蒼空学園

「とうとうできたですぅ〜」
　エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）は、月明かりだけの研究室でにんま〜りと笑いました。手には、ピンク色をした液体の入った三角フラスコを持っています。
　合成着色料が山盛り入っていそうな毒々しい中身を見ながら、彼女はさらに、瞳から怪しい光を放ちます。
「さて、どうやって使いましょうかねぇ〜」

　翌日、イルミンスール魔法学校のとある教室に男子生徒だけが召集されました。ウィザードが多いだけにその面々は草食系が多いですが、中には筋骨隆々の生徒もいます。彼らの机には小瓶が置かれ、中には例のあの液体が入っています。
　壇上に座ったエリザベートは一同にこう言います。
「これを飲めば体力がつきますぅ。ＨＰが少ないウィザードには絶対必要ですぅ。むきむきになって、蒼空学園の生徒を出し抜きなさいぃ〜」
　困惑した表情を浮かべたイケメン達がざわつきます。この薬にプロテインと同じ効果があるとは、とても信じられません。何か良からぬたくらみを感じ、皆は液体を畏怖しました。
　しかしその中に、彼女の言葉を疑わない生徒がいました。日々筋トレに励むプリーストです。彼は一気に薬を飲み干し――
「エリザベートさまあーーーー」
　と急に弛緩した口調で壇上に近付き、エリザベートの手に口づけをしました。
「愛しています、エリザベートさまあーーーー」
　そこで、教室の扉が開きました。

「それは惚れ薬じゃ！　飲んではならん！」
　
　度肝を抜かれた男子諸君に、アーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）アーデルハイト・ワルプルギスが叫びます。

「飲みたければ、我の方を向いて飲むのじゃ！」

「ああぁ大ババさま、邪魔しましたねぇ〜〜〜私の逆ハーレム計画をぉ〜〜」
「私をさしおいて逆ハーレムなどと、１０００年早いわ！」
　２人のやりとりと校長にかしずくプリーストを見て、生徒達は興奮し始めました。折りしも今日はクリスマス。惚れ薬があれば、シングルベルがジングルベルになるかもしれません。薬を手に、我先にと教室を飛び出す男共をエリザベートの恨み節が追いかけます。
「おのれえぇ、このままじゃ済ませませぇん〜！　私を怒らせるとどうなるか、思い知らせてやるですぅ〜！」

　お昼前――
　食堂のスープの鍋に、惚れ薬が混入しました。エリザベートは伝手と嘘を使って堂々とこれをやってのけ、復讐の狼煙を上げたのです。
「これで大ババさまも、惚れ薬の餌食ですぅ〜。恋に溺れているところを記録して、ばらまいてやるですぅ〜。覚悟しなさいですうぅ〜」
　スープはアーデルハイトだけのためにあらず。それを忘れているのかはたまた確信犯なのか、エリザベートは笑みを顔に貼り付けて自室への階段を昇っていきました。
「超恥ずかしいことになるですうぅ〜〜！」
　
　後に桃色パニックと呼ばれる１日が、イルミンスールで開幕しました。

　クリスマスランダムカップルシリーズ第２弾です。
　血生臭さとは（多分）無縁のピンク色の世界をお楽しみください。

・イルミンスール魔法学校内での出来事ですが、他校生の方も「たまたま図書館にきていた」「たまたま友達に会いに来ていた」などの理由で校内にいてＯＫです。

・ＰＣ達が知る術はありませんが、薬の効力は半日です。半日後には恋心なんざふっとんでしまいますので、それまでに相手のハートを「本当に」掴めるようにがんばる必要があります。

　また、この薬には副作用があります。エセ恋人達の関係を進めるきっかけにも、ぶち壊すきっかけにもなり得る副作用です。ふふふふふふ。
　副作用には発動条件がありますが、これははっきりとは明記しません。発動することによって、描写量に差が出てくるためです。ゲーム的試みと考えていただければ幸いです。

　ということで、カップルアクションご希望の場合は飲ませる側・飲ませられる側問わず、
「最終的な口説き文句」とキャラクターの赤裸々な心情をお書き添えください。
　※副作用なしにふつーに恋愛したい場合は、書かなくても大丈夫です。

　ランダム、と書きましたが、相談アクションも大歓迎です。
　
　それではみなさまのエロエロな、もとい、ラブラブなアクションをお待ちしています。

・○○に惚れ薬を飲ませるｏｒ飲ませられる

・惚れ薬を使うのを阻止する

・解毒剤を探す

・アーデルハイトを助ける

・イルミンスールから脱出する