なし

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■前回までのあらすじ


　シャンバラ王国とエリュシオン帝国の間で、交換留学が行われるようになって暫く。
　先日の世界樹ユグドラシルへの叛逆によってジェルジンスク監獄に送られることとなった荒野の王　ヴァジラ（こうやのおう・う゛ぁじら）が“シャンバラの留学生を誘拐した”、という報告を受け、それに疑問を抱いた新皇帝　セルウス（しんこうてい・せるうす）が、秘密裏にキリアナ・マクシモーヴァをシャンバラに遣わせ、契約者達に協力を求めたのです。
　一方、イルミンスールでも死霊使いの少年ピュグマリオンと、その部下と思しき黒いローブ姿の男女四人が、ディミトリアス・ディオン（でぃみとりあす・でぃおん）の研究室を襲っていました。
『両国の間に不和の種を蒔く――』
　そんな名目を掲げた彼らに対し、契約者達は、イルミンスールから誘拐されたクローディス・ルレンシア（くろーでぃす・るれんしあ）たちを無事救出することに成功し。またジェルジンスクで暴走するブリアレオスを倒し、ヴァジラの救出に成功しました。
　しかし、シャンバラへ留学生として訪れることとなったヴァジラ達と行われた交流戦は、会場が襲撃を受け、氏無春臣大尉の元部下だという出雲しぐれによって、演習場の地下に埋められていた遺跡が起動を始めてしまったのでした――……


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【シャンバラ――ヒラニプラ旧演習場】


「構え！」

　龍騎士ディルムッドの声に、留学生の中から従騎士たちが前へ出ると、その盾を構えて、龍騎士達の屍の前に立ちはだかりました。
「よりによってここに転送ですかぁ？　ＫＹっていう言い方ってぇ、もう古いですっけぇ？」
　そんな彼らに守られながら、エリュシオンからの来賓であるカンテミール選帝神ティアラ・ティアラが心底面倒くさそうに言って肩を竦めると、ヴァジラも苦々しい顔で「足手まといを増やしおって」と息をつきます。
　その視線の先では、クローディスら調査団と、契約者達、そして彼らに助けられた留学生達の姿がありました。オケアノスの遺跡転送魔法を起動させたところ、この地点へと招かれるように飛ばされてきたのです。
「仕方がないじゃないですか？　緊急だったんだし、まさかこの場所ピンポイントだとは思わなかったんですよ」
「……揉めている場合か」
　フェビンナーレの反論に息をついたのはディミトリアスです。ステージから降りて、緊急の結界を張ったのですが、相手が魔法ではなく機械的なも――精神波の類であるため勝手が違い、術式の構築が上手くいかなかったため、抑えるのがギリギリといった具合のようです。
「……人の記憶の、“後悔”や“未練”を刺激する精神波だ」
　説明したのは、クローディスでした。
　この精神波は、人の心に中にある“後悔”や“未練”を刺激し、影響を受けた者は脳内に幻覚なようなもの――たとえば、別れた人の面影が見えたり、ＩＦが現実になったかのような、当人がその後悔や未練を解消するために必要と感じている情報――を直接書き込まれ、それによって得る幸福感、達成感、開放感などから生じるエネルギーで肉体組織を塩へ変化させてしまう、という恐ろしいものだそうです。
「なんだってそんな物……」
　コンナンドが呟きましたが、今はそれに言及する余裕はありません。放って置けば、溢れ出した精神波は会場の外まで及んでしまいかねないのです。
　そんな中。
「だから、ティアラの出番なんですってぇ……―――！」
　ずい、と前へ出たティアラの口から、マイクを通して『歌』が迸りました。他者の脳を揺さぶるティアラの歌は精神波を相殺して響き渡ります。ひとまずはそれで押さえ込めそうでしたが、問題はまだ幾つもありました。邪魔になるティアラを狙って、龍騎士達のアンデッドが接近してきているのです。ディミトリアスの結界は、精神波から一同を守るために張るのが精一杯のため、従騎士達と共に接近を阻まなければなりません。
　そして――今は余波が漏れているだけの状態ですが、本格的に起動した場合、ティアラの全力でも押さえ込めるかどうかは判らないのです。
　アンテナを破壊すればいいのではという意見も出ましたが、稼動直後とは思えないエネルギーから考えて、動力を供給している存在の可能性があり、また破壊することで余波が思わぬ拡散をする危険性があるのです。
「――となれば、大元を潰してしまう他無かろうの」
　そんな中、唐突に声がしました。受け取っていた結束の指輪のおかげで、合流を果たせた壱姫です。どうやら、氏無から命令を受けて契約者達の案内役にやって来たようです。とはいっても、施設そのものを知っているわけではなく、あくまで氏無の居場所を感知できるだけで、実際の案内役は氏無のようです。
　それぞれ、自身の行動が決まり、頷きあった一同が、それぞれ行動に移そうとしたその時――……唐突な爆発音が響きました。
　ヴァジラがその魔力を伴った一撃で強引に地面を抉ったのです。そうして、遺跡の天井もろとも突き破って地下へ降り立ったヴァジラは、精神波の影響を危ぶむ一同に「余には後悔も未練もありはせん」と心なしか苛立たしげな様子で鼻を鳴らしました。

