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【『真相に至る深層』第三話 過去からの絶望】

沙 鈴(しゃ・りん)

 一万年以上前の、エリュシオン帝国はペルム地方の領海内。
 海中都市の両翼の片”蒼の塔”は、半魚人達の猛攻の最中にあった。

「……コーセイ?」
「あなたは休んでいてください」
 首を傾げるビディシエに、コーセイは歩みを止めずに階段を上っていく。 
「私の武器では、こういった場所では不利です。それにここは、半魚人からだけでなく、ビディリード様からも、紅族からも狙われている……」
 思惑はどうであれ、塔の起動を邪魔させるわけにはいかないのだ、と、愛弓をぎゅっと握り締めながら、コーセイは真っ直ぐに鋭い目線を塔の上へと向けた。その先にいるであろう半魚人、或いは他の戦士たちのことを思うと、単騎ではとてもではないが心許ないが、コーセイは塔の入り口へ立つことを迷わなかった。

「この弓にかけて、ここへは到達させませんから」