ヴァイシャリーに存在する水上で発着陸できる複葉機……飛行艇の操縦を行う部活動です。
普段は大運河近くの運河を利用して訓練をしています。
所有飛行艇名『フォクシーガール』『ジリョM.7』。
ジリョはイタリア語で百合。
※飛行艇の登場シーン
【ヴァイシャリー観光マップ4Pより引用】
「飛空挺じゃなくて、飛行艇でいいなら近くに別の工房があるよ」
「飛行艇?」
「水上で発着陸できるようになってる飛行機のことさ。下部が船みたいな形になってて、フロートが付いてる。まぁ、飛行機だから、操縦は全く別モンだけどな」
【【学校紹介】貴方に百合の花束を9Pより引用】
空を泳ぐ複葉機の飛空艇の上で、風に髪をなぶられながら、少女は一刻一刻と移り変わる景色に見とれていた。オレンジ色に染まった街、迫る夜に点り始める灯り、熱を帯びる太陽の光、徐々に涼しさを増す空気と夜風。搭乗席を覆う風防は取り外されているせいで、視界を遮るものは何もない。
「夏の風が気持ちいいね」
少女に語りかけるようにか、それとも独り言か。八ッ橋 優子は新入生に目をちらりと向けた。
彼女は景色に見入っており、声もない。
「初めて乗る人は、みんな見とれるのよ。……今朝の貴方みたいにね」
くすり、と操縦席に座る優子の先輩は笑った。ヴァイシャリー飛行艇部所蔵が所持する二艇、実際に操縦できる部員はわずかだ。そして実際に空を飛ぶことも。部活動の殆どの時間は、練習に費やされてしまう。
優子が配った『飛行艇で体験飛行できます!』のチラシは、だから破格で。優子が乗せてもらったのも、今日が初めてだった。
「もうすぐ夜だから、これで最後の飛行かしらね。着水するわね」
飛行艇はゆっくりとヴァイシャリー上空を旋回しながら高度を下げる。