なし

　あなたの目の前には、樹高５００メートルにもなる『世界樹イルミンスール』、その中に建てられた『イルミンスール魔法学校』の校舎がそびえ立っています。
　そして周りには、あなたと同じく真新しい制服に身を包んだ生徒たちが、これからの学生生活に期待と不安を抱きながら立っています。
「ようこそ、イルミンスール魔法学校へ！」
「うわわ、リンネ、落ちるんだな～」
　中から、ホウキにまたがった少女とホウキから落ちそうになっているクマのような生物が飛び出してきました。空中で宙返りを行いあなたの前に降り立った少女の横へ、振り落とされたクマがむぎゅ、と音を立てて地面に落ちました。
「偉大な魔法使いにしてみんなの頼れる先輩、リンネ・アシュリングだよ☆」
「ボクはパートナーのモップス・ベアー、ゆる族なんだな。リンネ、嘘はよくないんだな――」
　ツッコミを入れたモップスが、黒焦げになってぷすぷす、と音を立てています。
「これからリンネちゃんがこのイルミンスールを紹介しちゃうよ！　……でもでもぉ、普通に紹介するだけじゃ面白くないよね～」
　不敵な笑みを見せたリンネが、指を高く天に突き上げ、宣言するように言葉を発します。
「今日はみんなと一緒に、かくれんぼをしたいと思いま～す！」
「リンネ、子供じゃないんだからかくれんぼなんて子供のすること――」
「子供子供ってうるさいよモップス君！」
　モップスを魔法で黙らせたリンネが、説明を続けます。
「ルールは簡単！　リンネちゃんに見つからないように、イルミンスールの中を逃げ回ってね。ここには魔法の研究やってる施設とか、好きなだけ魔法がぶっ放せちゃう修練場とか、後はリンネちゃんも利用してるカフェテリアとかあるから、逃げる場所には困らないよ。……もしリンネちゃんに見つかっちゃったら、その時は覚悟してね☆」
　炎を掌に具現化させるリンネの横で、モップスが補足するように言葉を発します。
「研究施設には、魔法の研究に使う様々な道具や素材が置いてあるんだな。その中には取り扱いを間違えると爆発するものもあるから気をつけるんだな。カフェテリアは吹き抜けになっていて、風と日光が気持ちいいんだな。お姉さんの淹れるコーヒーは美味しいんだな。修練場には鎧兜に盾、障害物なんかがあるんだな。実践の場だからといってリンネに攻撃してみるのは止めた方がいいんだな。リンネを本気にさせると怖いんだな。この前も研究施設を一つ吹き飛ばしたばかり――」
「最後まで逃げ切れた人にはモップスからプレゼントがあるよ！　見つかっちゃった人も、かくれんぼが終わった後にカフェテリアで歓迎パーティーをするから、最後まで楽しんでいってね！」
　リンネの言葉に、モップスの返事はありません。凍らされていて何も話せないのです。
「じゃあ早速始めるよ！　い～ち、に～い、さ～ん……」
　あなたと他の生徒たちは戸惑いますが、ともかく黒焦げにならないためにも、隠れる必要があります。
　こうして、かくれんぼという名の大魔法合戦が幕を開けるのでした。

　かくれんぼのドキドキ感は今でも好きです。猫宮・烈です。
　
　さあ、リンネとかくれんぼをしながら、イルミンスール魔法学校最初のイベントを楽しみましょう。
　モップスのアドバイスを参考にしながら、どこに隠れるかを決めましょう。
　
　以上、よろしくお願いいたします。

・研究施設に隠れる

・修練場に隠れる

・カフェテリアに隠れる