誰がために百合は咲く 後編 リアクション公開中! |
シナリオガイド守旧か保守か、中立か。──生徒会選挙、投票開始。
シナリオ名:誰がために百合は咲く 後編 / 担当マスター:
有沢楓花
パラミタ内海でのお茶会──という名の交易交渉、兼生徒会役員試験──は、その日の夕方を迎えました。 * では、お茶会のもう一つの目的──生徒会選挙の「試験」としての側面に、立候補者たちの心中はどうでしょうか。 「……大事なのは、マナーや形ではなく、その本質……?」 生徒会長に立候補したアナスタシア・ヤグディンはスタッフ休憩用のカフェから夕暮れを見て、小さく呟きました。 「どうかされましたの、アナスタシア様?」 同志であり副会長に立候補したオルガが、憂い顔のアナスタシアに近づきます。 「……私は間違っていたのかしら? 形に拘っていたのは、百合園の守旧派でなく、本質を見ていなかった私なのかしら?」 「アナスタシア様……」 「いいえ、ここはパラミタ。シャンバラが建国し帝国と和平を結びましたのよ──であれば、今までよりも大勢の、パラミタ出身の生徒が入学するはずですわ」 アナスタシアは自分に頷きます。 「今までは百合園本来の美徳とやらだけで良かったのかもしれませんわね。でも地球の、それも日本の一部のマナーからその心を読み取れと全校生徒に今後も言い続けるのは、難しいのではなくて? 私は再度、新しいマナーの確立を目指しますわ。もう帝国だけの意見を、とは言いませんわ。ただ皆さんが納得できるレディの在り方、心の在り方を生徒全員が模索する生徒会を目指したいと思いますの」 もう一人、守旧派として生徒会長に立候補した日高 桜子は、そんなアナスタシアの態度に戸惑っていました。今までかたくなにエリュシオンの文化を広めようとしてきた彼女の変化に、成長を見たからでした。 (……私には、良いところもなくて、お茶会でも他の立候補者の皆さんのように、活躍もしていない……。それなのに、半日経っても何も、変わっていなくて。……本当に生徒会長としてやっていけるのかしら……) それでも励ましてくれた人達の為にも、頑張らなくてはと手を握りしめます。 革新派や中立派の意見は桜子にも納得できることは多々ありますが、それでも時期尚早というのが彼女の意見なのです。 そしてアナスタシアが帝国出身であり、勝気である、ということが彼女には立候補の動機にもなっていました。 「それに、あれだけの戦いがあったのに……すぐに帝国の方と本当に、心から仲良く……できるのでしょうか……」 気弱だからこそ、今まで虐げられてきた、自分からなかなか意見を言えない人たちの声をすくいとれるのではないかとも考えています。 生徒会長ではありませんが、守旧派として会計に立候補した村上 琴理(むらかみ・ことり)は、百合園がラズィーヤが女官を育成するために設立したという面に重きを置いています。できるだけ保守的に生徒会を運営したいと考えているようです。 琴理は疑問をぽつりと漏らす桜子に、頷きました。 「そうですね。私は今まで通り、百合園はまずヴァイシャリーと共に在り、それからシャンバラのため、留学生のためになっていけばいいと思っています。 まずは地元の方たちの意見を取り入れて、何があっても、ヴァイシャリーの一般の住民を、契約者として守れるようにしたいのです。 ラズィーヤさんがヴァイシャリーに日本が母体の百合園を選ばれた以上は……その目的のために、受け入れる意見の取捨選択の中に、まず日本人として、大和撫子としての価値観を中心に置きたいと思っています」 これからの百合園が守旧か革新か、それとも中立か。何処に向かうかは勿論生徒ひとりひとりの選択次第ですけど、と彼女は付け足します。 「彼女はきっと帝国に帰る人でしょう。他者の権利を尊重するのは大事ですが、アナスタシアさんの主張は、彼女が生徒会長にならなくても、私たちで取り入れられることだと思いますし……。 誰にでも優しい人は、誰にも優しくないのとよく似ていると思います」 「もし、私が会長になれたとして、いえ、なれなくても……私が百合園を卒業した後も……地球にもし帰ってしまうようなことになっても……」 桜子は夕日に染まる波間を見つめました。 「私の行動は、私のものだけではないんですね……きっと」 そんな、それぞれの意思と悩みを抱える候補者たちを、ラズィーヤと春佳、そしてシャンバラ海軍ヴァイシャリー艦隊所属、海軍中将・フランセット・ドゥラクロワ(ふらんせっと・どぅらくろわ)提督は遠くから眺めています。 「それで、選挙は上手くいっているのか?」 フランセットの問いに、ラズィーヤは微笑みます。 「ええ。このお茶会が終わりましたら、すぐに百合園女学院で投票が始まりますわ。万が一もないように……選挙管理委員の皆さんが気を付けて準備を進めてくださって、とても助かっていますわ」 「万が一、ね。そこに従妹殿は含まれていないと見える」 「どういう意味かしら?」 あくまでも優雅に微笑むラズィーヤに、フランセットは肩を竦めました。 「従妹殿のことは信用しているが……選挙なのだから、生徒の意見を尊重して欲しいものだと思ってな」 「さあ、どうかしら、ご心配には及びませんわ。それより、警備の方を引き続きお願いいたしますわね」 「分かっている」 海上周囲には刃魚という海の魔物が現れ、客人のイルカの一人が怪我を負ってしまったのでした。 フランセットは、今のところ海中にいなければ危険はないと判断したものの、海軍に警備の強化を命じています。 「候補者が警備スタッフの任を選ぼうと、危険は及ばせない。……と改めて言うほどのこともないが。刃魚はせいぜい1〜3メートルほどの魔物だ、契約者なら問題なく対処できるだろう」 海軍や警備担当者の人員配置について、彼女は簡単に説明しました。 「跳ねたところを始末するか、小型飛空艇や水上バイクを出せば問題ない。海に飛び込んだりしたら少々厄介だが──流石に夜の波間だからな」 「景観を損なわずに、対処していただけますわね?」 「努力しよう」 そう、お茶会の会場は船です。これからアフタヌーン・ティー、そして夕食をいただきながらのナイト・クルーズが始まるのでした。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
こんにちは、有沢です。 ▼サンプルアクション ・生徒会役員に立候補(副会長) ・お茶会のスタッフをする ・お茶会で警備をする ▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています) 2011年08月27日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2011年08月28日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2011年09月01日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2011年09月15日 |
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