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終りゆく世界を、あなたと共に

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4.終わりゆく世界から目覚めても(エロ有)

「私が最後に見たいのは、羽純くんの笑顔なの」
 だから、腕によりをかけて料理を用意するね。
 遠野 歌菜(とおの・かな)月崎 羽純(つきざき・はすみ)にそう言いかけた時だった。
 羽純が歌菜の腕を掴んだ。
 ぐいと引き寄せられ羽純の腕の中に納まった歌菜は、気付く。
 羽純が……いや、羽純も、震えていることに。
(歌菜を失うなんて、絶えられない)
 羽純は強く願う。
(歌菜の笑顔を声を体温を、もう感じることができなくなるなんて!)
(私達……同じことを、考えてる)
 羽純と自身の心が重なっていることを感じ、歌菜はその背に手を回す。
 あとは、言葉は要らなかった。
 互いに互いを求めあい、抱き合い、唇を体を何度も重ねる。
 歌菜にとっては自身を強く求める羽純だけが、世界の全て。
 羽純にとっては自分に応える歌菜だけが、世界の全て。

「あ……」
 そして気づけば、歌菜は自宅のベッドの上で横になっていた。
 夢?
 いまのは、夢?
 安堵と共にこぼれそうになる涙を、慌てて抑える。
 羽純が心配したらいけないから。
(顔を、洗って来よう)
「あ……」
 ぐい、と、立ち上がろうとした歌菜の手が、引っ張られた。
 そのままベッドの中に引き寄せられる。
「羽純、くん?」
 驚いたような歌菜の顔が、羽純の目に入った。
 そして、そのまま瞳にキスされた。
 その時、羽純は気づいた。
 自分が、泣いていたことに。
 2人が、同じ夢を見ていたことに。
「あのね……」
 歌菜は告げる。
「世界が終わっても……絶対に私達は離れないよ。もし逸れてしまっても、絶対に貴方を見付けてみせる」
 羽純も、応える。
「ああ、俺も……必ず歌菜を見付けてみせる」
 そして2人は再びベッドの中へ――