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全力! 海辺の大防衛線!

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全力! 海辺の大防衛線!
全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線!

リアクション

 結界の最終防衛ライン付近。ここに佐野 和輝(さの・かずき)が『親衛隊』や『飛装兵』に指示をし、『要塞化』によって作られた。メンバー達が使っている防衛拠点。つまりここを突破されるということは結界の外にナラカのモンスター達を出してしまう事と同義でもある。
「……今のところ問題はないようだ」
 和輝は全員から送られて来ている、情報を統括、全員が情報を共有できるシステム……総合情報分配システム。所謂、相互間データリンクシステムを構築し、その送られてきた情報を画面で見ながら、全体の戦況を把握する。
「戦略レベルで利用予定とはいえ、不具合探しには戦術レベルの戦闘は渡りに船だったな……」
「和輝、こっちも何もないみたいだねー」
 呟く和輝の背中に抱きつくアニス・パラス(あにす・ぱらす)。アニスは和輝の指示で『白鳥の群れ』を戦場へ飛ばし偵察を行っていた。その情報は『精神感応』によって和輝自身に送られている。
「何事もなく終わってくれればそれで良い……」
 和輝が言い終わる前に、画面からアラート音が鳴り響く。
「えっ!? なになに!?」
 びっくりするアニス。和輝はすぐさま画面の情報を見て、状況を把握。
「敵の奇襲……。それもこの拠点に三方向から攻めてきている……。各員戦闘準備! これより敵部隊の迎撃を開始する!」
 和輝が『優れた指揮』で各員に指示を送る。
「早速お出ましってわけね」
「退屈だったからちょうど良いわ」
 アラート音を聞きつけてスノー・クライム(すのー・くらいむ)松永 久秀(まつなが・ひさひで)の二人が顔を出した。
「スノー、個別指揮を頼む。久秀は兵の指揮を」
「了解よ」
「分かっているわ。任せなさい」
 
「うわー、これだけ沢山いると退屈しなくて良いわね」
 防衛拠点の前方を守るセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)騎沙良 詩穂(きさら・しほ)夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)ホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)ブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)
『こちら和輝。今のところ大型モンスターは見られないが、前方からの数が一番多い。注意して欲しい』
『こちらスノー。セレンさん達はまず敵の進行を阻止。詩穂さんと甚五郎さんは、後方にて一度待機を。セレンさん達の後退を確認したらそのカバーをお願い』
 和輝達から連絡が飛んでくる。
「了解よ」
「詩穂達に任せてよ!」
「みんな、来たわよ」
 ぞろぞろとやってくるスケルトンや落ち武者の群れ。
「……左右には岩場。前方には障害となるものはなし……ね」
 セレンフィリティが周囲を見回して地理情報を確認する。 
「今よ! 砲撃開始!」
「砲撃隊撃てー!!」
「わらわも手伝ってやろう」
 セレンフィリティが『ドッグズ・オブ・ウォー』で契約した傭兵団。その傭兵団の持つ、戦車や砲兵による砲撃。更にセレンフィリティの『弾幕援護』と羽純の『バニッシュ』で敵の突撃を阻止。だが、敵の前線を潰しただけでその後ろにいたモンスター達の突撃は止まらない。
「本当に数が多いわね……。あれだけやって止まらないなんて」
「どうするセレン」
「まだ距離はあるわね……。もう一度、砲撃してみましょう。羽純も良いわね?」
「うむ、いつでも構わぬ」
「砲撃隊、準備は?」
「はっ! こちらも準備完了しております!」
「よし……、砲撃開始!」
 再び、行われる砲撃。弾幕の嵐が敵に降り注ぐ。そこで、一度敵の進行が止まる。が、すぐに突撃に転進。
「……統率が取れているわね」
「指揮をしているやつがいるのかも知れないわね」
『苦戦しているようね』
 そこで、久秀からの通信が入る。
「どうやらリーダー格がいるようね。和輝、そっちから分からないかしら?」
『……まだ、把握出来ていない。アニス、偵察を』
『うん、分かったよ!』
『一度下がりなさい。久秀の兵が準備をしているわ。そこまで誘い出しなさい』
「分かったわ。みんな! 一時後退!」
「了解!」
 指示を受け、全員が後退を開始。それを確認したモンスター達は速度を上げて、追撃しようとする。
『ふふ、間抜けね……。一番隊、二番隊。前方の敵側面より攻撃開始』
