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夏の風物詩 花火大会開催

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夏の風物詩 花火大会開催
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 大会プログラムは進み、形物の部門へ。
 その端を飾るのは『セレン特製ラブラブファイヤー花火』。赤とピンクのハートが夜空に舞い踊る。
 打ち上げ台から見上げる二人。この花火はどうしても自分たちで点火したいとここに来た。ついでに他の点火も手伝うことにはなったが、そんな苦労は無いに等しい。
「綺麗に上がったわね」
「あたしとセレアナの花火よ? もちろんだわ」
 崩れることない二人の絆。それを象徴する花火が崩れることなどありえない。
「セレン、ありがとう」
 セレアナからついと出た素直な言葉に顔を染めるセレン。
「……まだ花火の点火は残ってるわよっ」
 今度は彼女が恥ずかしくて顔を背けた。

―――――

『うわあぁ! すげぇ!』
『とってもキレイ!』
 迦耶の呼んだ孤児院の子供達。
 ひまわり、風鈴、ラムネ瓶……次々上がる花火に歓声を上げる少年少女。
 極めつけは王大鋸の似顔絵花火。特徴的なモヒカンなどが上手く再現されていた。
「王さんの花火は。このお姉さんが作ってくれたんですよ」
『ありがとー!』
「えへへ」
 喜ぶ顔が間近で見れて嬉しい美羽。
「よかったですね美羽さん」
「うんっ!」
 この笑顔を続けさせたい。迦耶は今回のアルバイト料を孤児院へ寄付することを決めた。

―――――

 ルカルカとコードは二人で花火を眺めていた。
 土手に座り夜空を見上げていると、自然と言葉が口を出る。
「相手の事を深く知るに付けて相性が合わくなる事がある……初めて知ったんだ」
 ルカルカは黙ってその独白を聞く。
「感情や思考、信念、理想……そこに隔たりがあれば相手に受け入れて欲しいと願う、分かり合いたいと願う。だからこそ、すれ違い、いがみ合い、時には本の些細な事で衝突してしまう。それを何度も何度も繰り返したからかな……俺は“違う”と感じたんだ」
 コーデの心と相手の心。その繋がりを求めても、磁石のように拒絶する。
 実らなかった初恋。
 彼女が悪いわけではない。かと言って自分が悪かったのでもない。
 ただ、本当に馬が合わなかった、それだけ。
「今では好きでもなんでも無い、そう思ってる」
 コードの作った色彩千輪が打ち上げられた。
 光放つ色彩が、コードの笑顔に反射する。覗いたのは吹っ切れたように爽やかな表情。
「俺の気持ちを氷解してくれたのは親方の言葉。『広い世界を見れば新しい気持になれる』。本当にその通りだと思うよ。俺の作った花火があんなに輝いているんだ。俺だって輝くことが出来るはずだ。もう過去に縛られてちゃ駄目なんだ。新しく踏み出さないと」
 今まで耳を傾けていたルカルカも口を開く。
「そうね。一つ一つが色艶やかで、その波が沢山集まって織り成すあの花火みたいに、沢山、沢山、恋をしたらいいわ。それは全部コードの大切な糧になるから」
「色々な物の見方を知ることが出来た。いい経験になったと思うよ」
 先日まではまだまだ幼いと感じていた。『男子、三日会わざれば括目して見よ』。男の子の成長はある日突然一足飛びに訪れる。
 急に大人びた横顔にドキリとするルカルカ。
 もうコードを男の子と思うのは止めにしなければ。今や心も立派な青年だ。
 コードの子供時代が終わり、男になっていくのだとルカは悟った。