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過去という名の鎖を断って ―愚ヵ歌―

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シナリオガイド

愚かな過去を今へと繋ぐ 亡霊退治をご一緒に……
シナリオ名:過去という名の鎖を断って ―愚ヵ歌― / 担当マスター: 藤乃 葉名

 空京にある総合病院の一室。高円寺 海(こうえんじ・かい)はベッドで半身のみを起こしているウォウル・クラウン(うぉうる・くらうん)を見詰めています。

その探索を――俺が……?
「えぇ。現状で、僕が素直にお願い出来るのは貴方だけ、ですから」

 深刻な表情の海に対し、ウォウルは別段表情を浮かべるでもなくそう言い放ちました。

「ラナロックさんが、まぁその…………なんだ? 封印されていた古代兵器だ。ってのはわかったよ。それで、俺は彼女が眠っていた遺跡を探索する。っていうのもわかった。でも、具体的に何を調べりゃ良いのか…………」
「僕が……いや、厳密に言えば『僕たち』が彼女を見付けたとき、近くには本のようなものがありました。彼女の眠っていた部屋、彼女が安置されていた棺のような入れ物の付近にねぇ。おそらくはその本に、何かしらの記述がなされていたのでしょう。貴方には、それを持ち帰り、またそれ以外の手掛かりを探して来てもらいたいのですよ
「本、と、その他のヒントになる何か、か。ま、必要とあれば探すまでだ。でも良いのか? 俺たちが勝手に踏み込んじまっても」
「問題ないでしょう。何せ、その遺跡は彼女を封じておく為のものだったのでしょうから」
「なら良いけどさ………」

 浮かない表情で返事を返す彼は、ウォウルから目線を外します。

「ただ、気をつけて下さい」
「気をつける? 何を?」
遺跡と言うのは往々にして罠にまみれているものですよ。原始的なトラップから、高次元的なトラップまで――ね。それこそ、あのお姫様を眠らせたくらいの力をもった方が作ったものなのでしょう、基本的に危険なものばかりかと」
「そ…………そうだな」
「すみませんねぇ、自分で行けるのならば、極力自分で解決したかったんですが………どうやらその様な悠長な事、言ってはいられないようですから」
「まぁ、何とかするさ」
「僕も出来る限り、呼べる人は呼んでおきますよ」
「よろしく頼む」

 二人は真剣な面持ちで話をしていた時でした。ドアが開き、雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)と一人の男が病室へと入ってきます。

「うわぁ……本当に入院してる。信じられないわ………」
「よう、ウォウル。このお嬢さんとたまたま道端で会ってな、事情を聴いたんだよ」

 雅羅の隣に佇む男はドゥング・ヴァン・レーベリヒ。ウォウルの友人である彼もまた、ウォウルを見舞いに来た様です。

「でも、何で私がウォウル先輩と面識があるって、知ってたんですか?」
「僕がよく、彼に貴女たちの話をするんだよ。それに――」

 そう言って苦笑を浮かべるウォウルは、雅羅とドゥングへ目を配ります。

「……? 先輩………?」
「どうした、ウォウル」
「いえ、特には…………………」

 その様子に首を傾げる雅羅、ドゥングを見たウォウルは言葉を止めて考えます。

「(なんだろうね………この違和感。それに――)」

 いつしか灯っていたいつものニヘラ顔が消え、真剣な表情になったウォウルはしかし、あえて何も言いません。と、海が思い出したように口を開きました。

「そうだ、ラナロックさんだけど、あんたに言われた通りにはしておいた」

 それはウォウルのパートナーである、ラナロック・ランドロック(らなろっく・らんどろっく)の事の様です。ウォウルはやや安堵したように頷きます。

「そうですか、何事もなく出来たのであれば良かったですよ」
「ラナロック先輩、どうしたの?」
「ラナは――そうだねぇ。ちょっと事故にあってしまって」
「二人して…………何やってるんですか」
「いやぁ……面目無い」
「に、しても――だ。良いのか? あんなんじゃ彼女だっ――」
「平気ですよ。彼女、とっても強い子ですから」

 海の言葉を遮るウォウルは、それから話題を切り替えてしまいました。海も、『この場でその話はウォウルが望んでいない』と判断し、以降その事には触れないでいることにした様子です。
それから二時間近く、世間話をしていた彼等は、海の「さてと」と言う一言で区切られます。

「そろそろ俺たちは帰るとするか」
「んー、そうよね。あんまり話してたら先輩の体に障るし」
「はっはっは! いやはやウォウル。お前は本当に良い後輩を持ったな」
「あぁ、そう思うよ。改めて、ね」

 三人は立ち上がり、適当にウォウルへ挨拶をすると病室を後にしました。海を残して。

「それでは、明日の朝にでも――お待ちしていますよ。出来れば、協力者以外の方たち以外は人払いをしておいていただけると」
「……………気、使いすぎじゃないのか? もっと皆に頼っても――」
「僕もね、そうは思います。思いますけど………フフ、君に愚痴っても仕方の無い事です。兎に角、任せましたよ」
「……おう、アンタは早く養生しろよ。なんだかんだ言って、心配してるやつも沢山いるんだろ?」
「さぁ、どうですかね」

