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砂時計の紡ぐ世界で 前編

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シナリオガイド

それは少女の望んだ日常。非日常のその世界に、欲しかったぬくもりがある。
シナリオ名:砂時計の紡ぐ世界で 前編 / 担当マスター: 640

 どう見ても、そこは学校なんかではありませんでした。

「妙、だな?」
「……そりゃあ、見ればわかりますけどっ」
「そうじゃなく。……ふむ、これは我々は、厄介なところにきたのかもしれんぞ」
 
 たしかに、自分たちがいたのは灯りを落とした、薄暗い実験室だったはず。そうとも──間違い、なく。
 雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)の前には本来なら、そんな光景が広がっているべきでした。

 なのに、今目の前にあるのは、麗らかな春の日差しと。その下広がるいくつものテーブルに、装飾に。豪勢な料理たちの数々。
 無数の参列者たちが、ぽかんと目を瞬かせる雅羅たちを尻目に、談笑しあっています。
 はたしてこれは一体なんなのか──なにかの祝い事、ということだけはどうやら、たしかなようですが。
 
 そこには、知人に誘われて雅羅が訪れた実験室の、発掘品の調査実験を思い出させるものなどなにもありません。
 実験を、実際に行っていた人たちも。見学に訪れた人々も。雅羅を誘った友人たち、また逆に雅羅の誘った友人たち。そして実験室のあった建物内部にいたすべての人──もといた場所を連想させるのは、たったそれだけです。
 巻き込まれた皆が皆、面を食らっていました。
 やはり原因は、あの発掘品なのだろうか。内部の砂から不思議な波長を放つ女王器……『回帰の砂時計』。たしかそんな名前だったな、と雅羅はぼんやり、記憶をたどり思い起こします。

「じゃあ、なにが?」

 そうしながら、不意にすぐ傍から聞こえてきた声──実験室において、指揮をしていた顔です──アクリト・シーカー(あくりと・しーかー)の言葉に振り返ります。
 メディアでも、何度も見たことのある年上の男。大学教授の先生へと雅羅は一応、敬語で応じます。

「あれだ。すぐそこに見えるだろう、あの城だ」
「ああ、んー。えーと? 『グリヴァーミ・ダイム城』? それが、なにか?」
「あの城は……あの城と同じ名前の遺跡から、『回帰の砂時計』は発掘されたのだよ。つまり私たちの時代に、あの城は現存しないことになる」
「なん……ですって……?」
 
 それは、……それって、つまり。
 
「ここが過去だっていうんですか」
「いや……それも、少し違う。ここは過去のようで──過去ですら、ないのかもしれん」
 
 アクリトは言います。
 あの城が現存していた時代、人の存在がそこにあった時代には、この地方はこのように温暖な気候ではなかった、と。
 かつてここは、あの城を取り巻く環境は──寒風と吹雪に満ちた、すべての生命にとって過酷な氷の世界であったはず。
 当時の資料では、こうある。雪原より天を衝く、儚く散った水晶の城……と。見つめる先、彼は件の城を指し示します。

「過去なのに、過去じゃあない。これは実に奇妙なことだ」
「まさか、パラレルワールド、とか?」
「むしろ、そんないいものでさえないかもしれんな。過去のどこかの時点を模し、改変した幻想。幻に過ぎないのかもしれん」
「戻る戻らない以前に、まずそこから突き止めないと……ってことですね」
 
 まだ、なにか知っている様子の頷くアクリトとともに、雅羅はすぐそこに見える古城を見上げます。
 村人たちの演奏が、鳴り響きます。

「ひとまずは、村人たちの言う『砂時計の姫さま』──そこに手がかりを求めるべきであろうな」
 
 さあ、ここがどこなのか。どうすればもといた場所に戻れるのかを探すために、まずは『砂時計の姫さま』に会いに行きましょう。

担当マスターより

▼担当マスター

640

▼マスターコメント

・マスターコメント・

 ごきげんよう。ゲームマスターの640です。今回ははじめて、前篇・後篇に分かれたノーマルシナリオを担当させていただきます。よろしくお願いします。
 今回のシナリオはちょっとタイムトラベル風の、幻の世界における出会いと冒険になります。前編は、その「出会い」編というわけですね。
 
 みなさんが突然飛ばされたその世界はうららかな陽気の常春の世界、そしてお城。温和な村人たちという牧歌的な風景の中にあります。
 ですがどうやらこの世界、現実に存在した「過去」の世界ではないようです。
 それもそのはず、このあたたかな世界はすべて、『回帰の砂時計』が、『砂時計の姫さま』の願いを受けて作り上げた幻の世界だからです。

 『回帰の砂時計』。それは、「「もしも」の幻想を現実のものにする」女王器でした。手にし、それを逆さにした者の願いを受けて、望まれた世界を投影するアイテム。それが『回帰の砂時計』です。
 砂時計の叶えた願い。その世界は、『砂時計の姫』──ダイム公爵令嬢という、ひとりの孤独な少女の願いでした。
 彼女は生まれつき体が弱く、口もまた聞けません。そして周囲の環境は臣下と呼べる者さえ乏しい、極寒の過酷な世界──辺境の一領主にすぎなかった彼女は、若くして歴史の荒波の中に、その居城とともに消えていくことになります。
 いつ、彼女が砂時計へと願ったのかはわかりません。しかし、彼女の願いはこうでした。
「あたたかな世界で、自分の治める領民たちと誕生日を祝いあい、元気に笑いあえる自分のいる世界が。……そんな、未来がほしい」。
 かくして砂時計は城の最上階にいるダイム公爵令嬢の願いをかなえ、幻の世界をつくりだします。そして、『未来』からあなたたちを呼んだのです。
 パラミタの歴史に造詣の深いキャラクターならば、彼女の生涯について城の名前から思い至る人物もいるかもしれませんね。
 
 前編である今回は、まだ実験室での見学やその周辺にいて巻き込まれた皆さんは現代へと(現実へと)帰ることはできません。ダイム公爵令嬢の願いをかなえて、彼女の誕生日を皆で楽しく過ごすことが目的となります。
 既に砂時計の発動しているこの世界では、ある程度皆さんの「願い」がここでのみ、現実のものになります。
 たとえば、祝いの料理を気に入ればそれを飽きるまで無限にあふれ出てくるよう、皿の上に願うこともできますし、変身願望のある方は男女の性を変えることを望んでもいいでしょう。カップルなら赤ちゃんをふたりでかわいがる、というのもあると思います。もちろん願望など関係なしに、ダイム公爵令嬢を連れ出して一緒に楽器を演奏したりしてもいいのではないでしょうか(この世界では、公爵令嬢は自身の願いを受けて明るく元気な、歌のうまい女の子になっています)。
 思い思いにこのひとときの幻想を楽しみ、笑いあい。『砂時計の姫さま』の願いを叶えてあげてください。

▼サンプルアクション

・ダイム嬢と一緒に彼女の誕生日を祝う。

・恋人と性別を交換して普段と違う演出で愛を確かめ合う。

・死んだ恋人の幻影と静かに過ごす。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2011年10月25日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年10月26日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年10月30日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年11月14日


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