孤島の施設で作った試作品のウィルスを持って、逃げ出した十天君・姚天君が深夜…イルミンスールの森へやってきました。
各学園の生徒たちによって魔力を溜め込んだタンクを破壊され、ほとんど残っていません。
しかし、懲りずにまた何かを企んでいるようです。
「残った魔力で試作品のウィルスを作ってみたわ。
剣の花嫁と守護天使を始末するやつよ!」
どうやら施設で作っていたウィルスは、守護天使と剣の花嫁を葬るためだったようです。
「全てはティセラ様のため。
才色兼備が備わったあの方こそ女王に相応しいわ!
他のヤツは余計なのよ、よ・け・い」
ティセラを女王にするために、邪魔な存在をどうにかしてしまおうという企みのようです。
「へぇ、試作品が出来たんだね」
完成したか様子をシャムシエルが見に来ました。
「はい、ミルザムとかいうの女を倒すためのウィルスの試作品です」
まずは守護天使だけ感染する、ウィルスをシャムシエルに手渡しました。
「あっ、そうだ!あいつを狙おう♪」
アウラネルクの姿を見つけた彼女は、ニヤリと笑いました。
「貴様…何用でここへ来た?
目的次第では少々痛い目に遭わせてやるぞ」
妖精は姚天君を警戒して睨みます。
「ねぇー、あんたの魔力ちょうだい?」
そう言い指をパチンと鳴らすと、草陰に隠れていた姚天君の仲間が現れました。
「紹介は後回しです。
捕縛させていただきますよ!」
「あたいたちの術をミックスさせた幻草陣で、優しく捕まえてあげますよぉ〜」
不意をつかれたアウラネルクは、彼女たちの陣の中へ閉じ込められてしまったのです。
「何をする!?離せ、離すのじゃーっ!!」
突然現れた十天君の2人組みは陣内で発動する術を使い、閉じ込められた妖精の手足に草の蔓を絡みつかせて捕縛しました。
「これを持ってれば、ティセラ様を良く思ってない連中が来ますよ〜」
「へぇー…。
まぁ気が向いたら陣の中に行ってみるかな」
「あっ、陣の周辺に撒いておこっと。
まだ未完成品だから2・3日しか効き目がないけど。
それじゃあ魔力が集まるまで、私は董天君と別の場所でゆっくりと待っているわ」
その姚天君の方は、董天君が待っているところへ走っていきました。
「また何か企んでいるようどすなぁ」
彼女たちが企んでいる様子をルフナ・ロードが見てしまいました。
「うちはちょいと用があるさかい、協力者の皆はんを呼び集めているのはうちやけど、陣の中へ行くのはジューレはんの方どす。
めっちゃ無愛想やけど、堪忍したってぇ〜」
ルフナは協力者を呼び集めようと、イルミンスールの森の中を歩き始めました。
-十天君の陣の中-
「それでは先ほど自己紹介してしませんでしたから、皆さんに分かるようにしてあげます。
あたいは十天君の一人、趙天君です」
「同じく、十天君の張天君です〜」
双子の彼女たちは、同じような声色と姿をしています。
「そう簡単に助けられてしまっても困りますから。
謎々も用意しましたよ」
張天君が用意した謎…2階の石版にこう書かれています。
夜明けの太陽と一緒に、小さい子と小さい子が星を見る。
小さい子の上に、大きい子がちょこんと座っている。
星と星の間に夜の欠片。
まん丸お月様やってきて星、黒く染まった。
石版があるその部屋には、大きな丸いくぼみが4箇所、その4箇所をつなぐように円の溝があります。
溝の中には無色透明の水が流れています。
天辺にくぼみのある丸い玉が2個、小さな玉が2個、くぼみのない玉が1個、1箇所だけ穴の空いた玉が1個あります。
真上の階の部屋には小さな丸い穴が1箇所あります。
「謎を解いても、それだけじゃその先には進めませんよ。
あたいたちの陣の中に、ある物を隠しておきました」
そのある物とは、1階と2階に隠されているようです。
「この中は毒草のクリーチャーがいます。
もしかしたらシャムシエルさんと遭遇することもあるかもしれません。
その時はティセラ様に逆らう者たちは…フフフッ」