 久秀の合図と共に、左右の岩場の上に久秀が和輝から借りた『親衛隊員』達が、現れ敵に対して一斉掃射をかける。その間に、後退を完了。
「みんな、平気?」
 待機していた詩穂がセレンフィリティ達の元へ。
「全然平気よ。戦略的撤退ってところだしね」
『こちらスノー。今、久秀の兵が敵の動きを止めているわ。全員で加勢して、一気に敵を叩いちゃって』
「了解だよ」
「ついにわしらの出番だな!」
「さぁ、攻めに転じるわよ! 全部隊突撃! 負けるんじゃないわよ!」
「おおー!!」
 態勢を整え、全員が敵に突撃する。セレンフィリティは『優れた指揮官』と『士気高揚』で傭兵団の士気を高める。
 久秀の兵のおかげで総崩れ中のモンスター達。
「気合だぁ!!」
 甚五郎が『グレートソード』を持って突撃。気合の限り振り回し敵を一掃していく。
「よっ!」
 ホリイが甚五郎に攻撃を仕掛ける落ち武者の攻撃をブロック。
「支援します」
 そしてブリジットがその敵を斬り倒す。
「邪魔よ!」
 セレンフィリティも傭兵団と共に敵の群れに飛び込み、『マシンピストル』を乱射。
「はっ!」
 背中合わせで立つセレアナが『龍の波動』、『等活地獄』、『鳳凰の拳』を駆使し、セレンフィリティの死角をカバーするように敵を屠っていく。
「やっ!」
 詩穂も『光明剣クラウソナス』で敵を斬り捨てていく。
「ほっほっほ、皆さん頑張りますねぇ」
 それを敵の上空から見ている謎の人物。
『ねぇ、和輝。空に緑色した変な人がいるよ? 見たことない姿してるけど』
『なに……。こいつは……! 皆、リーダー格のモンスターはその敵軍の上空!』
「上……?」
「え、上空?」
 詩穂とセレンフィリティが空を見上げると、全身、緑色の謎の人型モンスターがいた。頭は丸く尻尾がある。その姿たとえるなら……
「色違いのフ○ーザ!!」
「その名前、出して良いのかしら……? 例えとしては間違ってないと思うけど……」
 叫んだ詩穂に突っ込むセレンフィリティ。
「誰ですかそれは。私はドリアーザです」
「なんか、色々と間違って混ぜちゃって出来上がった感じのモンスターね……」
「だが、喋っているのだ。そこらへんのモンスターとは違うのだろうな」
 ある程度地上の敵を殲滅したのか、甚五郎達も合流した。
「まずはお見事と言っておきましょう。私のモンスター達をほとんど倒したのですから。ですが、もう貴方達は終わりです」
「あら、この数を相手に一人で勝てるとでも思っているのかしら?」
 セレアナの言葉に笑うドリアーザ。
「ほっほっほ、そう言っていられるのも今のうちですよ」
 ドリアーザが人差し指で岩場で銃を構えている『親衛隊員』を指す。その瞬間。ビームが発射。岩場一帯が大爆発を起こす。
「ぐわぁぁぁぁ!!!」
『こ、こちら。一番隊、先ほどのレーザーで一瞬にして多数がやられた! 撤退命令を……!』
『同じく二番隊。こちらも負傷者多数! 撤退命令をお願いします!』
『一瞬で久秀の部隊を……。良いわ。一度戻りなさい。後はあなた達に任せるわ』
「さぁ、今のをご覧になってまだそう言っていられますか?」
 見下すように笑うドリアーザ。
「ふん! そんなの気合でどうにかなる!」
 だが、甚五郎が即答。それが気に入らなかったのかドリアーザの顔から余裕の笑みが消えた。
「ほう……なら、その気合とやらでどうにかしてみるがいい!!」
 その言葉と共に甚五郎向けて放たれるビーム。それを、かわそうともせず、剣をバットのように構える。
「無茶よ!」
「気合があればこの程度……!」
 カキーン! と音が鳴ってもいいぐらいに見事に打ち返した甚五郎。
「打ち返せる!」
「……無茶苦茶ね……」
 そして、打ち返されたビームはドリアーザの右腕を貫通し、腕を消し飛ばした。
「こ、この……!」
 これで完全にキレたらしいドリアーザ。
「許さんぞ貴様等……!」
 右腕が再生。そして、そのまま右手を空に掲げると、魔力が収束。巨大な球を作り上げる。その大きさはどんどんと大きくなっていく。
「全部まとめて消し飛ばしてやる!!」
「ちょ、ちょっとさすがにあれは洒落にならないわよ……!」
「詩穂の出番だね! みんな下がってて!」
「……頼むわよ。全部隊後退!」
 全員が詩穂をその場に残し、後退。
「…………」
 詩穂は『ブローチ【アイシャの騎士】』を胸に抱き、最愛の人や、アイシャの事を思い浮かべる。
「……パラミタのみんなは絶対に守るから!」
 そのまま、『絶対領域』を発動し剣を構える。
「一人で止められると思っていのですか!! さぁ、消えうせなさい!」
 飛来する、特大の魔法弾。
「行くよ!!」
 更に詩穂は『サクロサンクト』を発動。真正面から魔法弾を受け止める。
「くっ!」
 少しずつ、地面へと近付く魔法弾。
「無駄な抵抗は諦めて、潔く消し飛びなさい!」
「まだだよ……まだ!」
 詩穂が『黄金の闘気』を発動。状態はまさにスーパー○イヤ人!
