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アトラス・ロックフェスティバル

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アトラス・ロックフェスティバル

リアクション

 その日の“アトラスの傷痕”は不機嫌であるようだった。
 空は薄暗く、溶岩の鈍く赤い光が際立っている。
「ここ、前はイケニエの儀式とかやってたんだよね?」
 セーラー服の少女が、友人に尋ねた。
「ずっと昔のことだろ?」
 さして興味もなさそうな返事。別の友人はもうちょっと食いついてくる。
「ドージェがドラゴンを降服させるまで続いていたらしいわ。ドージェがパラミタに来たのは2015年だから、5年くらい前まではやっていたことになるわね」
「へ、へぇ〜……わりと最近だね……」

 三人はイベント会場に向かって歩いて行く。
 今年も生贄を捧げようとするものたちがいるとは知らずに……


TRACK 01

 ステージにタイムテーブルが張り出された。熱狂的なファンが詰め寄せて、興奮のあまり奇声を上げる。桜井 雪華(さくらい・せつか)がひょいひょいとその人混みをくぐり抜けて前に出る。
「ありゃ、なんか事前情報と違うなぁ。ま、ええわ」
 そういいながら出場バンドをチェックしていく。以下、雪華による各バンド寸評である。ちなみに順序はこの時点での人気によるもので、出場順ではない。


シャンバラの薔薇 今んとこ一番人気やな。音楽的には普通や。百合園あたりでやったらウケるんちゃう?
どら☆すれ パラ実のバンドだから、地元じゃ結構評判ええな。ただちょっとウケを狙いすぎや。
O−SUGI P−KOに対抗して作られたらしいで……出オチと思うけど結構ウケとるわ。
パラミタの妖精 アイドル二人組みのユニットやけど、なんかえらい人気で日本でデビューするっちゅう噂やけど、ホンマかなあ?
神世魁(しんせかい) わりと普通のガールズバンド……ってメンバーの半分が女装やないかっ!
だご〜ん様秘密教団 もともと『スイーツ&ゴシック』ちゅうバンドが出るって話だったんやけど、なぜかメンバーが全員ここに吸収されてんねん。リーダーがごっつい不気味や。
ホワイト・リリィ 百合園から来たお嬢さんがたや。コンサート会場かなんかと勘違いしとんな。
RIVe ここも百合園のお嬢ちゃんが作ったバンドちゅう話やけど、正直演奏は微妙やな……
トラック野郎一番☆ パラ実バンドやけど大時代やなぁ……まあこういうのもええんとちゃうか。本気らしいし。
ユイン帝国 アイドル路線が土壇場で本格HR/HM路線になったらしいわ。
@LAST あんまり評判になってないけど、実はここが一番レベル高いんやで。
モップ&ブルーム 急造バンドやけど、どうなんやろうなあ……ものっそい大型新人がいるっちゅう話やけど。
RIAJU 薔薇の学舎のバンドや。ジェイダスはんがパラ実の連中にホンモノの音楽っちゅうもんを教えるために送り込んできたっちゅう噂もあるで。
漢太鼓(おとこだいこ) バンドちゅうのかなあ、これ? ひとりで太鼓を担いできとる。
オレと下僕 断言するけどここが一番ヘタクソや。

P−KO ここについては余計なこと言われへん! 正直歌詞がヒドイとか言『てめえ! ヨーコさんをDisったな!!』

あーーーたーーーすーーーけーーーてーーーーーーー


 そのままどこかに連れ去られていく雪華であった。


TRACK 02

 好況に沸く日本でも、特に東京は世界的文化の発信地となっていた。東京はパラミタからもたらされるまったくの異文化が流入する場所でもあり、富と刺激が混じり合って混沌とした建築物、ファッション、そして音楽が生み出されている。
 朱 黎明(しゅ・れいめい)は久しぶりに東京を訪れた。自分のパートナーであるネア・メヴァクト(ねあ・めう゛ぁくと)が所属するアイドルユニット、『パラミタの妖精』に日本デビューの話が出たのだ。
 ここにくるまでにはいろいろな苦労があった。『パラミタの妖精』の存在をアピールし、ビラや応援グッズを作り、ネアにキマクでゲリラライブを敢行させたりもした。そうやってイベント開催前から、ひたすら知名度を高めてきたのである。
 そういうわけで、彼は後のことをプロデューサーの織機 誠(おりはた・まこと)に任せて、契約のために大枚はたいて東京までやってきたのだった。しかし探しても契約相手の会社が見つからない……


「ふむ、あまりうまくいかなかったようですなあ」
 出場バンド一覧に『パラミタの妖精』の名前を見つけて、コーギー犬姿のゆる族がぼそりと言った。アイン・ペンブローク(あいん・ぺんぶろーく)はライバルを減らすため、売れそうなバンドに偽のデビュー話を持ちかけていたのである。
 アインが真っ先に目をつけたのは、派手に売り込んでいた『パラミタの妖精』だったというわけだ。
「どうしたアイン?」
 吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)が声を掛ける。
「いえいえ、こちらの話でございます。
 お、最初の曲が始まったようですなあ」