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シナリオガイド

生き残りたければ逃げよ。さもなくば、割れ。
シナリオ名:皿一文字 / 担当マスター: 革酎

 とある日の、午後のことです。
 校庭の片隅に、それは倒れていました。
「こ、これは……」
 第一発見者たる加能 シズル(かのう・しずる)は、思わず、息を呑みました。
 蒼空学園生徒の制服を身にまとったそれは、ひとの形をしてはいましたが、明らかに、通常の人間とは異なる外観だったのです。
 傍らに立つレティーシア・クロカス(れてぃーしあ・くろかす)も、シズルと同様、そのあまりに凄惨な光景に、発するべき言葉を失ってしまっているようです。

 それは、ミイラでした。
 骨と皮だけになったその容貌とは裏腹に、陽の光を浴びてきらきらと輝く毛髪が、却って不気味です。水分を失ってからからに干からびた皮膚は、少し触れただけで、今にも砂粒化して崩れ落ちてしまいそうでした。
 何故、こんなものが蒼空学園のキャンパス内に放置されているのでしょうか。
 答えは、明白でした。
「シズルさん……この方、蒼空の生徒ですわ」
 レティーシアがミイラの傍らに落ちていた生徒手帳を拾い上げ、表紙をめくりながら、半ば呟くように語りかけました。
 そう、このミイラは紛れも無く蒼空の生徒だったのです。それも、まだ入学して間もない新入生でした。
 レティーシアから受け取った生徒手帳と、変わり果てた姿のその持ち主とを交互に眺めながら、シズルは苦い表情を隠しません。
「とにかく、一旦校長に報告を……」
 そこまでいいかけた時、シズルは不意に鞘から刀身を抜き放ち、背後を薙ぎ抜きました。
 殺気が、シズルの神経を瞬間的に逆撫でしたのです。
「何者!」
 叫びながら八双の構えを取ったシズルですが、その直後、彼女の右手でくぐもった呻き声が響きました。
 視線だけを走らせたシズルの視界の中で、あり得べからざる光景が展開されていました。先ほどまで、そこに立っていた筈のレティーシアの姿はなく、代わりに、緑色の巨躯が重心を落とした低い姿勢で身構えていたのです。
 そしてその足元には、レティーシアと同じ特徴を持ったミイラが、横たわっていました。
 シズルの頭に、かっと血が昇りました。

 蒼空学園校長室で、校長の山葉 涼司(やまは・りょうじ)が頭を抱えていました。
 キャンパス内で次々に発見される、元蒼空生徒と思しきミイラの報告。その出現そのものの異常さもさることながら、発見数自体もあまりに常軌を逸していました。
「この一時間に、二十五体……いや、二十五人、というべきか」
 執務デスク前の革椅子に深々と腰かけ、渋面を浮かべながら、手元の資料をじっと食い入るように見つめる山葉校長。その資料の中には、レティーシアの名も印字されていました。
 デスクの反対側に、シズルが沈痛な表情で佇んでいました。
「……校長、奴の討伐を、私にお任せ願えませんか?」
「そうしてやりたいのはやまやまなんだが」
 山葉校長は背もたれに預けていた上体を起こし、シズルの真っ直ぐな瞳を真正面から受け止めます。互いの視線がぶつかり合い、あたかも火花が音を立てて宙空に弾けているような、そんな錯覚すら覚えてしまいます。
 ぎりりと奥歯を噛み締めるシズルとは対照的に、山葉校長はひどく冷静な面持ちでいい放ちました。
「お前さんには、地下用水路に向かった清掃班の呼び戻しに行ってもらいたい」
「それは……喫緊の用件なのですか? レティーシアをあんな目に遭わせた奴を放っておいてでも、しなければならないことなのでしょうか?」
「ああ、重要さ、何故なら」
 山葉校長はデスクの上で両手を組み、睨み上げるようにして、シズルの端整な面を見詰めていいました。
地下用水路からも、お前さんが見た化け物の目撃情報が上がってきているんだ」

