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幸運の守護札を見つけ出せ

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幸運の守護札を見つけ出せ
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「どうしたの二人とも、すっごい白くなったねぇ」
“料理☆Sasaki@神社出張”の看板の下から、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は出店エリアを歩いていた北都とクナイに声をかける。
「守護札ハズレだったんですよ」
「一瞬、浦島太郎状態になるのかと思ったし」
 あはは、と北都とクナイは苦笑する。結構頑張ったわりにはこのザマ……と少々落ち込んでいた。幸い白い粉まみれになっただけで、老化はまぬがれたけれど。
「ハズレだとそういうものが当たるんですわね。お気の毒に……、これどうぞ」
 賈思キョウ著 『斉民要術』(かしきょうちょ・せいみんようじ)は二人に、蒸しあがったばかりの水餃子をトレイに入れて差し出した。
「自慢の餃子ですから。景気付けに」
「斉民気が利くね。出来立ては熱いので冷ましながらたべてくださいね。あ、彼氏さんと一緒なら冷ましてくれそうだからいいかな。そっちの方が熱々かも」
 雰囲気を察した佐々木はにこり、とした顔でさらっと言った。それほど仲良さそうに見えたのだろうか。
「特別に御代は無しでいいから、余分に守護札が取れたら分けてくれるかな」
 支払いは守護札、というわけだ。佐々木の頼みに、二人は頷く。
 ささきたちは店の方が忙しいので、守護札がどこにあるか探すに探せないのだ。
「美味しい餃子を頂いては断れませんね」
「もちもちしてて美味しいね〜」
「そう言えば、さっき来たお客さんがあの絵馬殿あたりで見つけたとか話してたんだけど、もう一度探ってみたらどうかなぁ」

 佐々木の勧めで、絵馬殿の周りを探ってみることにした。絵馬そのものも、確かお守りというか、願いを書いて祈願するものだろうに。
 木は森にという感じで、たくさんの絵馬の間に守護札を3つ見つけた。
 今度は危惧するように、覗き込まず下に落として中身を出した。今度は、守護札はぴくりとも動かない。
「あっ、たぶん当たりだよ!」
「何も……、無いのでしょうか」
 触ったらまた粉まみれになったりして、と禁猟区を張りつつ確かめてみるけれど、ハズレの様子はないようだ。
【厄除祈願】【学業成就】【神恩感謝】が当たった。
「しんおんかんしゃ……?」
「願いが叶ったらここの神社に報告して神に感謝する、というものですね。だるまの一つ目みたいなものでしょうか」
「面白いね。じゃあ僕たちの取り分ってこれでいいかなぁ」
「ええ」
 願いごとは何にしよう? 健康祈願とか夫婦円満とかなんでも選べるね、と話しながら、まずはお参りをすることにした。
 佐々木たちにあげる分は学業成就。



「(あ、あれ……、巫女さんって私も参加してていいんですよね? 衣装は同じようだし)」
白雪 椿(しらゆき・つばき)はそれを疑問に思いながら、箒で掃除をしていた。わざわざ貼り紙にも「女子だけでなく男子も!」と書かれていたし、神社の職業体験もしてみたいし……、と躊躇なくやろうと思った。
「椿さーん、こっち!」
「はい、なんでしょう?」
 駆け付けると、売り場が混んでいて、ヘルプに呼ばれたようだ。売り場の方では「安いよ〜買ってきな!」と親しげに客に話しかけている風森 巽がいた。
同じ男でもなんなくやれている人がいたんだと胸を撫で下ろす。
「はい、家内安全と健康祈願ですね。ありがとうございます」
 椿がにこっと優し気な笑顔と声で渡すと、客は2、3秒固まってから去って行く。
 どうしたのだろう。何か変なことでもしたのだろうか……、と思ってしまった。
 ちょうど休憩に入った。休憩室にあるお茶とお菓子は自由にしていいことになっているので、お茶を入れようとして缶を取ると、二つも守護札をみつけた。
 開けてみると守護札は【良縁祈願】【家内安全】だった。
「棚ぼたってこういうことでしょうか……」
そこでアゾートが「お茶ちょうだい」休憩室に入って来る。
「はい、どうぞ。熱いので気を付けて」
「あとがと。凄い綺麗な子がいるって客が騒いでたからちょっと覗いてみたんだけど、キミのことみたいだね」
「えっ、私ですか?」
「そうだよ? 自覚なかったんだね」
 客が少し固まってしまったのは、丁寧な椿の対応に見とれていたからだ。守護札はその頑張りに応えてくれたと思うよ、とアゾートは言うと休憩室を後にした。