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【八岐大蛇の戦巫女】消えた乙女たち(第1話/全3話)

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【八岐大蛇の戦巫女】消えた乙女たち(第1話/全3話)

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シナリオガイド

それは当初、連続少女失踪事件として始まった……。あなたは真相に迫ることができるか?
シナリオ名:【八岐大蛇の戦巫女】消えた乙女たち(第1話/全3話) / 担当マスター: 桂木京介

 ――蒼空学園校長室

「今月に入って3人目か……」

 校長の山葉 涼司(やまは・りょうじ)の表情は冴えません。いえ、『冴えない』どころか静かな怒りと苦渋に満ちています。
 彼は現在、机の上のディスプレイをじっと眺めているのです。ディスプレイに表示されているのは女子生徒の画像、それに簡単なプロフィールでした。データは三人分あります。
 その三人はいずれも、今月行方不明になった蒼空学園の女子生徒なのです。
 二人は夜外出しており、寮の門限になっても帰ってきませんでした。
 一人は蒼空学園の校舎内で、放課後、部活が終わって更衣室に行ったまま行方を眩ませています。


 失踪事件自体はコントラクターも依頼を受けることがあるので、シャンバラではそれほど珍しいということはありません。
 大抵は営利目的の誘拐ですが、過去には鏖殺寺院による生贄のために誘拐されるケースもありました。

「しかし、奴らが壊滅した今、危険を冒してコントラクターを誘拐するメリットがどこにある? やはり事故に遭ったと考えるべきか……」
 思考が口から独り言になって漏れていました。そんな山葉に、
「あの……」
 恐る恐る、声をかける者がありました。
 隠そうとしても不機嫌を隠しきれず、顔も上げないまま彼は応じました。 
「何だ」
「お客さん、来たよ」
 それは山葉の私設秘書、ローラ・ブラウアヒメルことクランジ ロー(くらんじ・ろー)なのでした。ローラの口調はいっこうに秘書らしくありませんが、スーツ姿にヒール履き、書類ケースを手にすっくと立っていると、なんとなくそれっぽくはあります。
「客人……?」
 本日、校長室への来客予定はありません。山葉涼司は怪訝な顔をしましたが、少し考えて返事をしました。
「通してくれ。会おう」

「失礼いたします」
 思わず山葉は息を呑みました。来客者は女性、目の覚めるようなみどりの黒髪を湛え、凛としていながら清楚で、されどどこか艶っぽい美貌の持ち主です。
 しかし、彼はすぐに気を引き締めました。
 女性が着ているのが、紫と黒の法衣――いわゆる神官着だったからです。

「お初にお目に掛かります、山葉校長。私はグランツ教のマグスで、カスパールと申します。以後お見知り置きを」
「グランツ教の噂はかねがね聞いています。何でも世界統一国家神を信仰されているとか。そのグランツ教の東方の三博士の一人が、今時分何のご用でしょうか?」

 お姫様のように恭しく礼をするカスパールに対して、山葉は警戒心を露わにしました。
 グランツ教とは、このところパラミタ各地で急速に支持者を集めつつある新興宗教です。その活動については正直、あまりいい噂が入ってきていません。カルト団体だとか、世界の転覆を目論んでいるとか、そんな過激な憶測話まであります。噂を丸呑みにするつもりはもちろんありませんが、かといって、『火のない所に煙は立たない』ということわざも彼は知っているのでした。
 ところがカスパールはそんな彼に対し、口に手を当ててころころと笑いました。

「あら、博識でいらっしゃるのですね。これは失礼いたしました。お忙しいことは重々承知の上で、今回は協力しに来たのです」
「協力? どのようなことに対してですか?」
「これは奇異なことを。ここ数日山葉校長を悩ませております、女子生徒の失踪騒動に関してです」
「……」
「我がグランツ教の信者にも契約者はおりますから、噂を聞きまして居ても立ってもいられなかったのです」

 女子生徒たちの失踪事件は、まだ公にはされていません。山葉とツァンダ家を補佐するクロカス家が水面下で調査を進めている段階のはずです。
 それを知っているだけに、涼司は警戒を強めざるを得ませんでした。
 ですがそんな彼の態度を可愛いと思ったのか、カスパールはますます表情を緩めつつ懐から封書を取り出し、二本の指で挟むようにして校長机の上に置きました。

「これは手土産……我がグランツ教の方でまとめた目撃者の情報です。お役に立ちましたら幸いです。グランツ教としても由々しき事態ですから、協力は惜しみません」

 彼女はそれだけ言うと、再び完璧な挨拶をして退室していきました。ローラがお茶を出そうとしますが、軽やかに手を振って断っています。
 校長室の監視カメラのモニターで、カスパールが校舎外に出たのを確認してから、山葉は封書を手に取りました。

「あの人……なんだか……」
「ローラ、それ以上言わなくていい。敵じゃない。少なくとも、今はな」
「ねえ涼司、それ、なにか怖いこと、書かれてるか?」

 ローラが不安そうな表情になったのも無理はありません。なぜなら文書を一読した山葉涼司が、これまで以上に険しい顔をしていたからです。

刀を持った辻斬りに、ドラゴニュートか……悔しいが調べてみるしかないか」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ――ツァンダの街

 今日も今日とて、葦原明倫館の仁科 耀助(にしな・ようすけ)は、日課同様のナンパに繰り出していました。
 可愛い女の子や美女を見つけると「要チェックだ!」を口癖に、通称『耀助のナンパメモ』を取り出してメモっています。
 そこには、ツァンダを始め、空京や海京、果てにはタシガンやヒラニプラまで、主要都市の女の子のことがびっしりとリストアップされているようです。

