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リアクション
■ 愛する妻、そして娘と共に過ごす幸福な日常 ■
2024年のバレンタインデーは、御神楽 陽太(みかぐら・ようた)、環菜夫妻の第一子、陽菜が誕生して二週間後のことで、慌しく育児をする二人は、手作りのチョコを互いに用意する時間は取れなかった。
陽太が用意しておいたチョコケーキを、二人で食べることにする。
「ごめんなさい。イベント事には疎くて」
「そんなこと気にしません。
どちらにしろ、分け合って食べるんですから、ひとつで充分です」
決まり悪そうな環菜に、陽太は笑う。
どちらから、とか、幾つ、とか、そんなことは問題ではないのだ。
ひとつのものを、分かち合って、一緒に。
そちらの方が、ずっと嬉しく、ずっと幸せだ。
ひとつの幸せを、二人で分かち合って。
陽太と環菜は、示し合わせたわけでもなく同時に、同じ方を見た。
側のベビーベッドには、二人の愛娘、陽菜が、すやすやと寝息を立てていた。
二人の幸せは、今、こうして、目に見える形になって、二人と共にある。
「美味しい。あなたが選んだの?」
「実は、エリシアのお勧めです。
紅茶も、絶対この組み合わせで! と念を押されました」
紅茶の淹れ方まで陽太に念入りに指導して、それでも、この場を二人――三人だけにするエリシアの気遣いに、ケーキを食べながら、環菜はくすりと笑った。
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