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千年瑠璃の目覚め

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シナリオガイド

『美しすぎる魔鎧』の真実とは? めぐる様々な思惑に、タシガンの夜宴が揺れる!
シナリオ名:千年瑠璃の目覚め / 担当マスター: YAM

 タシガン空峡の孤島にある古城で、今宵、盛大な宴が開かれます。
 主催者はザナドゥの貴族悪魔、ヴェルナディ・モーロア卿
 そしてこの夜宴の目的は――



 古城内、かつて謁見の間であった石造りの広間。
 その奥に置かれた、氷柱と見紛う蒼く透明な柱状の巨大結晶の中に人影が見えます。その前に立ち、ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)はそれをじっと見つめました。
 ――頭の中にしんと冴えわたるように、澄んだ瑠璃色がしみ込んできます――
「貴殿の目にはどう映るかな? この『美しすぎる魔鎧』は」
 振り返るとモーロア卿が、陶酔するような笑みを浮かべながら歩いてきました。視線は結晶の中の女性にうっとりと向けて。
 触れるだけで損なわれそうな、繊細な美女。薄手の布を巻きつけたような衣服を纏い、眠っているかのような表情で佇む――彼女は、魔鎧です。
「かのヒエロ・ギネリアンが千年前に残した最高傑作、『千年瑠璃』。素晴らしいものだ」


 “伝説の魔鎧アーティスト”と呼ばれたヒエロ・ギネリアン。
 彼の魔鎧はいずれも、「美麗」「強力」「オリジナリティ」の三拍子揃った作品でした。
 そんな彼が千年ほど前に発表した5体の魔鎧は『炎華氷玲』シリーズと呼ばれ、「至高の美麗」とまで評価されました。
 しかしそれを発表した後、ヒエロの消息は不明となり、炎華氷玲の5体も散り散りになって失われてしまいました……


「今や幻とまで言われる炎華氷玲シリーズ――『千年瑠璃』『刀姫カーリア』『サイレント・アモルファス』『ペコラ・ネーラ』『グラフィティ:B.B』
 中でも最も美しいと言われるこの『千年瑠璃』を、私が発見したのは全くの偶然だった。僥倖、と言わざるを得ない」
 2百年ほど前、偶然にも彼の領内の深い森の中で、モーロア卿は、彼女を見つけたと言います。
「ほぅ。その時からこの状態で?」
「そう、彼女は待っているのだ――己に相応しい主を。その時まで己が損なわれないよう、己が意志で結晶の中で眠ることにしたのだろう。
 だから私は、この宴を開くことにした。
 美しい彼女を眠りから解き放ち、一層美しくその身に纏う、相応しき勇士が出現することを期待してね」
 そう、この宴は、『千年瑠璃』が認める彼女自身の所有者を見つけるために、開かれたパーティでした。
 このパーティにジェイダスが協力している理由は、美に対する関心と見識の高さをモーロア卿に見込まれ頼まれたからです――表向きは
 その裏では、実は別の理由もあるのです。


 この宴には多くの貴族的な悪魔や、魔界の勇士たちが招待客として招かれています。
 その招待客の間に流れるとある噂を、ジェイダスは耳にしていました。
 いわく、「千年瑠璃は2百年前に絶命した。モーロア卿が所持しているのは、ただの骸に過ぎない」と。


 また、モーロア卿のもとには、物騒な手紙も届いていました。
 いわく、『千年瑠璃は生かしておくに値せぬ、大罪の外道なり。宴の夜、我らの手で必ずや裁き、葬る』と。


 死亡説に殺害予告。この宴にはキナ臭さが漂っています。
 そこでジェイダスを通して、契約者たちに会場の警戒が依頼されているのです。


********

 また、宴の会場近くで、集まってくる契約者たちに声をかけ、助力を乞う男がいます。
「千年瑠璃は、魔鎧にされる前、僕の恋人でした。
 彼女が待っているのは鎧の持ち主ではなく、恋人の僕なんです。
 彼女を救い出すため、力を貸してください!!


