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リア充密告作戦

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リア充密告作戦
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■□■2■□■ ケンリュウガーとセイニィへの密告

ヴァイシャリー湖船上のパーティー会場にて。
「それでは、これから、リア充密告パーティーをスタートします!」
アルバ・フレスカの宣言で、
拍手と歓声、悲鳴が沸き起こる。

「まずは、大勢から密告の対象となっていた、
武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)さんとセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)さんですが……」
会場からざわめきが上がる。
いきなりメインの2人を、アルバ・フレスカは血祭りに上げようというのだった。

如月 正悟さん、
鏡 氷雨さん、
紫月 唯斗(しづき・ゆいと)さん、
エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)さん、
風森 望(かぜもり・のぞみ)さん、
篠宮 悠さん。
以上の6名から密告が寄せられています。
もはや、言い逃れは不可能かと思われますが」
アルバ・フレスカの冷たい視線を受けて、
ケンリュウガーこと、武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)はセイニィとともに会場の真ん中に立つ。
「俺は逃げも隠れもしない……セイニィとともにお前らをぶちのめすぜ!」
「あなた達、あることないこと言いすぎなのよ!
グレートキャッツでぶっ飛ばすわよ!」
セイニィは顔を赤くして密告内容を必死で否定していた。

「待ってくれ、リンチ隊の皆」
そこへ、一人の男が現れる。
紫月 唯斗(しづき・ゆいと)であった。
「武神だけは俺とタイマンでケリを着けさせてくれ。
俺はそのためにも密告したんだ」
唯斗も、合コンではセイニィに告白していた。
牙竜は、すぐにその真意を理解する。
「紫月 唯斗……来ると思ったぜ。
密告のことは否定しないさ……俺はセイニィに惚れている。
惚れた理由は説明する必要はないだろ?
お互い、同じ女に惚れたんだからな……」
「ああ。武神、悪いな、つきあってもらって」
「ああ……わかっているさ。これ以上の語り合いはコイツで付けようぜ」
牙竜は、ケンリュウガーの姿になって龍骨の剣を構える
2人の気迫から、牙竜とセイニィを取り囲む者達が少しずつ後退していく。

「牙竜ちゃんとセイニィちゃんを助けるよー!」
影野 陽太(かげの・ようた)のパートナーである、
ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)は、
密告で報奨金を得たものの、良心の呵責を感じたエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)の連絡で、

「ノーン、申し訳ありませんが、
武神牙竜とセイニィ・アルギエバが、誰かに襲撃されているようなら、
助け出してあげてほしいのです。
(自分の身が危なくなったら構わず逃げてくださいまし)
よろしくお願いいたします」

というメールを受け取っていた。
「むしちゃん達、あの人達を追い払って!」
ノーンは毒虫の群れで、周囲の者を攻撃して、決闘の邪魔が入らないようにする。
唯斗のことは、牙竜が真剣に相手をしているので、あえて手出ししないノーンであった。
空気読めるえらい子であった。

「あなた達、バカじゃないの!? あたしの意思は!?」
しかし、セイニィは、不機嫌さをあらわにする。
「別に、あたしはあたしの気持ちのとおりに、動くだけで!
誰がす、す、好きとか!
決闘で勝った方とつきあうとかないんだけど!」
ツンデレのツンが発動したセイニィだが、
そこに、
「こっちへ」
と、シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)が手を引く。
シャーロットに導かれるまま、セイニィはそっと会場を抜け出した。

★☆★

一方、ノーンが守っている間に、
牙竜と唯斗は本気の戦いを繰り広げる。
「まぁ、解ってはいたんだよ。
セイニィがお前に想いを寄せてるって事くらい。
でもさ、惚れちまったんだから仕方ないだろう?
もう、頭では理解してるし納得もしてる。
でも、感情ではまだ燻ってるんだ。
このままもやもやしてるのは性に合わない。
だから武神、俺に勝ってくれよ
そうでなきゃ困るぜ。
俺の惚れた女を託すんだからな」
牙竜は、唯斗の繰り出す攻撃を避けずにすべて受け、それでもまだ立ち続けていた。
「なぜ避けないんだ……くっ、これがお前の答えかよ!」
唯斗は、さらに大きな一撃を見舞おうとするが。
「見えた……!」
牙竜は、唯斗の動きを捕え、一撃必殺の剣を振るう。
「この一太刀が……俺の雲耀!」
牙竜の龍骨の剣が、唯斗の身体を吹き飛ばす。
唯斗の身体は会場の壁に叩きつけられ、壁は大きくへこんだ。