「――行くぞ、時間が惜しいのだろう」

はじめましての方は初めまして
二度目以上の方は、またお目にかかれまして光栄です、逆凪まことと申します
さて今回が当シリーズクライマックスとなります！

と、言うわけで今回も前回と同じく、マスターコメントでの情報は最小限にしております
ガイド中、前回リアクション中にヒントは散りばめられております
蒼空のフロンティアにては、こういった込み入ったシナリオをするのは恐らくこれが最後となりますので
どうせなら全力で挑んでいただこうということで、試みております
その分、判定が厳しくなる部分もあり、当然ながら失敗エンドの可能性もありますが
含めて挑んでいただけましたら幸いです！

とは言え、基本的に「何をすればいいのか」は全て今回ガイド中、またサンプルに記載ございますので
この回が初参加！　ただ戦いに来ましたよ！　も大歓迎でございます
（初回参加の方は、観客として来ていた、等、ステージ側からのスタートとなります）


※注意※
今回のシナリオでは、継続参加者の一部に特殊なルールが適応される方がいらっしゃいますので、下記項目をご確認のうえ、アクションの参考にしてください
また今回で、全員とは限りませんが全三回の総評としての称号を付与させて頂く予定です
ただし、アクション内容によってはペナルティ称号となる可能性があります
（勿論、そちらを狙っていただいてもＯＫです）

※精神波について
【機晶姫】【ギフト】は精神波に耐性があります
逆に【強化人間】は若干影響を受け易くなっています
スカーレッドの側にいるか、ティアラの側にいる限り影響は殆ど受けませんが
離れすぎ、影響を受けると“後悔”や“未練”の記憶を刺激され
それを補完しようとする幸福感に囚われてしまい、足が鈍っていき塩化がはじまります
塩化が進行しすぎると治療魔法では回復しません
遺跡内は本来はシールドが張られていて影響外の筈なのですが
殆ど暴走に近い起動のさせかたのため、幾らかの影響は免れないようです

【旧演習場概要】
楕円形のスタジアムのような形をしています
中央は、人一人分ほどの高さに盛り上げられた、円形のステージのようなものがあります
その円周に沿って八本の柱のようなものが立てられ、ステージ上には中央から十字の位置に立方体状の障害物が配置されています
が、現在それら全てからアンテナのようなものが伸び、ステージ中央から突き出した細い塔のようなものと連動しているようです

観客席に使用されていたのは、３メートルほどの高さに作られたブリッジです
角度が変化した時点で並んでいた椅子は全て滑り落ちてしまっています
その床面は滑らかで輝きを帯びており、いわゆるパラボラアンテナの反射器のようなものと思われます


【演習場地下遺跡】

地下の遺跡は基本的にヴァジラのこじ開けた一箇所からのみ侵入できます
降りた地点から十字路となっており、迷路のような構造になっています
見取り図などは存在していませんが、クローディス曰く遺跡は地下三階までの構造となっており
地下二階は広い通路が制御室を挟んで二本あり、制御室から地下三階へ降りれるそうです
地下三階には動力室があり、動力炉が中心にあり、地上の発射装置と繋がっているそうです
階一面が動力室となっていますが、実際に制御室から入れるのは動力炉周りの機材が入り組んだ一画のみだということです
動力炉はイコンの装甲と同レベルかそれ以上の硬さをしているとみられます


●警備システム
遺跡の起動と共に、眠っていた警備システムが起動しています
そのため、道中を以下の警備システムが阻んでくると思われます

▽小型機晶ロボット“スパイーダ”　（地下１階の通路を巡回）
蜘蛛の形をした自律型の多脚機晶兵器です
熱源・アイセンサーにより侵入者を確認次第小銃で発砲してきます
装甲はさほど強くは無いものの、数が多いです

▽機晶ワーム　（地下２階の大通路を巡回）
浮遊する頭でっかちの蛇といった形の大型機晶兵器です
Ｍサイズイコン級の大きさをし、泳ぐように空中を移動します
熱源・アイセンサーにより侵入者を発見次第接近し
巨大な顎で噛み千切るか、喉にあるレーザーで攻撃してきます
数は少ないですが、装甲は相応に硬いです


