空京

校長室

【2020修学旅行】東西シャンバラ修学旅行

リアクション公開中!

【2020修学旅行】東西シャンバラ修学旅行
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リアクション

 
「気分はどうですか、エリザベートちゃん」
「気持ちいいですぅ〜。こういうのも悪くないですねぇ」
「も、もう少しゆっくり飛びませんか? いえあの、落ちそうだとかそういうつもりで言ってるわけでは――!」
 普段はテレポートでの移動がメインのエリザベートも、ドラゴンの乗り心地に気分を良くしているようであった。そのエリザベートを背後から抱きしめる格好の明日香は至極満足そうなのに対し、明日香の背中にしがみついているノルンは大分必死な様子である。
「……あら、エリザベートもこっちに来てたの。……そうね、ちょっと仕掛けてみようかしら。ドラゴンに手ぇ出そうとした報いを受けてもらわなくっちゃ」
「ああ、この肌触り、アメイジング……ん? どうしたんだい、紫」
 そこへ、同じくドラゴンに騎乗していた蓮城 紫(れんじょう・むらさき)が不敵な笑みを浮かべ、ドラゴンとの交流を楽しんでいたリオン・ボクスベルグ(りおん・ぼくすべるぐ)を焚きつけ、エリザベートにちょっかいを出さんとドラゴンの進路を向けた。
「明日香さんっ、後ろから別のドラゴンが迫ってきます。何か、あまりいい感じがしませんよ」
 しがみついていたノルンが、悪意にも似た意思を感じ、明日香とエリザベートに危機を伝える。
「なんですかぁ、もう。邪魔するのは許しませんよぅ!」
「ダメですエリザベートちゃん、今度騒ぎを起こしたらアーデルハイト様に強制送還だって言われたじゃないですか」
「うぅ、でもぉ」
「でもじゃないです」
「……分かりましたよぉ。何とか振り切ってみますぅ」
 明日香に諌められ、エリザベートがドラゴンを加速させ、後方から迫るドラゴンを振り切らんとする。
「うわっ! 今のもしかして校長……わ、後ろにもう一匹! 何あれ、レースでもやってるのかな!?」
「凪……まさかとは思いますが、参加したいなどとは言いませんよね?」
「あはは……バレた?」
「バレた? じゃないですよ……まあ、興味が全くないわけではありませんが」
 エリザベートとリオンの乗るドラゴンが通り過ぎていくのを目の当たりにした本山 凪(もとやま・なぎ)ランディ・イルス(らんでぃ・いるす)が、何事かを確認するため、乗っていたドラゴンを二騎の後へと振り向ける。
「はー、でっけえって思ってたけど、やっぱユグドラシルってでっけえなぁ! セス、今どのくらいの位置だろな?」
「そうですね、ちょうど4分の1、といったところでしょうか。……さ、この辺りで休憩といきましょう。お弁当と飲み物を用意してありますよ」
「おっ、サンキュー! クルズ、おまえもどうだ?」
 そんな中、ユグドラシルの外側をレッサーワイバーンのクルズと共に登っていたヤジロ アイリ(やじろ・あいり)セス・テヴァン(せす・てう゛ぁん)が、途中の枝葉が寄り集まっている箇所で弁当を広げて休憩していた。今のペースだと日没までに頂上に辿り着くのは難しい(そもそもワイバーンで数千メートルが限度である所に、レッサー種である)だろうが、行けるところまで行ってみようとアイリは考えていた。 
「イルミンスールは可愛い感じで、ユグドラシルは美人さんって感じかな?」
「そうそう、そんな感じだよね!」
 別の枝葉が寄り集まっている場所では、鷹野 栗(たかの・まろん)ミンティ・ウインドリィ(みんてぃ・ういんどりぃ)が互いの世界樹についてあれこれ談義をしていた。彼女たちの話は、他にもあるという世界樹のことにまで及んでいく。
「ねえ、ハグしていい? ……ううん、いいよね?」
 一通り話を楽しんだ二人は、今度はユグドラシルの幹を抱きしめるように大きく腕を伸ばす。もちろん、ユグドラシルの幹の太さを考えれば、ほぼ平らな壁に張り付いているようにしかならないのだが、気分はまさにユグドラシルとの抱擁。
「……トモダチ!」
「うん、あたしも、トモダチ!」
 栗を真似して、ミンティもユグドラシルに抱きつく。もしかしたら二人をおかしな目で見る人がいたかもしれないが、そんなことは気にしない。
(……仲良くなれたら、いいな)
 そんなことを思いながら、二人はそっと目を閉じ、ユグドラシルの鼓動を聞こうとする。
「しつこいですねぇ。アスカ、急上昇しますよぅ!」
 未だ後をつけてくるドラゴンを憎たらしく見つめ、エリザベートがドラゴンを急上昇させる。顔に当たる風圧に明日香が目を閉じ、後ろのノルンは半分落ちかけていた。
「もう、こんな所に来てまで寝ることないじゃない。だいたいこんな所にいたら、龍騎士に捕まっちゃうんじゃないかな?」
 ユグドラシルの頂上付近、人の身で行ける最頂上の付近では、そこで昼寝を決め込んだ高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)レティシア・トワイニング(れてぃしあ・とわいにんぐ)が呆れた様子で見つめていた。
「龍騎士ねえ。一緒になって昼寝とかしてくれる奴もいねーと、仲良く出来る気がしねーや」
「あ、起きてた。うーん、流石に昼寝はしなそうだけど、何か、今のところ戦ってる龍騎士とか、結構カッコよかったりするよね。本当の悪い奴って一体誰なのかなー?」
 レティシアの疑問に、しかし答える声はない。再び悠司から寝息が聞こえてくる。
「……このバカ悠司!」
 げしっ、と悠司の腹にレティシアの肘が炸裂する。
 
