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仇討ちの仕方、教えます。(前編)

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仇討ちの仕方、教えます。(前編)

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シナリオガイド

さあ時代劇! シリアスな仇討ち! 何でもアリな芝居の一座!
シナリオ名:仇討ちの仕方、教えます。(前編) / 担当マスター: 泉 楽

 その日、丹羽 匡壱(にわ・きょういち)は甲斐家の若き当主、甲斐 小七郎(かい・こしちろう)に呼ばれ、武家町にある彼の屋敷を訪れました。

「よくお出で下さいました」
 匡壱は以前、小七郎が甲斐家を継ぐ際の騒動に関わったことがあるのです。挨拶代わりに互いの近況を報告し、小七郎は本題に入りました。
 隣の間に、若い男女と老人が一人控えていました。
「こちらは、久利生(くりう)藩野木坂 健吾(のぎさか・けんご)殿、義姉の千夏(ちなつ)殿でござる」
 老人は従者の堀田 卓兵衛(ほった・たくべえ)だと言いました。

「単刀直入に申します。明倫館に、仇討の手伝いをお願いしたい」
「……確かにストレートだな」

 匡壱は、事情の説明を要求しました。

 久利生藩はマホロバでも北の方に位置する、小さな藩です。五年前、健吾の兄野木坂 琢磨(のぎさか・たくま)は、千夏と祝言を上げました。美男美女のその式は、まるでお雛様のようだと評判になりました。
 三日後、勘定方に勤める琢磨は、同僚に誘われた宴席の帰り道、死体となって発見されたのです。下手人は、部下の立花 十内(たちばな・じゅうない)とされました。宴席で、二人が口論しているのを全員が見ていたのです。先に帰った十内を琢磨が追いかけた、と証言する者もいました。
 十内はそのまま出奔し、健吾は千夏、宅兵衛と共に仇を探して旅に出ました。
「――五年になります」
 兄に似て、健吾は凛々しい若者でした。琢磨が殺されたのは、健吾が十六のときです。琢磨は二十歳、新妻の千夏はまだ十七でした。
 手を尽くし、方々を探し回った結果、最近になって葦原島で十内らしき人物を見かけたという情報が入りました。それも、この城下町に程近い場所でです。
「ところが、それきり足取りが途絶えてしまいました。大事にすれば相手は逃げかねません。故に、明倫館の方々にお願いしたいのです」
「話は分かった」
 匡壱は、ぽんと膝を叩き、健吾と千夏に向き直りました。武士道を重んじる匡壱にとって、仇討は無視できる話ではありません。
「有志を募って、協力しよう」
「ありがとうございます!」
 深々と頭を下げる健吾と卓兵衛にやや遅れ、千夏も静かに礼を述べました。長旅を経たにも関わらず、彼女の顔色は、紙のように真っ白でした。

*   *   *

 その頃、仁科 耀助(にしな・ようすけ)は歓楽街にある芝居小屋を訪れていました。
「いる?」
「またいらしたんですか」
 呆れたように出迎えたのは、下足番の左源太(さげんた)という男です。
「学校の方はいいんですか?」
「オレみたいに優秀な男には必要ないんだ」
 胸を張る耀助に苦笑しながら、左源太は楽屋裏へ案内しました。
 そこにいたのは、座長の染之助(そめのすけ)。男名ですが、耀助好みの滅法美人です。十日前に彼女を見て以来、朝な夕なに小屋に押しかけ、遂に楽屋裏に出入りする許可を得たのでした。
 その美人が憂い顔でため息をついています。
 これを見過ごすわけにはいきません。耀助はキリリと顔を引き締めました。
「どうしたんだ、太夫?」
「ああ、仁科様。いらっしゃいまし。いやね、どうも今回は客の入りが悪くていけません」
「そういや、ガラガラだったな」
「前にやった心中物も飽きられたらしくて、すぐ近くの小屋に客を取られているんです」
「オレはこっちの方が好きだけどな」
 特に座長が、と心の中で付け加えます。
「このままじゃあ、ここを追い出されちまいます」
「えっ、一月は興行するんだろ? 後、二十日もあるじゃないか」
「そういう約束なんです。客が四割切ったら、別の一座に渡すっていう」
「それは困る!」
 十日かけてお近づきになり、残る十日で更に親しくなり、最後の十日でデートに持ち込む予定の耀助としては、ここで芝居が打ち切られるのは大変困る話でした。何しろ一座が町を出たら最後、戻ってくるのは一年以上先の話なのです。
「よし、任せろ。明倫館には色々な奴らがいる。きっとうまいこと考えてくれる奴がいるはずだ」
「本当ですか?」
「その代わり、うまくいった暁には、二十日後にオレとデートを」
 しっかと握った耀助の手を、染之助は更に強く握り返し、ハスキーな声で答えました。
「何でもします」
 その瞬間、耀助が飛び上がらんばかりに喜んだことは、言うまでもありません。


 そして葦原明倫館には、二つの依頼が舞い込みました。

 一つは仇討ちの手助け。
 もう一つは芝居小屋を盛り上げること。

 さて、あなたはどちらを選びますか?


担当マスターより

▼担当マスター

泉 楽

▼マスターコメント

ちょっとばかりお久しぶりです。明倫館に帰ってきました。泉 楽です。
今回の話は二つに別れています。「仇討ち」か、「芝居の一座を成功させる話」かを選んで下さい。基本的に、MCとLCで別々の話を選ぶことは出来ません。
また、今回は前後編の前編に当たります。この前編では、「仇の十内を探す」ことと「後編で一座が芝居を続けられるか」までを描く予定です。
ガイドの時点で、仇については立花 十内という名前以外、何も分かっていません。従って、仇討ちに関しては情報収集がメインになると思われます(もちろん、アクション次第ですが)。
甲斐 小七郎は、以前のシナリオ「狙われた少年」「ご落胤騒動」に出ていますが、今回の話には直接関わりがない話のため、目を通す必要はありません。ただし、上記の話で関わったPCは、顔見知りという設定でアクションをかけることもできます。そうでない人は初対面になりますので、それなりの手順を踏んでください。

それでは皆様のご参加をお待ちしております。

NPC情報
▼野木坂 健吾(21):久利生藩の藩士。野木坂家の次男で、殺された兄・琢磨の仇である十内を追ってます。琢磨は非常な美形でしたが、健吾はどちらかといえば男らしく、凛々しい顔立ちです。剣術の腕は程々。
▼野木坂 千夏(22):故琢磨の妻。健吾と共に十内を追っています。表情は暗めで体調もあまりよくないようです。
▼堀田 卓兵衛(45):野木坂家に仕える人物です。剣ではなく槍を使いますが、腕はあまりよくありません。

▼甲斐 小七郎:甲斐家の養子で若き当主。頼まれて、健吾の仇討ちに協力しています。ちなみに実家の諏訪家は、忍びを飼っています。

▼立花 十内(23):勘定方で琢磨の部下だった男です。葦原の城下町にいるらしいのですが、詳しいことは不明。シナリオガイドの時点で、PCは彼の名前と年齢以外、一切知りません。

▼染之助太夫:二十代前半。芝居の一座の座長。かなりの美人ですが、声はあまり良くなく、男役を専門にしています。殺陣はかなり上手いです。
▼左源太:染之助一座の下足番です。年は二十歳前後。

▼サンプルアクション

・仇討ちの手伝いをする

・染之助一座の手伝いをする

・染之助一座のライバルとして、別の一座の味方をする

・芝居を見に行く

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年01月23日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月24日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月28日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年02月07日


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