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【蒼空ジャンボリー】 春のSSシナリオ

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【蒼空ジャンボリー】 春のSSシナリオ
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リアクション

【パラミタ雀姫伝 〜そして伝説へ〜】


タシガンの酒場で行われている麻雀大会
【勝ち抜け★最強雀姫決定と〜なめんと】……勝負は苛烈を極めついに終盤
半荘・南一局目に進んでいた

 「く……ここでダブ南鳴かせられた影響が……計算外っ!」
 「早く打ちなよセラフィーナ……時の刻みはあンただけのものじゃない」

セラフィーナ・メルファ(せらふぃーな・めるふぁ)の苦悶の声に挑発する茅野瀬 朱里(ちのせ・あかり)

冷戦沈着をモットーとし、他の面子の打ち方の癖等を観察のちにデータを採取
更に【財産管理】による計算能力で相手の手牌やこれからツモる事のできる牌の確率を弾き出す
そんなセラフィーナの勝ちは序盤は様子見で犠牲にしたものの、中盤からは順調にすすんでいた

 「機械的と言う人もいますが
  ルールのあるゲームである以上こういう打ち方もまた正道。
  さて、腕試しのつもりではありますが、ここは勝ちに行かせて頂きます♪」

そんな言葉とともに東局の2戦をトップで終わらせていたのだが、流れは徐々に変わりつつあった
徐々に調子をとりもどつつあるのか
茅野瀬 衿栖(ちのせ・えりす)の迷いのないリーチ一発の和了を切り込みに流れが読めなくなり
そこを朱里に攻め込まれ、続けて振り込みを許してしまった

 (しかも初っ端から七対子だった……でも次は単騎じゃない?)

頭の中を計算が巡る、だがまだ茅野瀬コンビは手が読める……というか応酬のやり取りがきく
それなのになぜ流れが狂いつつあるのか……何となくその根源をセラフィーナは掴みかけていた

 「久しぶりの麻雀で中々言うことを聞いてくれなかったけど…
  ふふ、やっと感覚が戻ってきたわ……このまま牌を完全に付き従わせるっ!リーチ!」
 「……あ、それチーです」
 「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

朱里の調子よりも先に好調だった衿栖だったが
不意の琳 鳳明(りん・ほうめい)に手を潰され思わず声を上げる

 (一発が潰された!?たしか前半でも私のオヤパイを潰された……すぐに取り戻したけど……まさかね)

一抹の杞憂を払拭する衿栖……なんというか完全に【省士】モードである
だが、そんな彼女が気にした事はセラフィーナはにとって確信に近い警戒であった

 (鳳明くん……勝ちの勢いじゃないから流し気味になるけど
  相手の手を読み取ってる……!?そうか、拳法使いだから!!)

そこで、彼女のパターンに納得がいった
おそらく、拳法に長けている鳳明は相手の気を読み取っているのだろう
顔、気の流れ、目線……それこそセラフィーナの観察よりも緻密な情報量
本来ならその膨大さに混乱をきたすそれを感で処理している、それゆえ本人のしぐさに影響が出ない

 (……どうりで、表情がコロコロ変わるわりにカモになりにくいと思った……でも!)

読めない彼女の聴牌を警戒しつつ、目下の強敵を意識する
だが些細な計算の狂いは大きな波紋を狂わせる

 「周りに気を取られると足元をすくわれる……喰らえぇぇぇぇ!」

勝利を確信した朱里が声とともにガツンと牌列を一気に倒す!

 「ロン!18000……あンた背中が煤けてるぜ」
 「な……!?しくじった!!」

小手先でない朱里の和了に驚愕するセラフィーナ
完全に某漫画キャラが乗り移った体で朱里が彼女に言葉を放つ

 「七対子だけが朱里の武器と思わないほうがいい
  ……けど、それが武器でもあるけどね……あンた賭けるかい!?命を」
 「く……まだ勝負はこれから!そんな漫画キャラになりきった相手になんか負けない!
  最後に笑い真の女王になるのはこの私よ!」
 「……いや知ってるじゃん、それも凄い濃い漫画のセリフ……」


だが勝負は読めぬもの
尚一層、苛烈を極め、南三局で思ってもない者が逆転する

 「ツモです……裏ドラはないけど……」
 「ちょ……カンばっかりやってると思ったら!?」

衿栖が驚く中
良かったと安堵し、楽しそうに牌を見せる鳳明の前には、綺麗に同じ牌の組み合わせが複数
今度は朱里が驚愕の声を上げる

 「役満!?……って【四暗刻】……【四槓子】のダブルって……漫画じゃないんだし!」
 「え……凄いのこれ?」

どこまでも漫画にこだわる朱里を無視し自分の役に驚く鳳明
また大きな点数の流れの中
レアを通り越した流れに、改めて他の3人がこの頂上決戦のレベルの異常さを実感する

 「驚いた……さっきのセラフィーナのリーチ一発からの【メンタンピン三色ドラ×2】
  あれの巻き返しも感心したけど……それを上回ってるわ」
 「偶然です、絵をそろえるのって楽しいじゃないですか……揃うといいなと願ってるだけですよ☆」
 「そんな単純な願いを凌駕してるよこれ……世界の流れをモノにしてるとしか!」
 「そして中国拳法の究極は宇宙との一体化
  麻雀卓を1つの宇宙と定義し、己の気と合一し相手の手を読み場を制する……祖父の言葉です」

朱里の言葉ににこやかに答える鳳明
そこに超次元を見出す中、黙っていた衿栖が不気味に笑いだす

 「ふふふ……うふふふふふふふ……麻雀の本質は、牌を制し、御すること
  けど彼ら(牌達)は基本的に気まぐれ、こんな浮気をみせるとはね
  でもまだかろうじて点数は私がトップ!
  首根っこを掴んでも牌に言うことを聞かせる必要があるようですね……」

そう……勝負は最後の一局が残り、ギリギリの均衡の中最後の勝負が幕を上げる
その幕開けにふさわしく、衿栖が可憐に……そして猛々しく開幕の声をあげる

 「さぁ、これから私の親番、この半荘最後の親です
  【牌を統べる者】の真の力……最後の最後にたっぷり味わい朽ち果てるがいいです!
  最後に勝つのは…………!」


晴天に不可思議な落雷が落ちる中、最後の決戦が繰り広げられる
多くの観衆が見守る中、勝敗の行方はいかに!!









 「………ちょっと!?司会者のあちきを差し置いてなに締めくくってるの!?
  っていうか、ここまで来たら最後まで中継するものじゃないの!?」

完全においてきぼりを喰らったレティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)
誰とも知れない彼女の猛抗議にミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)が静かにフォローを入れる

 「しかたないですよぅ
  だって実はGMさん………麻雀知らないらしいですからぁ
  いろいろ調べて漫画読み漁って、知ってる友達にカモられて………ここまでが限界だそうです」
 「……………どうりで点数計算が全然ないと思った」