「千年瑠璃はとっくに死んでるのよ。何でみんな、信じないのかしら」
 虹色に光るリボンで赤い髪を束ね、キャスケットを深々とかぶった、パーカーにハーフパンツという格好の小柄な少女が、古城の玄関の門柱の陰で呟いています。
「ま、分かってない奴にはあたしが教えてやるしかないわね


********

 夜宴には、ジェイダスを通じた広報で宴のことを知った契約者や、特に招待された高貴な客以外にも、多くの客が集まってきます。
 ヒエロの作品に興味を持つ同業者、つまり魔鎧職人たち。
 千年瑠璃目当ての勇士たちの間に己に相応しい所有者が見つかるかもしれないと、密かに期待する、魔鎧たち。
 それに……


********

「十年前に行方不明になった知り合いが、魔鎧にされたらしいと聞いたんです。
 何とか探し出せないでしょうか……!?」
 自称『魔鎧(に関する依頼専門)探偵』キオネ・ラクナゲンは、シャンバラ人の依頼者の必死の願いの前に首を捻って考えていました。
「うーん……取り敢えずこの、タシガンの夜宴ってやつに参加してみようかな。もしかしたらいるかもしれない。俺も一応魔鎧職人だから、行っても別におかしくないしね」
 事務所の机に頬杖をついて、キオネは呟きました。
「……千年瑠璃、ねぇ……」


 そんな、『千年瑠璃』とは全く関係ないことでやってくる珍客もいるようです。

担当マスターより

▼担当マスター

YAM

▼マスターコメント

 こんにちは、YAMです。
 7作目のシナリオです。よろしくお願いいたします。
 情報が錯綜する謎多き宴になります。収集した情報から真偽を見極め、真実を導き出してください。
 舞台はタシガンですが、どの学校の方でも参加いただけます。


【宴の会場の作り】
 タシガン空峡に浮かぶ孤島にある、今はもう持ち主のない無人の古城です。
 広大な庭園はジェイダスの指示で明かりや花や卓など、ガーデンパーティの体裁が完璧に設えられています。

 特に招待状を貰っている賓客(貴族悪魔が主)は、広いテラスに設えられた「上席」にいます。
 テラスは「旧・謁見の間」に続いています。旧・謁見の間に続くフランス窓はすべて開放され、室内での出来事はテラスからはほぼすべて見えるでしょう。
 テラスには、庭園から直接出入りできます。席がなくても中の様子を見るために立ち入るのは原則自由です。

 城内の室は、この旧・謁見の間と、そこに繋がる「控えの間」、宴に出す料理を作る「厨房」と、コックや給仕などが休息を取る小部屋、以外使われていません。
 それらはすべて1階にあります。「控えの間」は、『千年瑠璃』の主候補たちが順番を待つ部屋です。
 城の造りは1階が広くて2階の面積は狭いです。
 2階はもともとは持ち主の私室ばかりだったようで、このパーティの間はただの物置状態で、使われていません。
 旧・謁見の間の上は屋上で、部屋はありません。


【美しすぎる魔鎧『千年瑠璃』】
 青い結晶状の巨大石柱の中に閉じこもり、休眠状態になっています。
 石柱は、体をそのような状態で維持するための彼女の魔力の結晶体であると思われます。

 ジェイダスが一度、結晶越しに生体波などを確認しようとしましたが、結晶が厚過ぎて、外部から彼女の「生存の証」を確めることは出来ませんでした。
 もちろん、呼びかけに答えることもありません。 


【ヴェルナディ・モーロア卿】
 ザナドゥの、パイモンの支配地域とは関係ない一辺境の地の領主に過ぎないながら、優雅な趣味人として同じ道の道楽者の間では顔の広い人物です。
 飄々としていて、己の価値基準で動くようなところがあるようです。
 千年瑠璃が自らの意志で石柱に閉じこもっている云々は、あくまで彼一人の口から出た情報です。注意してください。
 殺害予告のことは知っていますが、そのことで宴の来場客を規制しようという気は、何故か全くないようです。事実上出入り自由の宴会。


