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【終焉の絆】時代の終焉

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【終焉の絆】時代の終焉
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 管制塔と発射台をはるか遠くに、障害物の一切ない基地へ入るのに身を隠す場所などない。
 何かあるとすれば、基地正面の重厚な門扉、侵入者除けの装置と警備用機晶ロボットくらいだ。
「キロスさん、絶対に私の前に出ないでくださいね。約束ですよ」
「わかった。けど、無茶はするなよ」
「……行きます!」
 二人が駆け出して基地へ一定の距離まで接近したとたん警報が鳴り響き、門扉で番をする警備用機晶ロボットが警告を発した。
『アナタ達ニ入場許可ハ下リテイマセン。タダチニ当施設ヨリ300メートル以上離レテ下サイ。警告ニ従ワナイ場合ハ排除シマス』
「アルテミス、目指すのは管制塔の二階だ」
「了解です!」
 迎撃態勢をとった機晶ロボットの銃口からレーザーが発射される。
 左右にかわし、二人は一気に門を飛び越えた。
 管制塔まではおよそ200メートルほどだ。
「まっすぐ行くぜ!」
「はいっ。──キロスさん、管制塔から攻撃きます!」
 直後、管制塔てっぺんに設置されている対侵入者防衛システムからレーザーが発射された。
 レーザーはキロスを狙っていた。
「おっと危ねっ……うおっ!?」
「ホーミングレーザー!? キロスさん!」
「無事だ。立ち止まらずに走るぜ!」
「入口付近まで行けば、レーザーの射程範囲外のはずです!」
 アルテミスとキロスは、追尾型レーザーをかわすために時に地面を転がったり、いったん後退しながら管制塔までの距離を詰めた。
 建物内に入り二階へ駆け上ると、管制室の扉の前に覆面のテロリストが待ち受けていた。
 警報や外での戦闘音により、彼らは迎撃態勢を整えている。
 二人が姿を見せたとたん、発砲してきた。
 とっさに身を引っ込めなければ風穴があいていただろう。
「……どうします?」
「撃つ」
「拳銃……借りてきたんですか。使えますか?」
「やるしかねぇだろ」
「私が気をそらせます。大丈夫、キロスさんなら必ず当てます」
「まあ見てろって」
 覚悟を決めてアルテミスが飛び出すと、間髪入れずに銃弾が彼女を襲う。
 防御のみを考えていたアルテミスは、弾道から巧みに身をかわすが狭い通路では長くもたないだろう。
 それを充分理解していたキロスは、次弾が撃たれる前に拳銃で一人を撃った。
 もう一人のテロリストの銃口がキロスを向く。
 アルテミスがキロスを隠すように滑り込んだ直後、発砲音が響いた。
 彼女の体が弾かれたように飛ばされる。
「アルテミス! このっ」
 キロスの銃がテロリストを撃ち抜いた。
「おいっ、アルテミス! 生きてるか!?」
「……は、はい……何とか。龍鱗化……あんまり効果なかったですけど……」
「警棒に当たったのか……良かった」
「キロスさん、ロケット発射……これで阻止、できますね」
「ああ。ここは俺達の勝ちだ」
 キロスはテロリストが事切れていることを確認すると管制室に入り、化学兵器を積んだロケットの発射を中止させた。
「ダリルに知らせねぇとな。──キロスだ。ロケット発射は阻止したぜ」

○     ○     ○


 ドカーン
 事務室のバリケードが爆弾で吹き飛ばされた。
「手に持っている物を、捨てろ」
 テロリストの声が響いた。
 照準機のレーザー光が優子の頭に当てられている。
 優子はまっすぐテロリストを見据えたまま、刀を床に落とした。
「神楽崎さん……」
 歌菜もシャベルを捨てて優子を庇うように前に出た。
 ガスマスクをしたテロリストが3人入り込み優子、ロザリンド、歌菜の頭に銃口を当てた。
「暴れているネズミは、貴様らの仲間か」
「……私達は女性3人で交渉に訪れた。荒事は望んでいない」
「歩け」
 そう答えた優子と歌菜、ロザリンドをテロリストは向かいの部屋へと押した。
 連れて行かれた部屋は、警備室だった。
 モニターに研究棟内各所の映像が映し出されている。
(ラズィーヤさん!)
 重厚な扉の前に、ラズィーヤの姿があった。
「ちっ、扉の前にもネズミが……ぐあっ!」
 突如、光が通過しロザリンドに銃口を当てていた男が倒れた。
「はあっ!」
「えいっ!」
 即座に、ロザリンドは体を回転させ、歌菜に銃を当てている男達を回し蹴りを決め、歌菜は優子を狙っている敵に、体当たりをして倒れ込む。
 次の瞬間、男達の身体を光の刃が貫く。
「無事か?」
 駆け付けたダリルの光条兵器による攻撃だった。
「大丈夫です。それより、皆さんがラズィーヤさんを……!」
 モニターに、攻撃されるラズィーヤの姿が映っていた。
「ダリルさん、トランシーバーで連絡とれませんか?」
 歌菜が通信の手段を探しながら、ダリルに尋ねた。
「いや、キロスはあそこには行っていない。奴は、化学兵器発射装置を止めに向かい、成功したそうだ。
 神楽崎、このキャンパスにはシャンバラを攻撃できる化学兵器が存在していた。テロリストの真のリーダーが起動し、シャンバラに照準を向けていた」
「そうか……っ、ラズィーヤさんの目的は……!」
 優子はラズィーヤの真意に気付いていく。
「こういった事態をも想定し、キロスを挑発したのか……っ」
「神楽崎さん、この装置で館内放送が出来そうです! 早く」
 歌菜が館内放送のボタンを押す。
「優子さん、お願いします」
 ロザリンドが優子を支え、マイクの前に向かった。