 やや自嘲気味に笑みを溢したウォウルに笑顔を浮かべた海は、軽く挨拶を交わすと部屋を後にし直ぐ様先に出ていた二人のもとへと向かうのでした。

「ドゥング………君は本当に、手の掛かる人だ。でもまぁ、借りは幾つかありますしね」

 何やら意味ありげな呟きを吐きながら、彼は窓の外の夕焼けを見ています。何か、確信にも似たような物を抱きながら。





 時刻は午前零時――。総合病院の屋上に彼は立っていました。

『マダ生キ永ラエテイタカ…………………ウォウル・クラウン…………』

 合成された音声のそれで、ドゥングは呟きます。

死ナネバナラヌ……死ナネバナラヌ。アノ忌マワシキ最後ノ子ト共ニ――死ナネバナラヌ………

 何処か呪詛めいたその言葉を放った彼は、一度強力な光に包まれ、次の瞬間にはその場から消えていました。何やら不気味な陣を残したままに――。




担当マスターより

▼担当マスター

藤乃 葉名

▼マスターコメント

  ※当シナリオは、同マスターの前回公開シナリオ『古代兵器の作り方』から一ヶ月が経った、という設定でお送りします。


 シナリオガイドをご覧いただき、誠にありがとうございます。藤乃です。どうかご縁がありましたら御参加いただければ、と思っています。
複雑、もしくは長くなっていますが、下記のガイドをご参照頂ければ幸いです。

【はじめに】
 このシナリオは前回のシナリオ、『古代兵器の作り方』に引き続く形となっております。ですが、前回のシナリオに参加していない方でも気兼ねなくご参加いただければ幸いかな、と。
なお、今回初めて参加なさる方で、『前回のシナリオは気になるけど、さくっと状況を知りたい』という方へ向け、アクションを考える目安を出来得る限りご説明をさせていただきたく、

ウォウル・クラウン
ラナロック・ランドロック

の設定頁、マスター頁にて前回までに状況を記載させていただきます。お手数ですが当ガイドと併せてそちらを御一読下されば、粗方の流れは掴めるかな、と思いますので、どうぞ。


【標に】
 今回の流れは、大きく分けて二つにあります。

○ウォウルへのお見舞
○海と共に遺跡探査

 ウォウルへのお見舞いを選択された方は、『彼と会話』、『更に掘り下げた情報の獲得』等になります。また、ガイドの後半にありました様にドゥングが、夜中、屋上に「禁猟区」らしきものを発生させて何かを残していきました。それにより何かがあった場合は『ウォウルや他の入院患者を守る』、更に危険な事態を未然に防ぐために『屋上へ向かい、何があるかを突き止めて阻止する』と言ったアクションがよろしいかと思います。無論、この他のアクションも極端にシナリオが破綻するもの以外ならば問題はありません。

 海と共に遺跡探査を選択された方は、ラナロックに関する情報を得る、海を守る、等と言ったアクションになるかと思います。
あくまでも一番の目的は『ラナロックの情報が書かれた本の回収、またそれ以外の情報の回収』であり『全員が無事に帰還する』事となります。
遺跡は一階(地上)から地下へと向かって延びています。フロアは一階、地下一階、地下二階まで全部で地下二階まであり、様々なところにトラップが仕掛けられています。
トラップは――

・クレイモア、虎鋏の様な設置型の物
・モンスター等の自立式の物
・落とし穴、天井の降下、または側壁の開閉等のフロア自体が罠になっている物

があります。設置式、フロア自体の罠につきましては『トラッパー』等で回避でき、予めフロアなどに点在している自立式の罠(モンスター等)に関しては『殺気看破』等のスキルで回避出来ます。しかし、全てが回避可能と言うものではないのでご注意下さい。
以上の事から、この選択肢の場合

『一階を重点的に探索する』、『地下一階を重点的に探索する』と言った探索アクション。
『トラップを解除する』、『周囲の警戒』、『囮になる』と言った索敵・陽動アクション。
『(スキルを未使用で)自立式の罠を撃破』、『妨害者の撃破』と言った戦闘アクション。
『トラップの設置』、『海たちの妨害』と言った妨害アクション。

等が挙げられます。こちらも、あくまで指針ですので上記同様に極端にシナリオを破綻させない程度であればこれ以外のアクションでも構いません。


 また、雅羅・サンダース三世、ラナロック・ランドロックの両名につきましては、参加される方々のアクションに関与が無い場合、今回のシナリオには出てきません。言い換えれば参加者様のアクションにより登場する事になります。登場する場合、どこのルートに登場するかは
『お呼びいただいたPL様がお一人の場合、そのアクションに関係する形で参加』
『お呼びいただいたPL様が複数いる場合は、より多かったルートに登場し、皆様のアクションに関係する形で参加』
とさせていただきますのでご理解下さい。


【御留意いただく点について】
 誠に申し訳ありませんが、お見舞いに行く方は遺跡探索へ行くことはできません。逆もまた然りになります。
遺跡探索は朝から一日かかってしまいますし、ウォウルのお見舞いは彼に何かがあったときの為に警戒しなくてはいけないと思いますので。

 雅羅・ラナロックを呼びにいかれる方に関しましては、呼びにいったあと、どちらかに合流し、参加と言う形になります。

 ご理解、ご容赦のほど、お願い致します。



 長くなってしまいましたが、以上になります。
皆様と当シナリオでお会いできる事をお待ちしております。

 

▼サンプルアクション

・ ウォウルが心配だったから

・ 海一人じゃ心配だから

・ 面白そうだから

・ パニックになる前に阻止できたら、良いと思ったから

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2011年11月12日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年11月13日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年11月17日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年12月02日


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