【ヒエロ・ギネリアンと炎華氷玲シリーズ】
 魔鎧に美を追求し「魔鎧アーティスト」と呼ばれた天才的な職人ヒエロの、現時点で最後の作品となっているのが炎華氷玲シリーズです。
 (シリーズ名は「氷の玲瓏さと炎の艶やかな熱の美しさ」を表現した、というのが由来で、火や水の属性を持っているわけではありません)
 千年瑠璃以外の4体は消息が知れず、またその容姿や性能などの詳細を知る者も多くはありません。
 ヒエロ自身も現在行方不明です。卓越した魔鎧作りの腕ゆえに権力争いに巻き込まれたと言われていますが、あくまで噂です。
 また、シリーズの5体はそれぞれに異なる、他に類を見ない独特な能力を秘めていると言われています。


【「自称」恋人】
 見た目は若い男という感じですが、魔族らしいということ以外は分かりません。
 自分が『千年瑠璃のかつての恋人』だというのは、あくまで彼が言っているだけのことであり、これまた真偽のほどは分かりません。


【自称『魔鎧(に関する依頼専門)探偵』キオネ・ラクナゲン】
 魔鎧職人を名乗る男ですが、何か事情があるのか、現在は製造していないそうです。
 空京で市井に住み、今回のように魔鎧に関する人探しなどの依頼を受けて活動しています。なんとも魔族らしくない人物です。
 いかにも探偵といった風の、ベージュのトレンチコートを羽織って歩き回っています。
 今のところ彼の動きは、千年瑠璃を巡る一連のあれこれとはリンクしていません。


【PCのできること】
 モーロア卿がザナドゥでなくタシガンで宴を開いた狙いは、千年瑠璃の主候補を魔族ばかりでなく、広く契約者の中にも探すため、だそうです。
 なので、千年瑠璃の主として名乗りを上げることはできます。
 但し、(ひっそりPL情報)これだけいろいろ曰くのある千年瑠璃が、ただ単に力のある戦士を待っているとは考えにくいのでは……。
 見事彼女を射止められる可能性は限りなく低いと考えた方がよさそうです……(/ぼそぼそPL情報)
 ですが、直接千年瑠璃と対面する一番良い方法は「主の名乗りを上げる」ことなので、何か他の目的があって立候補してみる、という手もあります。
 立候補した人は、順番で一人ずつ彼女の前に立ちます。そこで何か、力を示すようなことを行うようです。
 この様子は、テラスから見ることができます。

 宴の裏方(給仕等)で働くというのもアリです。賓客に自然な形で近付けるでしょう。

 キオネは庭園をうろうろしています。
 広い会場を一人で回るのも骨が折れるらしく、近づいて声をかければ人探しの手助けをお願いされるでしょう。

 手分けして情報収集するなど、MCとLCの別行動は問題ありません。
 HC、携帯電話、テレパシーなど会場で問題なく使用できます。


【魔鎧(職人の悪魔)LC様方には…】
 宴の客の中には『千年瑠璃』を見に来た魔鎧職人、また魔鎧なども沢山います。
 逃げ出してきた製造者の悪魔にばったり、逆に自分が造って逃げられた魔鎧とばったり、自分を魔鎧にした製造者を見つけて思わずお礼参り……等々、個人エピソードによるアクションもOKとします。
 描写量の問題がありますので、あんまりガッツリしたエピソードを出したい時には、LCを1人追加してください。
 追いかけっこした、全力で逃走した、奇襲をかけた等の単純なエピソードでしたら大丈夫です。


【NPC】
 ジェイダスは基本的に、モーロア卿と共に旧・謁見の間にいます。千年瑠璃の主探しの見届け人的な立場にいるようです。

▼サンプルアクション

・千年瑠璃の主に立候補

・宴の客から情報収集

・襲撃者を警戒する

・「自称」恋人の手助けをする

・キオネの手伝いをする

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年11月17日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年11月18日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年11月22日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年12月07日


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