なし

「小暮少尉、入ります」

　この言葉を口にするのにも随分と慣れてきたな、と思いながら、教導団の新入生小暮　秀幸（こぐれ・ひでゆき）は校長室のドアをノックします。
「入れ」
　いつも通りの校長の声に従ってドアを開けると、やはりいつも通り威厳のある顔つきをした金　鋭峰（じん・るいふぉん）が、いつものように執務机に座っていました。
　入学当初よりは慣れてきた、とは言え、今や国軍である教導団を統率する金の前に立つのは緊張します。小暮の背筋がぴ、と伸びます。

「本日は、例の飛空艇の修復状況をご報告に参りました」

　小暮は、手にしたファイルを金へと差し出します。
　そこには、少しまえに小暮達の手によって発掘され、現在教導団のドッグで修復されている飛空艇の情報が纏められています。
「機体は武装も含め、ほぼ修復が完了しました。あとはテストフライトを実施し、問題が無ければ実戦に投入可能です」
　小暮の差し出したファイルを捲りながら、金はうむ、と鷹揚に頷きます。
「そこで、この機体の飛行許可を頂きたいのですが」
「うむ……許可しよう。だが、フライトには細心の注意を払うこと。エリュシオンとの戦いに決着は付いたが、備えを怠っては
ならない。それに飛空艇は平和利用の面から見ても数を揃えておきたい。成果を期待している」
「ありがとうございます！」
　ファイルの内容に納得したらしい金は、最後に添付されていた書類に判を押しました。
　校長からの判子を貰ってくる、という使命を無事達成した小暮は、内心安堵の溜息を零しながら敬礼して踵を返します。
　失礼します、と校長室を出ようとしたその時。

「最近我が校の周辺で、ドラゴンのようなものの影が頻繁に目撃されている。充分気を配れ」

　え、と振り向いた秀幸の鼻先で、ぴしゃりと校長室のドアが閉まったのでした。

はじめましての方もご無沙汰してますの方も、こんにちは。常葉です。
シナリオガイドへのお目通し、ありがとうございます。
前回に引き続き「新米少尉奮闘記」シリーズの三作目となりますが、独立したシナリオですので前作・前々作に参加していない方でも問題なく参加して頂けます。またリアクションを読んでいなくても問題ありませんが、読んでいればより楽しめるかと思います。

今回は、前々回の 飛空艇を手に入れろ！、および前回の 甦れ、飛空艇で入手、整備を行った飛空艇の、いよいよお披露目フライトとなります。
ですが、教導団周辺には怪しい影も目撃されている様です。順風満帆なテストフライトとは行かないかも知れません。

シナリオの目的は【飛空艇が実戦投入可能な状態で有ることを確認すること】です。
飛空艇が損傷・飛行不能になるような事態は避けなければなりません。
また同時に、【乗員（及び、護衛等の参加者）に負傷者が出ないこと】が達成出来ればモアベターです。


今回も小暮が全校に向けて依頼書を出しています。教導団の方が受かりやすくなっていますが、どの学校の方でも参加して頂けます。
ただし、教導団生以外の方は、飛空艇内部には入れません。
一応、軍事機密となりますので。
その代わり、フライト自体はヒラニプラにある、学校敷地外の飛行場を使用することにしますので、飛空艇と一緒に離発着することは可能です。小型飛空艇や空飛ぶ箒などの、何らかの長距離飛行手段を持つ場合、他校生でも船外での護衛には着くことが出来ます。
もしくは、「ドラゴンのようなもの」とやらの正体を探りに行くことも可能でしょう。
初フライトですから飛行自体にトラブルが無いとも限りません。
ただ野次馬に来る、ということも可能ですので、発掘・整備に関わった皆様、記念に如何でしょうか。

上手く分担して、初フライトを成功させて下さい！

・飛空艇の護衛に付く

・技術者としての腕の見せ所

・ドラゴンらしきものの正体を探る