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至高のカキ氷が食べたい!

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至高のカキ氷が食べたい!
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●ぼくの、わたしの、契約した、パラミタに来た、理由

「別につまらなくなければ何でもいいぞ? わたしは人の面白い話を聞くのが好きだからな」
 氷精はそう言って総勢24名を見回した。
「中には護衛、という奴もいるだろう。だがここに来たということは何をすればいいか、分かっているだろう?」
 その言葉に一同頷く。
「じゃあ、じゃあ、アニスからお話しするよー!」
 そう言って手を上げたのはフード付きの真っ白なローブを防寒具代わりに来ている、アニス・パラス(あにす・ぱらす)だ。白いローブは袖口や裾を赤い布で色合いをはっきりさせていた。シンプルながら可愛らしく、そのどこかの魔導士を連想させるようなその衣装は、スノー・クライム(すのー・くらいむ)が風邪を引かないようにとアニスに着せたものだった。
 無邪気に笑みを浮かべながら、うーんうーんとどんな話をしようかと考えていたアニス。
「この話にしちゃおう! アニスと和輝が出会って契約する話!」
「えっ……?」
 アニスの言葉に戸惑いを隠せないのは佐野和輝(さの・かずき)当人だ。
 恥ずかしい過去をばらされてしまうのではないかと気が気でない。
「ほう。その様子だととても愉快そうだな」
 いや、まて、と止めたい衝動に駆られる和輝だが、そう愉快な話でもないはずだと彼は自分の記憶を掘り起こす。
「アニスはねぇ、本来なら“強化人間”って言うすっごい力を持つ人になるためにどこかの研究所で“作られた”んだよ!」
「最初からやけにヘビーではないか……。それで?」
 氷精はニコニコと笑いながら重い話をし始めたアニスに嘆息した。しかし、話を促す。
「だけどね、作った人から見たらアニスは“不良品”だったらしいんだ。だからアニスの最初の呼び名は不良品なの」
 それでも、とアニスは話を続ける。
「やっぱり、不良品は捨てられちゃう運命なのかな? アニスは雨が降ってる中外に置いてけぼりされちゃったんだ……」
「それは本当なのか?」
 氷精は、アニスにではなく、和輝に問いかけた。
「ええ、そうですね」
「そうなの! でもそんなときに和輝が通りかかってアニスを助けてくれたんだよ! ねー!」
 そう言って、アニスは満面の笑みで和輝を見上げた。
「ああ、そうだね」
「暖かい話ではないか」
 氷精は微笑を浮かべ二人のやり取りを見ていた。
「でも何かね、その頃の和輝って冷たい雰囲気出してたらしんだけど……」
「ちょ、それは……!」
 和輝の思い出したくない過去に触れそうになり、止めに入ろうとする。
「でもね、でもね。アニスにはね暖かくて優しい雰囲気に感じたんだ。だってさ、濡れちゃったアニスを、家の人に怒られるのを覚悟の上で家に招いてくれたし、それにね、暖かいご飯も食べさせてくれたんだよー!」
 しかしそれは杞憂に終わり、もうなんと言うか、アニスの妄想というか、感じたことというかそう言うのを遠慮なく吐き出してる感じだ。
「人は中々見た目によらないってことかね? この色男さん」
 そう言って、氷精はスノーをちらりと見た。
「な、何よ」
「いや、何でもないよ。精々頑張るといいんじゃないかね?」
 くすくすと氷精は笑い声を漏らした。
 そんな中もアニスの話は続いていた。
「やっぱり、色々あったけどアニスを、“不良品”じゃなくて、“アニス”として見てくれた初めての人が和輝なの!」
 笑みを絶やさずアニスはそういう。
「やはり個として見てくれる人がいるのはいいな」
「うん! だから、このとき思ったんだ。アニスは、和輝と出会うために生まれてきたんだって!」
「そうかそうか、それは本当に良かったな!」
 うんうんと、氷精は話を聞きながら大きく頷いていた。
「にゃはは〜♪ 言っちゃった♪ きゃ〜」
 顔を赤らめてアニスは両手で顔を覆った。
 その様子を見て、スノーも穏やかな表情でアニスを眺めた。
(最初はともかくとして、最後は和輝との惚気じゃないの、全く……)
 苦笑して、スノーは和輝を見る。
 最初は止めようとしていた和輝だが、最後の方はアニスの言うに任せていたようだった。
 楽しそうに話をするアニスを止めるのも気が引けたのだろうかと、スノーは勘繰るが自分もこの状況を楽しんでいるではないかと今更ながら思うのだった。