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アリスからの緊急連絡

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バンダースナッチの最後
「っく! 氷術!」
 北都は氷術でバンダースナッチの足止めを図る。だが、凍りついてもバンダースナッチがその体を震わせると氷は一瞬で破砕されてしまう。
「一時しのぎでもいい! 氷術! 氷術!」
 北都は氷術を繰り返す。とにかく足止めが目的なのだ。
「ヒール! 怪我した人はこちらへ。すぐに回復させます」
 リオンはヒールで傷ついた味方を癒すと、その人物を前線から外させる。そうして前線が次々と交代していく。この状態では密集し飽和攻撃を仕掛ける以外になかった。
「幻の夜に消えなさい。吸精幻夜!」
 優梨子は遺跡から戻ってきて眠りの魔法に巻き込まれていたが、吸精幻夜でバンダースナッチの生命力を吸い取るという支援活動に徹底していた。
 おかげでバンダースナッチもだいぶ苦しそうである。全員が攻撃を終えるまで生きていればいいのだが……
「危ない!」
 ミルディアはバンダースナッチの攻撃から味方を庇うと、別の味方から回復の支援を受けてまた味方の盾になった。
「きゃう!」
「ミルディア無茶すぎるよー」
 パートナーのイシュタンがミルディアを気遣う。調教するためにもここで大怪我されたりしたらたまったものではないのだ。
「大丈夫……」
 だがイシュタンは無理やりミルディアを後方に引っ張ると味方の回復を受けさせた。
「アリス、自分たちに何かできることはありますか?」
 霜月はアリスに尋ねる。
「バンダースナッチは古代に暴れていた化物です。お願いします。皆さんの力なら倒せるはずです。バンダースナッチを倒してください」
「わかった。いくよ、クコ!」
「ええ!」
 霜月の氷術とクラヴ・マガが同時にバンダースナッチに命中する。バンダースナッチは悲鳴をあげる。かなり弱ってきている様子だった。
「サンダーブラスト!」
 ナイフィードが雷撃を放つ。
「はははぁ、てめえは俺様が倒す!」
 ナイフィードはそう言って雷撃を繰り返す。そのたびにバンダースナッチの悲鳴が上がる。
「いくぞ!」
「行くわよ!」
 功平とちひろはそれぞれの獲物で攻撃を繰り返す。互いにかばい合いながら確実にバンダースナッチを追い詰めていく。
「はああああああああああああ!」
 恭司は大太刀を振るってバンダースナッチに攻撃を仕掛ける。
「獣神、銃神!」
 翡翠は二丁拳銃でバンダースナッチを七面鳥撃ちにする。その翡翠の援護を受けて円が剣で突っ込む。
「いけえ、円」
「ええ!」
 ジャンプしてバンダースナッチに首に剣で切りつける。次第にバンダースナッチは弱り始めていた。
「いちる、行くよ!」
「うん、エルくん!」
 エルセリアといちるが連携して攻撃を仕掛ける。
「いちるは俺が守る!」
 エルセリアの追撃が飛んだ。
「なるほど、バンダースナッチはアリスが封印しているわけだ!」
 謎究明で謎の一端を解き明かした陽太。だが今は戦闘中。彼の活躍はもう少し先になる。
 佑也が刀で斬り込む。バンダースナッチの悲鳴が上がる。
「アリスちゃん可愛いですわ、可愛らしいですわ。ああ、素敵ですわ」
 アルメリアはアリスを抱き寄せると頬ずりなんかをしていたりする。
 さすがに【世界の可愛いは私の物】だけはある。
「にょ、にょ、にょ〜!」
 アリスが悲鳴を上げるがお構いなし。
「もういいだろ、そこら辺にしとけ」
 涼司の剣がアルメリアの首筋にかかる。
「ひっ……」
 アルメリアは小さく悲鳴を上げてアリスを解放した。
「ありがとうです〜」
「ああ、アリスちゃんが〜」
 アリスはすごい勢いでアルメリアから逃げていく。
「いけ! 『スィメア』」
 アシャンテが小銃『スィメア』をバンダースナッチに向けて発射する。
 ボロボロになった表皮のバンダースナッチにならどこを狙ってもクリーンヒット。バンダースナッチは悲鳴をあげる。
「シオンくん」
「はい」
「これは戦闘が始まってしまっているようだねえ」
「そうですねえ。使い魔からの報告でもそのように。司、どうします?」
「急いで合流しよう。バンダースナッチの秘密は皆で分け合うべきだ」
「はい」
 司とシオンは携帯でそう話をすると美術室へと向かった。
「これは、また硬いと言うか? 手強いですねえ」
 翡翠がそう言うと、パートナーの桂が
「まあ、一匹ですけど、しぶといですねえ」
 と呟く。二人は後方からダメージを受けないようにバンダースナッチを攻撃していた。
「ライトブレード!」
 優が必殺技を放つ。
「ヒール」
 零が怪我人を回復させる。
「喰らえ!」
 アーミーショットガンで聖夜が支援する。
「火術!」
 刹那が火術でバンダースナッチを燃やす。表皮には焼けただれたあとが出来ていた。
「爆炎波!」
「これで!」
 千歳が爆炎波で、イルマがライトブレードで攻撃する。
「わあああああ、マビノギオン、助けてええええ!」
 郁乃が覚醒した意識でマビノギオンに電話を入れる。
「今行きますから、そこから動かないでくださいね」
「うん」
 二人は意志を疎通させると動き出した。
「俺の純情を弄んだ罪は重いぞ!」
 馨が叫びながら轟雷閃を放つ。
「単におぬしが馬鹿なだけであろ」
 ルシファーはそう言って傍観する。
「うるさいやい!」
 馨は涙目であった。
「とつにゅー。吸精幻夜」
 由宇は最後の方になって登場するとバンダースナッチの精気を吸い取った。
「雷術!」
 アレンは雷撃でバンダースナッチにダメージを与える。
「火術」
 刹那は火術を放つとバンダースナッチを燃え上がらせた。スプリンクラーが作動して炎を消化する。
「轟雷閃」
 ルナも轟雷閃でバンダースナッチにダメージを与える。バンダースナッチはそろそろ息も絶え絶えだった。
「アリスちゃんは何を知っているの? 教えて、ねえ?」
 加夜は非武装でアリスにかたりかけるがこの戦場ではあまりにも邪魔な存在であった。
「加夜、どけ!」
 涼司が飛び込んでくる。
「あぶねえな、そんなところで何やってんだよ」
 というと加夜をお姫様だっこして戦場の外へと運んだ。
「あっ、えっ、ちょっと……」
 思いを告げる暇もあればこそ、涼司は再び戦場へ戻っていく。
 テスラはヒールで怪我人を治療すると、見えにくい目で夜の戦場を渡り歩く。
「どうしよう睡蓮、これだけ人いると俺らやること何も無いよ?」
「将人、一矢でもいいから敵に傷を与えるのよ」
「わかった。やってみる。うおおおおおおおおおおおおおお!」
「うわああああああああああああああああ!」
 将人と睡蓮は戦場へ飛び込むとバンダースナッチに攻撃を加えた。
「クロウ・グランツ、ランスで行くぜ! どけどけええ!」
 クロウはランスを抱えて突撃するとバンダースナッチの肉を裂いて奥深くまで槍を差し込んだ。
 嫌な感触がクロウに伝わる。
 そして大吾がハンドガンで攻撃すると、バンダースナッチは生き絶えた。
「ああー、自分のバンダースナッチが!」
 煙が情けない声を上げると、クーが
「これも運命だ、兄弟」
 と肩を叩く。
こうして第一幕の幕は閉じた。