蒼空学園

「……無理かな？」
「無理ですってば」

　ジヴォート・ノスキーダ（じぼーと・のすきーだ）の社長室では、そんな押し問答が幾度も繰り返されていました。
　首をかしげるジヴォートに対して、社員が首を横に振っています。

「ちぇ。会ってみたかったのにな」
「プライベートでどうぞ」
「せっかくだし、いろんな人に見てもらいたかったんだよ」
「お気持ちは分かりますが、さすがに厳しいですよ」

　どうやらジヴォートがかなり無茶な企画を立てようとしているのを社員が止めているようです。
　その企画とは……。

「氷の鳥（ひょうのとり）、一目でいいから会ってみたいなぁ」

　火の鳥ならぬ氷の鳥と呼ばれる鳥に会いに行こう、と言うものです。
　ただそれだけならば問題はないのかもしれませんが、その鳥が高く険しい雪山の頂上にしかいないとなると話は変わります。頂上付近はヘリも入れないほどに風が強く、年中雪が吹きすさぶ山は、プロの登山者ですら避けて通る山で『人が関われる山ではない』とまで言われています。
　そんな山に機材を抱えて登るなど、常人には不可能。
　ジヴォートも実現が困難なことは分かっているようでしたが、幻と呼ばれるその鳥を見たい気持ちが勝っているのか。諦めきれないようです。

　秘書兼護衛の、一見ヤのつく職業の人に見えるプレジ・クオーレ（ぷれじ・くおーれ）はしずかにやり取りを見守っていましたが、サングラスのズレを直すと、こう提案しました。

「ジヴォート様。契約者の皆様に依頼して見てはいかがでしょうか」



＊　＊　＊


「氷の鳥？」
「はい。生物がほぼ住めないほど険しい雪山にしか生息せず、体は溶けない氷のようなものでできており、時折下界に落ちた羽などが高値で取引されている幻の鳥です」
「……あのバカ……ジヴォートはそんな鳥を見に行こうとしているのか？」
「そのようです。たしかにもしも全体像をカメラに収めることができたのならば、世界中が注目する偉業となるでしょうが、道中が危険であるのは間違いないでしょう」

　ドブーツは秘書からの話に、ギリギリと歯を鳴らしました。秘書は素直に感情をあらわにしているドブーツを、静かに見守ります。
　一通りジヴォートへの悪口を言い終えたのを見計らい、秘書はたずねます。

「どうなさりますか？」

　答えは簡単でした。

「決まっている。……ロケを中止させろ」
「分かりました」


＊　＊　＊


　ジヴォートが氷の鳥を撮影しに行くという話は、大々的に公表された訳ではないものの、秘密にされていたわけでもありませんでした。
　話を聞いたほとんどのものは「おろかな」「へぇ、がんばれ」「ママ、あの土星君人形欲しい」「イキモって変な名前だよね」と言うだけでしたが、彼らは違いました。

「これはチャンスだ」
「そうですね、兄貴！」
「大チャンス到来っす！　ジヴォートの会社で派遣社員としてたまたま雇ってもらってよかったですね」
「バカ！　それは余計だ」

　派遣社員として日々必死に働いている彼らでしたが、それは表の顔。裏では動物を密猟するハンターなのです。もちろん。氷の鳥の羽が高額で取引されることも知っています。
　動物たちの情報が手に入るのでは、と潜入していたかいがあります。……別に他に働き先がなく、日々食べていくためにたまたま働いていたわけではないのです。
　断じて！

「氷の鳥を捕まえれば、一生働かなくても食っていける。行くぜ、野郎ども」
「「おおっ！」」

　おはようございます、こんにちは、こんばんわ。はじめまして。お久しぶりです？
　舞傘（まいかさ）です。
　もう春だというのに、寒さを思い出させるようなシナリオを書いたのは、なぜなのだろうと自分で自分に疑問を抱いてます。

　今回はジヴォート君が鳥さんに会いに行きたいようです。なのでそのための同行者（護衛＆撮影スタッフ）を募集しています。
　よろしければ手伝ってあげてください。
　鳥以外にも珍しい生き物が現れたり襲ってくる可能性があります。
　また、山はかなり厳しい環境ですので、準備は万端で挑みましょう。

　また、ドブーツ君もジヴォートの企画を止めさせようと、その筋に依頼を出しているようです。登山の準備中。登山中などにさまざまな妨害が予想されます（※ＰＬ情報）。

　他にも何やら企んでいる人たちもいるようで……ただこちらもＰＬ情報（キャラクターが少なくとも現時点で知らない情報）となりますのでご注意ください。

【ＮＰＣについて】
◆ドブーツ・ライキ◆（文字を名前と家名それぞれで並べ替えると……？）
　ジヴォートとはいわゆる幼馴染に当たる。ジヴォートに辛く当たっているが、本気で嫌いなわけではないようだ。
　昔ジヴォートの友を殺したといっているが……。
　かなり頭が良い。動物が苦手で嫌い？

◆密漁ハンター◆
　兄貴・子分１・子分２の３人。名前はＡＮＩＫＩ＝ＤＥＳＵ・ＫＯＢＵＮＮ＝ＯＮＥ・ＫＯＢＵＮＮ＝ＴＷＯです（適当。カタカナ表記可）。
　あまり強くないが、悪知恵はそこそこ働く。
　スタッフとして同行。
※３人が氷の鳥を捕まえようとしているのはＰＬ情報となります。

・ロケ隊に参戦！

・ロケの妨害！！

・ジヴォートの護衛！

・氷の鳥を捕獲！