今年も、夏合宿の日がやってきました。
相変わらずのサバイバルな特訓をさせられはしたわけですが、それに見合うお楽しみもあるわけです。
さて、今回は、宝探しが用意されました。
「宝っていったって、どうせたいしたことないんでしょう」
「いや、あちこちからいろんな物もらってきたらしいよ」
「じゃあ、中にはアタリもあるのかしら?」
「ふふふふ、そう簡単にお宝を渡してなるものですか。このトラップを埋め込んでやるわ」
「待って、それは危険すぎるわよ」
「何を言ってるの。周りはすべて敵よ。お宝は私一人の物だわ!」
「これは、いいチャンスかも。今こそ、渡しそびれていたプレゼントをあの人に渡すんだ。今のうちに、埋めておいて、後はうまくあの人をそこへ誘導するだけ。ほかの者には掘り出させないぞ」
「宝なんて、見つからなくてもいいんだ。あの子と一緒に探せたら、それで御褒美だから」
なにやら、各人の思惑は様々なようです。
いつも通り、大騒ぎでイベントは行われるはずだったのですが、ちょっと一部で雲行きが怪しくなってきました。
「それで、結局この周辺に出るという幽霊は、排除できませんでした。申し訳ございません」
「うーむ、できれば、生徒たちの安全を考えて、処理しておきたかったのだがな」
いつものようにガイドとして来ているジェイムス・ターロンの報告を聞いて、ジェイス・銀霞が難しい顔をしました。
去年、この場所にあったほこらを肝試しで壊してしまってから、この付近に怪しい幽霊が出るようになったともっぱらの噂なのです。
噂の真偽を確かめつつ、何とかしようとガイドさんたちが調査を続けたのですが、被害はますばかりでした。
「仕方ない、出たら出ただ。そのときは、学生諸君に、訓練として排除してもらおう。元々、原因を作ったのも、彼らなのだからな」
統括するジェイス・銀霞が、半ばあきらめたときです。
「なんでも、その幽霊とかを捕まえたいって人たちがいるんだけれど」
キーマ・プレシャスが、先だって、海岸で出会った二人の巫女を連れてきました。
「テンコ・タレイアで〜す」
たっゆんな巫女さんが、明るく名乗りました。
「テンク・ウラニアだ」
もう一人の巫女さんが、淡々と名乗ります。
二人は、コウジン・メレという名の女性を探して情報を集めているとのことです。この幽霊騒ぎも、何かの手がかりだというのですが。
「とにかく、イベントは実行する。幽霊騒ぎの方は、これも訓練ということにしておこう」
そう決定され、宝探し大会が始まりました。