蒼空学園

　百合園女学院の校長室。
『瀬蓮さんのお肌、滑らかですべすべですわね。やっぱり妬けてしまいますわ』
『そ、そんなこと、ない……よ……。ふあぁぁ……くすぐったいよぉ……』
『ふふ、前回聞きそびれてしまいましが、今度こそは、どんなお手入れをしているか、ゆっくりお聞きしたいですわ』
　机にごまんと積まれた書類に判子を押している校長の桜井　静香（さくらい・しずか）の耳に、扉越しに隣の部屋の声が聞こえてきました。
　校長室には超一流ブティックから、インディーズ・ブランドまでさまざまなロゴ入りの紙袋やら包み紙が散乱しています。
　なんだか最近にも、同じシーンを見たような気がします。…デジャヴ！？
「静香さん、如何です、この衣装は？」
「ど、どうかな……？」
「うん、とっても可愛いよ！　さっきのより、もっと似合ってるね♪」
　高原　瀬蓮（たかはら・せれん）は、ふんわりとしたピンクのドレスに黒いオーガンジーがふわりとアクセントを利かせているドレスを着こんでいます。
　その頭上にはピンクのリボンが巻かれたとんがり帽子。
「先ほどのヴァンパイアの衣装も、セクシーでステキでしたけれど、瀬蓮さんにはやはりこちらですわね」
　ラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）は、ヴァンパイアの衣装を着た時の瀬蓮の慌てふためきっぷりを思い出して、楽しげに笑いながら言いました。
　瀬蓮はそんなラズィーヤの姿に、ちょっとむくれた顔を見せます。
「ところで、これは何のための衣装なの！？」
「あれ？まだ瀬蓮さんに招待状渡してなかったの」　
　静香は、書類仕事の手を止めて、満足そうに瀬蓮の姿を眺めています。
「あら、うっかりしていましたわ」
　ラズィーヤは、静香の机の隅に積んであった、鮮やかなオレンジ色の封筒を瀬蓮に差し出しました。
　
『Ｙｏｕ’ｒｅ　Ｉｎｖｉｔｅｄ　ｔｏ　ａ　Ｐａｒｔｙ！』

　笑顔を浮かべたカボチャの写真に白抜きの文字が踊っています。
「地球には、ハロウィンというイベントがあると聞きましたの。私的なパーティーですので、お友達も誘ってぜひいらしてね」
「…他の学校のお友達も、誘っていい……？」
「もちろんですわ。……ああ、そうですわ。招待状に書いてありますけれど、お菓子を作りたい方は14時頃からいらっしゃってくださいね」
「みんなが作ってくれるお菓子、楽しみだね」
　静香がにっこりと頬笑みました。
「それから、イベントも用意していますわ。……瀬蓮さん、ステキな方がお相手だと良いですわね」
「ふぇっ。なんですか、それ……？！」　
　ヴァイシャリー家のお嬢様であるラズィーヤにとって、パーティーにはダンスが付きものです。
　トランプを使用したカップリングイベントが行われる予定です。
　プリンセスかウィッチの箱、お好きな方から1枚カードを引いてください。
「そうだったね！ダンスの練習も、しようか」
　静香は席を立つと、愛らしい魔女の格好をした瀬蓮の手を取りました。　　　　

　ハロウィン・パーティーはラズィーヤが個人で開くものですので、百合園女学院の生徒以外も参加可能です。
　お友達とお誘い合わせの上、ご参加ください。

　パーティー会場は、ヴァイシャリー家の敷地内にある、ラズィーヤ・ヴァイシャリーの私邸となります。
　会場となるのは大広間＋広間の横のガーデンです。美しい庭のライトアップでムードが盛り上がります。
　ラズィーヤの私邸はヴァイシャリー家の正門から、徒歩20分ほどの場所にある屋敷ですが、門から私邸までは馬車が送迎いたします。

　ドレスコードは『ハロウィンに相応しい仮装』になります。

　大好きなあの人に手作りのお菓子を渡したいという人は、14時のお菓子作りから参加してください。
　パーティーの開始時間は17時からとなります。
　14時〜17時までは、個々で自由にお過ごしください。

　カードを引く箱も選択してください。選択されなかった場合には、マスターが代わりに選ばせていただきます。
　ただし、相手のパーティーの過ごし方によっては、カップリング相手を見つけられない場合もあります。

　皆様、楽しいパーティーをお過ごしください。

・お菓子作りをする

・カップリング相手を探す

・ラズィーヤ私邸を探検する

・来客を出迎える