「ああ、お前はやっぱり強いな。
……セイニィを頼んだ」
唯斗は、声を絞り出し、笑んで見せた。

「紫月……オマエの想い確かに受け取った。
俺が竜ならオマエは虎のような漢だな」

「武神、お前の護るモンは俺の護りたいモノでもあるんだ」
唯斗はなんとか立ち上がると、牙竜の手を取る。
「だからさ、半分背負わせろよ、ケンリュウガー」
2人の男が、血だらけになりながらも、お互いを支えるようにして立つ。
「俺は、竜の対となる者……虎の名を贈られた男」
唯斗は、宣言する。
「俺は大道を往く者! バイフーガ!」
虎の咆哮のような叫びが響く。
新たなヒーローの誕生の瞬間であった。
「改めてよろしく頼むぜ、先輩」
「ああ、共に、これから歩んでいこう……同じ志を持つ者として!」
「よかったね、牙竜ちゃん、唯斗ちゃん!」
ノーンは2人の様子を見て目を潤ませる。

しかし。

「おい、リア充なうえに男同士の友情だと……」
「皆がほしいものをまたもやゲットしやがって、許せん……」
「しかもこの状況で新ヒーローの名乗りを上げるだと……」
「美味しすぎるだろう、どういうつもりだ!」

撲滅委員会の面々が、武器を構えて、近寄ってくる。

「え? え? ここは、かんどうのばめんじゃないの!?」
ノーンはおろおろするが。
「ちょ、待て、俺達、もう、ボロボロなん……ぎゃああああああ!?」
「新ヒーロー誕生の回くらい決めさせてくれよ!? うわあああああああああ!?」
「きゃーっ、牙竜ちゃんと唯斗ちゃんが、
朝のチビッコ向けのばんぐみでは、ほうえいできないようなじょうたいにー!?」
牙竜と唯斗はボコボコにされてしまうのであった。

★☆★

そのころ、上空では。

ワイルドペガサスの前の方にセイニィを乗せて、
シャーロットが会場を脱出していた。

「男ってホント、バカね!」
そう言っているセイニィを、後ろに乗っているシャーロットが振り向かせる。
「セイニィ」
「え……?」

シャーロットは、セイニィの頬に口づけていた。

I didn’t know the meaning of love and
happiness until I met you.
(あなたに会うまで、愛と幸せの意味を知らなかった)

Only you can make me happy or cry.
(私を幸せにできるのも泣かせられるのもあなたしかいない)

Please smile at me for the rest of my life.
(これからの私の人生に、あなたの微笑みをください)

I love you deeply,and with all my heart.
(あなたを心の底から深く愛しています)

夜空に、思いを告げる英語詞が響き渡る。

「な、なん……」
顔を赤くしてうろたえるセイニィに、シャーロットは続ける。
「セイニィ、あなたにパートナー契約を申し出た時から私にとってあなたはかけがえのない人です。
あなたに私の剣になって欲しいと思っていますし、
私は何者からもあなたを護る盾でありたいと思っています」
その「剣」とは、「剣の花嫁」のことである。
シャーロットもまた、頬を赤く染めて、笑顔で、少しやきもちっぽく言う。
「たまには、私の事もみてくれると嬉しいのですけど」
「シャーロット……」
セイニィは、シャーロットの銀の髪をなでる。
「……今日はありがとうね。
あたしを連れ出してくれて」
「はい、お望みなら、いつでも」
目を逸らして、消え入りそうな声で言ったセイニィに、シャーロットは微笑んだ。