蒼空学園

「こーばーばー、こーばーばー、こばばばーこばばー♪」
　今日も元気に小ババ様が世界樹の中を散歩しています。
　カツーン、カツーン。
　何やら怪しげな音が聞こえてきました。
　小ババ様がそっとその音の方にむかうと、キネコ・マネー（きねこ・まねー）が何やら世界樹の幹にむかって金槌を振っていました。
「そこまでよ、観念なさい。世界樹損傷現行犯でお仕置き部屋行きよ」
「なんで見つかったですら〜」
　天城　紗理華（あまぎ・さりか）たち風紀委員が、たちまちキネコ・マネーを取り押さえました。
「いったい何をして……こ、これは！！」
　キネコ・マネーの持っていた物を見て、天城紗理華が絶句しました。そこには、「さりか」とへたくそな字で書かれた紙を貼りつけた藁人形があったのです。
「連行しなさい！」
　天城紗理華の命令で、キネコ・マネーは風紀委員たちに引きずられていきました。
「自業自得ですね。おや、小ババ様、見ていたのですか。だめですよ、こういう物は見ちゃいけません」
　キネコ・マネーの最期を看取っていた大神　御嶽（おおがみ・うたき）が、小ババ様を見つけてそう言いました。
「こばー」
　お行儀よく返事をすると、小ババ様がその場を後にします。
　
　　　　★　　　　★　　　　★
　
「いらっしゃいませー」
　宿り樹に果実は今日も大忙しです。ミリア・フォレスト（みりあ・ふぉれすと）が、せわしなくコーヒーを運んでいます。
「こばー♪」
「あら、小ババ様。ミルクですか？　はいはい。お代はファンクラブの方につけておきますね」
　そう言うと、ミリア・フォレストは小ババ様にミルクサーバーを使ったちっちゃなカップでホットミルクをサービスしました。
「こくこくこく……。ぷっはあー。こばこーこば」
　ホットミルクを飲み干した小ババ様が、ぺこりとお辞儀をしてカフェテラスを後にします。
　さて、小ババ様は次はどこへむかうのでしょうか。

　お気軽なショートシナリオです。
　簡単に参加できる反面、いろいろ複雑なことをしようとすると失敗しますので御注意ください。
　
　基本的に、リアクションはほぼ小ババ様の視点で進んで行きます。そのため、外から見た客観的なＰＣたちというのがテーマとなります。
　家政婦は見たではなく、小ババ様は見た！　なわけです。
　つまり、ＰＣが世界樹の中で何かドタバタしているのを、通りすがりの小ババ様が見かけて一言という感じのシナリオになります。
　そのため、よっぽど移動しない限りは、小ババ様との邂逅は1シーンのみとなります。
　とはいえ、移動しまくると小ババ様とはすれ違うだけですから、描写は一瞬です。
　
　イルミンスール魔法学校の生徒は、普段どの辺にいて何をしているのか、他校の生徒は、世界樹に何しに来ているのかをアクションで表現するといいでしょう。
　日常をメインとするなら、どこで何をしているのかに重点を、受けを狙うのであれば、一発芸でインパクトをとる形になります。
　あくまでも小ババ様から見た世界ですので、限りなく客観的な描写になります。ないしは小ババ様の主観です。
　そのため、複雑な心情を出そうとしても、それをアクションによって台詞か行動で表現しないとだめということになります。心の声はほとんど使えません。小ババ様が理解できない場合は、意味不明の行動をとっているとなるわけです。
　とはいえ、小ババ様には意味不明でも、読者には分かる場合がありますから、そのへんはアクション次第ということになります。
　描写量よりも、内容のセンスやインパクトが大事で、むしろ短い出番の方が印象に残る可能性のあるシナリオです。
　特殊なことをしなければ、寮でお茶を飲んでいるときに小ババ様がきたとか、研究室で実験中に小ババ様がきたとかでちゃんとまったり描写されます。この場合は、変に捻らない方がいいでしょう。
　キーワード的なポイントを一つ作っておくと、描写に深みが増します。
　イベントシナリオですので、文字通りミニイベントとして自由にお楽しみください。

・まったりする

・駆けずり回る

・小ババ様ＬＯＶＥ

・大図書室で読書

・風呂！