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王子様とプールと私

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王子様とプールと私
王子様とプールと私 王子様とプールと私

リアクション

「ウォータースライダーに行ってみたいわね!」
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)高根沢 理子(たかねざわ・りこ)も、同じくウォータースライダーへとやってきた。
「理子さん、こういうの好きそうですね」
「アトラクションは何でも好きよ。でもやっぱりこういう多少スリルのあるものの方がいいわね」
 そんな話をしながら歩いて行く陽一と理子は、同時にウォータースライダーに乗った。
「ひゃっほー!」
 思いっきりウォータースライダーを楽しむ理子を見ていた陽一は、理子と一緒だからきっと楽しさがもっともっと増しているんだろうな、と思う。
「これ、すごく楽しいわ! もう一回乗ってもいい?」
「ええ、何回でも」
 数回連続でウォータースライダーを楽しんだ後、今度は理子が流れるプールに興味を示した。
「流れるプールも流れが速くなっているのよね。ちょっと流されてこない?」
「面白そうですよね。流されましょうか」
 流れるプールでも、理子と陽一は目一杯楽しんだ。波に逆らうように泳いだり、あるいは何もせずに身を任せたり、波に乗って速さを競ったり……。
「楽しくて思わず休むのを忘れてたけど、ちょっと休憩にする?」
 理子がそう提案して、陽一と理子は二人でプールサイドへと上がった。と、二人の前をヴァレリアとキロスが楽しそうに歩いて行く。
「二人とも、デートを楽しんでいるみたいですね」
 陽一がヴァレリアとキロスの後ろ姿を見て呟いた瞬間。

「まてーーーーい!」

 水しぶきと共にザバアッとプールの底から、何者かが浮上してきた。酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)だ。
「ふたりともこの写真はいったいなに!!?」
 美由子が陽一と理子にビシッと突きつけたのは、陽一が自分のかき氷を理子に食べさせている写真だった。
「これって……これって……関節キスじゃん!!!!」
「そうだけど」
 一方の理子は「それがどうしたの?」とばかりに、しれっと答える。
「間接的とはいえキスはキス! 野外で人目も憚らずなんという破廉恥な! ふたりとも申し開きをするなら今のうちよ!!」
 と、美由子が息巻いたのもつかの間。
「!?……っ」
 みるみるうちに美由子の表情が余裕のないものへと変わって行く。否、元から余裕などなかったのだが。
「みぎゃあああぁああ!! あああ脚つったあぁあーーーーーっっっ!! おた、おた、お助けぇぇ〜〜〜〜〜〜〜……」
 絶叫しながら、水没していく美由子。
「…………」
 陽一は無言で、ペンギンアヴァターラ・ヘルムのペン太を美由子の元へと送り出した。
 ペン太は、無数のパラミタペンギンたちと一緒に美由子を引き上げた。
「あ、ありがたやありがたや……」
 救出された美由子は、先ほどまで大騒ぎしていたことは綺麗さっぱり忘れ、涙を流して感謝している。
 そのままペン太率いる無数のパラミタペンギンたちに運ばれて、美由子は温泉へと連れて行かれたのだった。