 周の戦闘方法は、当然、いまだ成功した試しのない必殺技“おっぱいもみもみ”だ。
「お姉さん! 愛し合おうぜ!! おーーーーーーーーーーーーーーーっぱいぱいぱいぱい!」
 両手を前に突き出して、ルカルカのおっぱいをもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ……
 が、何故かその手は空気をもみもみしていた。
「なにーーーっ?」
 ルカルカは巫女装束から抜け出て、周の懐深くに入りこんでいた。
 そのまま肩を掴んで……ボゴオッ! 腹を痛打!
「うげっ!」
 苦しむ周のちんちんを……ドギャッ!!! 蹴っ飛ばした。
「うぎゃごぶどべえええええ!!!!!!!!」
 ルカルカは巫女服を脱いだが、きちんと下に真っ白なビキニを履いているので大丈夫だ。
「巫女脱げの術☆忍法もろ肌くずし!!! ふんふんっ!」
 鼻息荒く周の前に立ちはだかった。
 周はちんちんを押えながらそのセクシーな姿を見て……さらに痛くなっていた。
「うじゃぼごえどゅぜげえええ……」
「バカめ。覚えておくのね。あつい部の女忍者……微笑みの熱き女豹ルカルカよっ!」
「う……うう……」
 苦しむ周の前には、シルヴィオが荒縄を手に立っている。
「ファイファー!!!」
 そして、シルヴィオは周を荒縄で縛っていく。
「ったく、バカな奴だぜ。まあ、俺たちの芝居がうますぎたのかな。はっはっはー。鈴木周……お前もよくナンパするらしいな」
「けっ。俺のナンパは成功率99%だぜ」
「その1%が今回のルカルカってわけか? はっはっは。笑わせるぜ」
「うるせえ!」
「お前とはもっと別の場所で出会いたかったなあ……ところで、お前らの部長は今どこにいるんだ? 部長の首を取れば、もうこっちのもんだからな……ん? どこだ? 言え!」
「バカヤロウ。仲間を売るかよ……俺はもう一度裏切ったら人間失格なんだっ!」
「ふっ。過去に何かあったようだな。言わないなら仕方あるまい……」
 シルヴィオはどんどん縛っていくが、どうも縛り方が怪しい。よくわからないが、あまりMっぽさのない周には不釣り合いな感じだ。
 アイシスは、何やらケータイをいじりながら首を傾げていた。
「ねえ、シルヴィオ。やっぱり、この縛り方……何かおかしくないかしら?」
「別におかしくなんかないぜ。昔からこういうものだ」
「昔から?」
「そうだ。……縄文式だ。さあ、窯に入れてあつくしてみるかな」
 周の目の部分に、ぐるんぐるんに荒縄を巻き付けて目隠しすると、ちょいちょいっとルカルカを手招きした。
「ひゅうひゅう〜。ルカルカ、巫女服を脱いだときに水着を引っかけたようだな」
「えっ……ちょっと、見ないでよ……」
「ひゅう〜。こうすると……」
「やあん。何するの……だめっ」
「ふっふふ。壮観だなぁ……おい、そこのナンパバカ。見たいなら目隠しを取ってやってもいいんだぜ? ただし……部長の居場所を教えたら……だがな!」
 実際は、シルヴィオはルカルカに指一本触れてはいない。ルカルカはむしろ巫女服をせっせと着てるところなのだ。
 が、周のスケベブラッドは荒縄を真っ赤に染めていた。
「言わないなら、仕方ないですね。直接聞いてみましょう」
 アイシスが、ケータイを操作しはじめた。
 いつの間にか周のケータイを奪っていたのだ!
 そして、アドレス帳から部長を捜し出してかけた。
「さーて、どこに隠れてるのかしら………………」
 が、何度コールしても部長の総司は出なかった。
「もしかして……部長に見捨てられた可哀想な部員さんなのかしら〜?」
 そして、周は脳みそがトコロテンになって、最期の力を込めてのぞき部の独自スキル“エロパシー”を部長に送った。
(ぶちょう……きをつけろ……。てきは、ぶちょうを……ねらってる……ぜ)

 はたしてエロパシーは総司に届いたのだろうか……?