(「山葉校長は気づいていないかもしれないが、藍子ちゃんに咲世子ちゃん、百合子ちゃんには三つの共通点がある」)

 彼は、失踪した三人の女子生徒たちのメモを見ていました。
 一つは美少女、美女であること。これは個々人の主観が入りますが、少なくとも耀助は三人とも美少女や美女だと思っています。
 一つはマホロバ人であること。三人とも蒼空学園に通っているマホロバ人です。
 そしてもう一つが生娘であること。彼がどこでこの情報を得たかはさておき――。

(「マホロバ人が失踪しているのであれば、次に失踪するのも条件にあてはまるマホロバ人の女の子はずだ。アルセーネちゃんも蒼空学園に通うマホロバ人だから、気になるんだよね……」)

 耀助もまた、独自に今回の失踪事件を調査しているのでした。まだこのことは表立っては伏せられていますが、いくらかの情報収集能力があれば噂くらいは入ってきます。
 彼はこの件には危惧するものがあるのです。なぜならアルセーネ・竹取(あるせーね・たけとり)は、彼のパートナー龍杜 那由他(たつもり・なゆた)と幼馴染みであり、親友だからです。
 いつもフラフラと女の子を追いかけてばかりいる、と思われるのは彼にとって実は好都合でした。こうやってガールハントを装って情報収集をしていても、容易にはそれと悟られませんから……まあ、情報収集が目的のすべてではありませんが。

「……おや?」

 このときふと耀助は、街をゆく少女の一人に目を止めました。視線釘付け、といってもいいかもしれません。
 なにせその少女は、女性を見る目には肥えている耀助でも、思わず見とれてしまうほどの美貌だったからです。地味目の格好をしていますが隠しきれないものがあります。立てば芍薬座れば牡丹、といった感じでしょうか。西洋風の顔立ちですが、なんとなく和の雰囲気もあったりして大変によろしい。
 なんだか歩き方がぎこちない様子です。怪我でもしているのでしょうか。
 声をかけてみようかな、と耀助が思ったとき、すでに彼の足は行動を起こしています。

 ……その少女がカーネリアン・パークス(かーねりあん・ぱーくす)という名前で、かつて塵殺寺院の殺人機晶姫であったということは、さすがの仁科耀助とて予想だにつかないことでした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ――蒼空学園女子寮

 那由他は親友を心配してアルセーネの部屋を訪れていました。
 アルセーネのパートナー雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)は出掛けており、部屋には二人きりです。
 ただ、理由はそれだけではないようです。

「最近、夢でうなされたり、気が付くと知らない場所に来ているの」
「夢遊病、でしょうか? マホロバにいた時はそのようなことはありませんでしたものね。龍杜神社はマホロバでも奥地ですし、そこからシャンバラに出てきて、慣れない環境での生活の疲れが溜まっているのかもしれません。今度久しぶりに踊りましょうか?」
「そうね、アルセーネの白拍子の踊り、久しぶりに見たいわ……って、いま何気にうちの神社のこと田舎呼ばわりしなかった!?」
「い、いえ、そういうつもりではなかったのですが……」

 自分もシャンバラに出てきてから、雅羅に苦労を掛けていた経験があるだけに、アルセーネは親友が少しでも今の環境に慣れるよう、労わるつもりでした。

担当マスターより

▼担当マスター

桂木京介

▼マスターコメント

 ツァンダを舞台としたキャンペーンシナリオがはじまります。
 全三話の予定ですので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 のっけからツァンダでただならぬ事件が起こっています。ツァンダや蒼空学園の校舎内で、マホロバ人の女子生徒が失踪する事件が発生しているのです。
 山葉涼司やクロカス家は事件を公にしていませんが、契約者たちは噂レベルで知っています。
 今回山葉から出される依頼は、

 辻斬りの調査

 となります。
 夜な夜な妖刀に魅入られた辻斬りが現れるとか、ドラゴニュートが現場にいたなどの目撃情報が寄せられているのです。

 一方で、仁科耀助は今回の失踪事件を独自に調査しているようです。
 彼と接触できれば、彼の知っている情報を教えてくれるかもしれませんが、ナンパ好きの耀助ですから、男性が会うのはちょっと厳しいかもしれません。

 なお、マホロバ人の女性は耀助が調べた条件にあてはまると、失踪する危険性がありますのでご注意ください。

 また、耀助のパートナー龍杜那由他はお疲れなのか、最近あまりいい夢見ではないようです。
 親友のアルセーネが気を遣っていますが、皆さんも「シャンバラに出てきて苦労したこと」や「パートナーのこんなところで苦労している」といったことがありましたら、那由他に話すと彼女も気が楽になるかもしれません。
 何せパートナーは主要都市の女の子のメモがびっしりと書かれた『耀助のナンパメモ』を作るために、マスターニンジャになったような人ですからね。

 サンプルアクションにあるような行動が、このシナリオに参加するアクションのメインになることでしょう。しかしそれ以外の方法も、考えつくのであれば試してみてもいいかもしれません。

 失踪事件がどうなっていくのか、その行く末は皆さんのアクション次第です!


 ※今回のキャンペーンシナリオは桂木京介が担当させていただくことになりました。よろしくお願いします。

▼サンプルアクション

・辻斬りを見つけ出す

・耀助に協力する

・那由他に苦労話をする

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2012年09月18日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年09月19日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年09月23日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年10月17日


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