なし

　まだ寒い時期ながら、今日は日差しも幾分春の気配を含んで風もなく、のんびりと陽だまりでランチを楽しむには良い日でした。空京のカフェテラスで熾月　瑛菜（しづき・えいな）は、紅茶のカップを両手で包み込み、青い空を見上げて呟きました。

「もうじきバレンタインデーだね」

泉　美緒（いずみ・みお）はおっとりとケーキを口に運びながら、頷きます。
加能　シズル（かのう・しずる）はうーん、と唸りました。

「まあ……恋人のいる人や片思い相手のいる人のためのイベントよね〜」
「ちょっと待って！　こういうときこそチャンスなのよっ！　そんな弱気でどうするのっ！」

小谷　愛美（こたに・まなみ）がどんっとテーブルに両手を突いて半ば立ち上がります。

「あ！　シズルさん、美緒さん、瑛菜さん！！　やっと見つけた！」

不意に女の子の声とともに、冷たい北風がカフェテラスを吹き抜けました。

「わ、寒いっ！」

愛美が身をすくめます。

「あ　……ごめんなさい！　急いでいたので北風に乗せてもらってきたの」

テーブルのわきに風とともに降り立ったのは、一年前スカートめくり騒動で美緒、瑛菜に協力を仰いだ北風の精おサエでした。

「まあ、おサエちゃん、お久しぶりですわ！」

美緒がおっとりと挨拶をする。おサエはちょこんと頭を下げ、礼儀正しく挨拶をしました。

「お久しぶりです。それと……はじめまして。北風の精のおサエです。
　……また事件で申し訳ないのですけれど、大変なことが起きてしまって……」

「一体どうしたの？」

シズルの問いに、おサエは真剣な表情で切り出しました。

「皆さん、童話の雪の女王ってご存知ですか？　
　悪魔が作った鏡の欠片が体内に入ってしまった男の子が、暖かさを失ってしまうお話。
　お話では鏡ってなっていますが、とても珍しい、寒冷地に咲く氷の花があの原料なんです。
　悪戯なの魔女の１人が、その氷の花の花びらを、今朝の風に乗せてこちらの世界にばら撒いてしまったんです。
　もうじきそれが空京の街に届いてしまう……　その前に早く対策をお伝えしないとと思って急いできたんです！
　花びらが体内に入ると、その人は暖かさや優しさを凍りつかされてしまいます。
　悲しみと空虚感だけになってしまうの」

「えええええ！！　それって大変なことじゃないの！」
「まああ！！」

話を聞いた４人は異口同音に叫びます。

「氷の花は、触れただけで体に吸い込まれてしまいます。
　それを溶かすには、２つの方法があるんです」

おサエが言うその方法とは……。

１．恋人同士ならパートナーへの想いのこもった言葉とキス。

２．友達や片思いの相手ならその人への真剣な想いやりのこもった呼びかけとその涙。

それから１時間後。晴れた空から音もなく、わずかな風花のようなものが町中に舞い落ちてきました。
蒼空学園を通して対策方法が流れたのは、それとほぼ同時でした。

あなたの友達は、大切な人は大丈夫でしょうか……。

　こんにちは、鷺沼聖子です。

さて、今回はバレンタインということで、恋人にあらためて思いを伝えたり、片思いなら相手に思いやる気持ちを持っての告白や、恋愛は関係なくとも親しいお友達にあらためて大切だ、という気持ちを伝えるにもよいかなと思い、このようなシナリオにしてみました。

氷の花は、物理的なものではないため、建物もなにも透過して舞い落ちてきます。
ですので、誰にでも降りかかる可能性はあります。
おサエから話を聞いた４人も例外ではありません。

溶けるまでの間に伝えた気持ちは、相思相愛でない場合、直接の言葉としては残っていません。あなたの暖かさと思いやりという形で、相手の心に少し伝わる、というカタチです。

−ＮＰＣの扱いについて−

−ＮＰＣの扱いについて−

ＮＰＣについては、公式ＮＰＣのみ呼ぶことが可能です。
恋人同士、もしくは夫婦ではない片思いの相手の場合でも登場させることは出来ます。


また今シナリオでは空京が舞台ですので、空京の町を余暇などで散策しうるキャラクターに限られます。
公式ＮＰＣでも呼べないＮＰＣがいますので、ご注意ください。

公式ＮＰＣであっても、

・封印されている
・死亡している
・自由行動が制限されている
・ナラカなどすぐに来ることの出来ない場所にいる

などの場合は呼び出せません。

また、公式ＮＰＣを登場させたい場合、登場させたい公式ＮＰＣの人数だけ、ＬＣを追加参加させてください（そのＬＣは参加しません）。
ＬＣが公式ＮＰＣとデートなどを行いたい場合も同様ですが、この場合ＬＣのアクションはＭＣのアクション欄にお書き頂き、ＮＰＣのアクションは追加したＬＣ欄にお書き下さい。
また、ＭＣのアクションに一筆「ＬＣがＮＰＣとデートします」とお書き添え下さい。
この場合、ＭＣがリアクションに登場しなくなりますのでご了承ください。

個別で公式ＮＰＣを登場させる場合は、どうしても描写量が多くなる為の措置となります。ご了承ください。

・愛の言葉を語る

・思いやりをもって温かい言葉をかける