「そういえば、最近よく近くにいる……フェンリル君だっけ。あの子のこと、どう思ってるの?」
「どう、と言われましても……先程は助けていただきましたし、頼りになる方とは思いますが……亜璃珠様は何故それをお聞きになりますの?」
「何、ただの興味よ。かわいい妹のことじゃない。今は二人きりな訳だし、本当のこと、話してくれていいのよ」
「お、おい亜璃珠! ぜったいに手はなすなよ、ぜったいだからな!」
「……あら、そういえばちびがいたわね」
 泉 美緒(いずみ・みお)を誘い、フェンリル・ランドール(ふぇんりる・らんどーる)とのことなど聞いてみようとした崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)が、亜璃珠にしがみつくようにしている崩城 ちび亜璃珠(くずしろ・ちびありす)の存在にはぁ、とため息をつく。
「ぁ、そうだ美緒。せっかくドラゴンのってるんだし、「サラマンダーよりはやーい」って言ってみて。なんとなくだけど」
「え? あの、それはどういう意味でしょう?」
「付き合わなくていいわよ、美緒。さ、二人きりの時間はまだまだたっぷりあるわ。ゆっくりと聞かせてもらいましょう」
「おい、むしかよ! ……うわ、わるかった、わるかったから、手をはなすなってばー!」
 
「は〜、楽しかったですねぇ。アスカ、次はどこ行くですかぁ?」
「わ、私ちょっと休みたいです……」
「そうですねぇ。私も少し休みたいので、静かで落ち着ける場所なんてどうですかぁ?」
「アスカが決めるならそれでいいですぅ。では行くですよぅ」
 そんな会話を交わしつつ、エリザベート一行が街中へと消えていく。
 
「うわ〜、これなんだろね、博季くん!」
「な、なんでしょう……ここに手を置いて……何も起きませんね」
「リンネちゃんもやってみよ〜――あっ」
 雑貨屋の前で、大口を開けた人のようなオブジェの前に手を置いていた音井 博季(おとい・ひろき)の手に、リンネの手が重なる。
「り、リンネさん……」
「……あの、その、えっと……」
 互いの視線が重なり、顔が赤くなり、何を言っていいか分からないような様子を見せる二人を、遠巻きから気配を薄くするというマントを羽織った西宮 幽綺子(にしみや・ゆきこ)が微笑ましそうに見つめていた。
(あの子は相変わらず、すぐ赤くなっちゃうんだから。ここでビシッと言えたらもっとスムーズに行くのに。……でも、あの子らしいっちゃらしいわよね)
 それに、今日という日はまだ長い。予め博季から聞いていたコースを思い出しながら、幽綺子が二人の後を付いていく。
 
「ここ、教会かな? なんか雰囲気がそれっぽいね」
 空が青からオレンジに変わろうとしている頃、二人が辿り着いたのは、教会(といってもキリスト教のそれではなく、首都の名前にもなっているユグドラシルを敬う施設。エリュシオンにも宗教というものがないわけではないが、どれも団体レベルで、国教はなしと言っていい。ユグドラシルにはこういった施設がいくつか置かれていた)だった。
「リンネさん、少し寄って行きませんか?」
 そう言って、博季がリンネを従え、中へと足を踏み入れる。中はいくつかの椅子と、ユグドラシルを模したと思しきオブジェ以外は特徴的な物もなく、絶えず灯されている魔法のランプが、静粛な雰囲気を作り出していた。
「今日は付き合ってくれて、ありがとうございます、リンネさん」
「ううん、いいよ〜。リンネちゃんもい〜っぱい楽しめたし! 博季くんのおかげ、かな?」
 満面の笑みを浮かべるリンネの前で、博季はしばらくもじもじとしていたが、やがて意を決したようにすっ、と用意していた花束を差し出す。
 ――バラの花、愛を表現する花。幽幻草、思いが伝わると言われている花――。
「貴女の隣で、ずっと貴女と歩いて行きたいから。
 ……だから、僕は今より強くなります。いつか龍騎士さんたちみたいに、強く」
 ――大好きです、リンネさん――
「も、も〜、いきなりそんなこと言われちゃうと、何言っていいか分からなくなっちゃうよ〜。
 ……うん、嬉しいな。博季くんと一緒なら、もっと頑張れるよ」
 頷いて、顔を赤らめて、リンネがそっと口にする。
 「……私も、大好きだよ、博季くん」
 