「詩穂は負けられないんだから!!!」
 そして、魔法弾を弾き返した。
「なに!? だが……」
 弾き返された魔法弾を地上に急降下し、回避するドリアーザ!
「ドリアーザ!!」
 だが、その眼前には『歴戦の飛翔術』で飛翔した詩穂。
「なっ……」
「これで終わり!」
 隙を与えず詩穂が『ソードプレイ』でドリアーザを斬り刻む。ばらばらになって崩れ落ちるドリアーザ。
 それを見たメンバーが詩穂の元へ。
「やるわね詩穂!」
「見事だ」
「えへへ……」
「殲滅も終わったし、これで完了ね」
 全員が終わったムードの中、後ろで動く影……。
『……まだだ! まだあいつは生きている!』
 和輝の通信。全員が振り返ったときにはすでに詩穂に接近して拳を振り上げているドリアーザ。
「あぶない!」
 ホリイが詩穂を押しのけブロック。思いっきり後方へ吹き飛ぶ。
「ホリイちゃん!?」
 ホリイはしっかりと受身を取り着地。
「ふぅ……さすがワタシ!」
 ホリイはしっかりと持っていた槍でガード。自身へのダメージは全くなかった。
「貴様等……」
 いつの間にか再生しているドリアーザ。だが、まだ完全ではないのかところどころ再生が追いついていない。
「バラバラにされたのにしぶといわね……」
「殺してやる!!」
 叫びと共にダッシュするドリアーザ。そのスピードは速くあっという間にセレンフィリティとの間合いを詰める。
「っ!」
 ギリギリのところで飛んでくるパンチを回避するセレンフィリティ。
「この……!」
 回避ざまに銃を乱射。だが、全て回避される。
「はぁっ!」
 セレアナがドリアーザへ接近し、『鳳凰の拳』を繰り出す。
「利かんぞ!」
 だが、それを全てガードされる。
「ぬん!」
 その後ろから甚五郎が剣で強襲。
「邪魔だ!」
 すぐさま振り返ったドリアーザの掌底で吹き飛ぶ甚五郎。
「ぐっ……!」
「喰らうが良い!」
 羽純の『バニッシュ』。だが、すぐさま範囲外に回避。
「行くよ!」
 スーパー○イヤ人モードの詩穂が『お引取りくださいませ』と『実力行使』による体術でドリアーザに挑む。
「……!」
 さすがのドリアーザも動きを止め、対抗する。
「どうやってアイツを倒す……?」
「ぬぅ……」
 詩穂がとめている間悩むほかのメンバー。
「再生できないように木っ端微塵に吹き飛ばす……?」
「当機ブリジットの自爆を承認しますか?」
 待っていたとばかりにブリジットが甚五郎を見る。
「……それで行くか」
「それじゃあ、ブリジットは……!」
「ご心配なく。これを」
 ブリジットはコアを甚五郎に渡す。
「これがあれば再生可能です」
「なるほど……なら、それで行ってみましょう! あたし達が足止めするわ!」
 作戦を決めたメンバーが動き出す。
「詩穂! 避けなさい!」
 目にも止まらぬ速さで格闘戦を繰り広げていた詩穂に向けてセレンフィリティが叫ぶ。
「砲撃隊! 撃てー!」
 それと同時に傭兵団による砲撃。
「っ!」
 咄嗟に離れる詩穂。
「ぐっ!」
 すさまじい爆撃で、身動き取れないドリアーザ。
「行くわよ!」
「分かっている!」
「行きましょう!」
 砲撃が止まると同時にセレンフィリティ、セレアナ、甚五郎、ホリイが四方向から攻撃。
「ぐはっ!」
 回避することも適わず、もろに攻撃を受け、膝をつくドリアーザ。
「詩穂!」
「任せて!」
 『光明剣クラウソナス』による『ソードプレイ』で再び滅多斬りにされる。
「みんな! 退却!」
 全員がすぐさま退却。ドリアーザが再生を始める。
「ブリジット……。自爆します」
 だが、ほぼゼロ距離によるブリジットの自爆が炸裂。大爆発を起こす。
「……今度こそやった……?」
 爆心地には、ドリアーザの姿はない。
『敵消滅を確認。クリアだ。ご苦労様、しばらく休んでほしい』
「やっと倒したねー」
 全員がその場に座り込みしばし休憩するのだった。