【継続参加者様のスタート地点】

▽会場にいた→客席・ステージ付近問わず同じスタートとなります
▽遺跡にいた→ステージ近くへ転送されていますので、そこからのスタートとなります
▽敵側にいた→敵ＮＰＣの側からスタートできます
▽それ以外にいた→合流は遅めになります


【登場ＮＰＣ】
◆：アクションをかけることができ、移動、戦闘など一緒に行動できます
★：アクションをかけることができますが、移動、戦闘など行動を共には出来ません
▲：直接アクションをかけるのが難しい状態にあります

※リストにいないＮＰＣであっても、第三回までに登場しているＮＰＣ、また逆凪のマスターＮＰＣへのアクションが可能です
ただし、アクション内容によっては呼び出し等添えない場合もあります

【ステージ付近】

◆ティアラ：
ステージ付近で熱唱中
歌の力で精神波を打ち消してくれています

◆ディルムッド：
ティアラの近くで従騎士や龍騎士候補生を指揮しつつ守っています

◆ディミトリアス：
結界を張ってますが、防御対象が不得手な分野のため
魔力で無理やり機能させているため範囲、効果共に限定的です

◆留学生達：
殆どが騎士候補生、並びに従騎士です
ティアラや一般留学生を守る盾となっています

◆クローディス
治療を受けたため大分回復しており、移動は可能です

◆コンナンド、フェビンナーレ
転送の際一緒にやってきた、「ソフィアの瞳」調査団のメンバーです
ディミトリアスの結界のフォローをしています


【遺跡サイド】

◆ヴァジラ：
動力室に向かいますが、やや怒っているようです
強烈な破壊力を持つ魔法攻撃を持っていますが、破壊力が強すぎる側面があります

◆キリアナ：
ヴァジラと共に行動します
基本的にはヴァジラの警護と監視です

◆スカーレッド：
ヴァジラたちと同行します
彼女の持つ特殊なアイテムによって精神波が無効化されています
が、そのため彼女自身は戦闘に参加できません

◆壱姫：
氏無のパートナーで、葦原かぶれの悪魔です
結束の指輪を持ち、氏無の位置を感知することができます

▲氏無：
負傷しています
遺跡の中のどこかにおり、移動中です

▲アーグラ：
氏無と共に移動しています


【会場外】

★金鋭鋒：
基本的に会場の外で護衛と共に待機し、関与しません

★観客達：
シャンバラ、エリュシオン両方の観客がいます
会場の外に避難していますが、状況は余り理解していません

【登場ＮＰＣ／敵サイド】

●出雲しぐれ／ピュグマリオン
死霊使い、または屍術士と名乗り、エリュシオンの留学生ピュグマリオンの屍を操っています
しぐれ本体の身体は崩壊してしまっています
ピュグマリオン自身は戦闘には向いておらず、暗黒系の魔法を操るのみです
遺跡の中のどこかにいます

●ローブ姿の三人
・大柄の男……怪力で、篭手をはめた拳での接近戦を行います。素早さはありませんが頑強です
・細身の男……ワイヤーを使った攻撃をして来ます。前へは出ず、他の三人のサポートをします。
・小柄の女……非常に素早い刀使いです。力はそこそこですが、手数と速さで接近戦を行います。


一部特殊な立場の方

今回のシナリオでは、氏無たちのフォローが殆ど受けられない状態となっております
そのため、前回、またはこれまでで、下記リストＮＰＣの関係称号を贈られている方は
彼らの権限（関係者や本人への協力要請や情報開示等）を、一部利用することが出来ます
ただし、利用できるのはその関係性とそのＮＰＣが持つ権限で可能な範囲であり
それ以上を行使しようとした場合や、問題を発生させてしまった場合は
失敗、最悪の場合ペナルティーが架せられる可能性がございますので、利用の際はご注意ください
※帝国側ＮＰＣへの要請等については判定は特に厳しくなります

【ＮＰＣリスト】（カッコ内のＮＰＣは含まれているものとします）
セルウス
ドミトリエ
キリアナ
ノヴゴルド（ランドゥス）
ティアラ（ディルムッド）
エカテリーナ
ラヴェルデ（アベル）
氏無
スカーレッド
クローディス（コンナンド、フェビンナーレ）
ディミトリアス


　それでは、長々となりましたが、上記情報を参照にぜひ、挑んでやってくださいませ
　皆様のアクションをお待ちしております！
　

・【動力室へ向かう】

・【ティアラを手伝う】

・【その他】