(ま、上手くいってよかったじゃない、博季。……さてと、私はそうね……もうちょっと街の様子でも見て回りましょうか)
 二人の邪魔をしないように、幽綺子がそっと背を向けて街中へと消えていく。
 
 ユグドラシル内部にも、朝があって昼があり、そして夜は訪れる。
「……大分、暗くなってきましたね。そろそろ宿に戻らないと」
「う、うん……あーあ、明日には帰らなくちゃいけないのかぁ。残念だな……」
 ――せっかく、フィリップ君と一緒にいられるのに――
 フィリップ・ベレッタ(ふぃりっぷ・べれった)の言葉に、フレデリカ・レヴィ(ふれでりか・れう゛い)が残念そうに呟く。今日が終われば、明日の朝早くにはここを発たねばならない。
「仕方ないですよ、僕たちはあくまで修学旅行で来てるんですし。……それに」
「それに?」
 問い返すフレデリカに、フィリップが上空を見上げて呟く。
「ここは、月が見えないですから。きっとお兄さんも寂しがってますよ」
「あっ……」
 言われて初めて、このユグドラシルの空には、星も月も浮かんでいないことに気付く。
 そしてフレデリカは、フィリップがまだフレデリカの兄のことを気にかけていたことに嬉しくもあったし、一方で、
 ――ずるいなぁ。そんなこと言われたら、帰らなくちゃいけないじゃない――
 そんな、複雑な思いに駆られる。
「……えいっ!」
 だから、とりあえず抱きついてみることにした。
「ふ、フレデリカさん!?」
「……もうちょっとだけ、このままでいさせて……」
 フィリップの腕に抱きつくフレデリカが、そっと呟いて目を閉じる――。
 
(……ここで声をかけるのも、野暮というものですね。……怒られた時の言い訳でも考えておきましょうか)
 二人を邪魔しないように、ルイーザ・レイシュタイン(るいーざ・れいしゅたいん)が二人の視界から消えるように身を隠し、宿舎に遅れた言い訳を考えておく――。
 
 翌日朝、ユグドラシルから多くの生徒たちが、自分たちの学校へ向けて帰路に着く。
 この3日間で得られた大切な何かを、忘れないように、そっと胸に刻んで――。

担当マスターより

▼担当マスター

猫宮烈

▼マスターコメント

 
「あれ? 私の出番はなしですか!?」
「……君には失望したよ」
「これはどういうことだテメェ!? 俺を無視するたぁ、いい度胸じゃねーか!」
「王、シメるなら手を貸すゾ」
「トホホ、皆温泉に宴会、楽しそうだったな……」
「あーあ、せっかく船上ライブだって思ってたのにさ」
「お、落ち着け、仕方ないだろう」(……まあ俺も、名前だけしか出ていなかったが)
 
 ……え〜、どこからか出番のなかったNPCからの恨みの声が聞こえてくる気がしますが、マスターコメントを始めます。
 
 猫宮・烈です。
 まずこの度は、公開が遅れてしまい申し訳ありません。
 自分の我侭で執筆期間を延ばしてもらった割には、採用人数が前回と同じ(確か251組)とかね……(しょんぼり
 
 落ち込んでてもコメントが進まないので、以下に今回のリアクションの補足を記しておきます。
 
 ・ティセラ・パッフェル・セイニィ・リフルのユニット『TTS』にファンクラブが出来ました。
 また、『TTS』の対抗馬として、ミルザムのユニット『【M】シリウス』およびそのファンクラブが出来ました。
 ……だからといってどうなるわけでもないのですが、そろそろこれだけでシナリオのネタが出来るんじゃないかと思ってます。
 その時は、ファンクラブの番号の扱い(1番だけにするか、2番以降を作るか。個人的には全部1番でいいんじゃと思ったので、PCに代弁させてます。祥子さんごめんなさい)も別に考えたいと思います。
 
 ・秋葉原四十八星華が作ったロボは、秋葉原のアイドルロボ『ARB28』と壮絶なバトルの結果、相打ちになりました。
 ……これもこれで、上のネタに紛れてくるかもしれません。
 
 ・某事務所襲撃の時に出てくるのは、あくまで身代わり人形です。誰もお亡くなりになってませんよ。
 その人形も復活しましたしね。
 
 ・コリマ校長がデンパソングの影響で、テレパシーに『はきゅ〜ん』とか混ざるようになったらしいです。
 ……冗談です。天御柱担当のMSさんごめんなさい。
 
 ・薔薇学の生徒が、首都ユグドラシルの一角に『タシガンの薔薇』なる建物を残していきました。
 タシガンとエリュシオンは、タシガンが西側についたことで対立は決定的になったと思いますが、それとは別に庶民レベルでは交流はあるんだよ、としてあります。
 
 ・『女王に会わせて欲しい』『女王に言葉を伝えたい』系のアクションは全て失敗扱いにしました。
 女王関係の話は砂原MSのシナリオにてどうぞ。
 
 こんな所でしょうか。
 もし楽しんでいただけたのでしたら幸いです。
 
 それでは、次の機会もよろしくお願いいたします。