 その瞬間、シズルの表情からさっと血の気が引いたように見えました。山葉校長は尚も続けます。
「お前さんの見た化け物が、本当にその姿通りの存在なら、地下の連中が危ない」
 ましてや、あそこはここ以上に水が豊富だからな、と山葉校長は付け加えます。シズルは、そのいわんとしている意味を即座に理解しました。
 シズルが見たのは、全身が粘液にまみれた緑色の皮膚に覆われ、濡れそぼった黒髪の間から両生類を思わせる無機質な黒い目が特徴的な、巨体の化け物でした。
 頬まで裂けた唇の間からは細かい牙の列が覗き、頭頂部には黒い円盤状の硬質物が乗っていました。そして背中には、亀のような甲羅を背負ってもいました。
 最初シズルからこの報告を受けた時、山葉校長は一瞬、我が耳を疑いました。しかしその後、次々に寄せられる目撃情報はいずれもシズルからのそれと酷似しており、山葉校長としても、信じざるを得なくなったのです。
 シズルは、静かに頷きました。
「そういうことなら、了解しました……でも、キャンパスの方はどうするのですか?」
「人手を催す。自分達の安全にも関わることだ。生徒達自身の手に委ねて良いだろう。出来れば俺も、直接現場に出たいところなんだがな……」
 さすがにそれは、立場が許してくれません。
 山葉校長はその面に悔しさを滲ませましたが、それもほんの一瞬でした。

 この直後、蒼空学園内全キャンパスに、緊急放送が流れました。
 生徒に危害を加える怪物の存在を知らしめる告知と、その怪物の討伐に協力して欲しいという、山葉校長じきじきの言葉に、生徒達は驚きを隠せません。
 ですが、やるしかないのです。やらなければ、自分達の身が危ないのです。

 そしてこの危難に立ち向かい、見事やり遂げる英雄たる資質が、蒼空生徒の誰にでも具わっています。
 そう、あなたにも。

担当マスターより

▼担当マスター

革酎

▼マスターコメント

本シナリオガイドをお読みくださり、ありがとうございます。
このたび、ゲームマスターとして執筆させて頂く運びとなりました、革酎でございます。
どうぞお見知りおきくださいませ。

さて、本シナリオでは被害に遭ってミイラ化した人々には、あまり時間的な猶予がございません。
ミイラ化してから長時間が経過すると、手足の先といった末端組織から崩壊が始まり、二度と救えなくなってしまいます。
被害者を救う方法はただひとつ。それは、犯人たる怪物を討伐することのみです。
その方法は、参加頂ける皆様方の想像にお任せします。

清掃班として地下からスタートして頂いても結構です。
その場合、山葉校長からの緊急告知は聞いておりませんので、情報が錯綜した状態から始まります。

また、ご自身のMC、もしくはLCが怪物の被害に遭って、ミイラ化させられたということにしてご参加頂いても結構です。MCとLCの絆を深めるストーリーとして本シナリオをご利用頂くのも、ヒロイックな展開へと持って行き易いかも知れません。

但し、相手は強敵です。
シズルの剣から逃れ得たばかりか、そのパートナーであるレティーシアの不意を衝くほどの身体能力の持ち主です。ちょっとやそっとでは、なかなか倒されてはくれないでしょう。

地下用水路は、蒼空学園のキャンパス地下に広がるコンクリート製の用水路です。
水路のすぐ脇を歩道が併走する構造になっており、全体として迷路のように入り組んでいます。
園芸や上水道ろ過装置にまわされる水が流れている為、水質は基本的に綺麗ではありますが、そのまま飲み水として流用出来る程の清潔さではありません。
また、十数メートル間隔で地下照明が設置されていますが、お世辞にも明るいとはいえませんので、見通しは非常に悪いと考えてください。

それでは、皆様の知恵と勇気に満ちた、アグレッシブなアクションをお待ちしております。

▼サンプルアクション

・怪物をこの手で倒す!

・地下用水路の清掃班に危機を知らせる。

・地下用水路から無事、地上に戻る。

・地下用水路に現れた怪物を倒す!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2010年12月09日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2010年12月10日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2010年12月14日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2010年12月28日


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