蒼空学園

　時刻は午後九時を少し超えた頃。
　人気の少ないビル群の裏通りから突如として、火柱が上がりました。炎は20メートルはあるビルの屋上まで立ち昇っていきます。
「キャー！」
表通りを歩いていた人々の悲鳴が上がりました。
「くく……」
　その悲鳴を待っていたかのように男は笑いました。フードを目深に被った男の顔は火炎の明るさでもハッキリとは分かりませんでした。
　炎の熱でビルのガラスが砕け散り、次々と下へ落下していきます。ビルのガラスには耐震用にフイルムが貼られていましたが、炎の熱で機能を失っています。
「ククク……」
　満足そうに男は再び笑います。

　「……楽しそうなことやってんじゃねえか」
「！」
　男が振り返ると、キロス・コンモドゥス（きろす・こんもどぅす）が立っていた。キロスは気怠そうに髪を振り払います。
「俺の近くで放火とは良い度胸だな」
「……」
「何だ？さっきみたいに笑ってろよ」
　キロスは男の顔を注視するが、フードを目深に被っており顔を見ることは叶いません。
「お前は放火の現行犯だ。大人しくしてれば、痛い思いをしなくて済むぜ」
「……」
　男は両手を前に差し出し、ゆっくりと持上げました。男の手には何も無いことをキロスは確認していました。
「ほぅ、良い心がけだ」
　キロスは男に近づくために前へと歩き出します。

「ちっ……」
　男は舌打ちをしました。
　そして同時に、キロスの正面に炎の壁が現れます。
「な、てめえ！」
　腕を突き伸ばすが、炎に阻まれキロスは手出しが出来ません。
「チィ！」
　腕で顔を防ぐが、火炎がキロスの肌を薄く焼きます。
「くくく……」
　そこでキロスは男の瞳が一瞬だが見えました。その瞳は青く輝いていました。
（魔術じゃねえ、こいつは――）
「パイロキネシスッ！」
「ククっ！」
　男はキロスに背を向けると、ビルの壁面を駆け上がります。
「待ちやがれ！」
　男は壁を蹴り上げ、遂には屋上へと姿を消しました。
「クソが……」


　蒼空学園のある一室。
「昨日は御苦労だったな」
「火事の後始末をしただけだ」
　イライラとキロスは高円寺　海（こうえんじ・かい）の質問に答えていました。
「また危ないことをやって！何で私を呼ばなかったの？」
　夏來　香菜（なつき・かな）がキロスを叱責しますが、キロスは意に介しません。
「うるせぇ……」
「火術の類いではないの？」
　雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）がキロスに尋ねました。
「火術の類いじゃねえ。俺の感だが、あれは奴が見ている場所を燃やしていた」
「パイロキネシス――発火能力者……」
「ああ、野郎いきなり炎を出しやがった」

　「……近頃頻繁に起きている大規模な放火事件に関係しているのかもしれんな」
　海はモニターにここ最近の放火事件のニュースを表示させていました。
「放火犯の確保の為に、俺から各校に依頼を出しておく。雅羅達もキロスに協力してやってくれ」
「分かったわ」
「任せてください！」
「野郎、次は逃がさねえ！」


「兄さん、見つかるのが早かったんじゃないの？」
「問題ない、目立たない場所での肩慣らしは終りだ」
　暗がりの小さな一室で二人の話し声が聞こえてきます。
「俺達は運が良かった」
「うん」
「パラミタでの能力強化実験――強化人間としての契約。コントラクターになったお陰で俺達の能力が開花した……」
「研究所の中で底辺だった俺達に勝てる奴は誰も居なくなった」
「兵隊を用意していたけど、サクシードになった僕達の相手にもならなかったね」
「ああ、俺達は自由だ」
「そうだね。僕達の邪魔はさせないよ」
「……折角手に入れた力だ。今度は繁華街で派手にやらせてもらう！」
「コントラクターになった僕達の力を思い知らせてやろう」

　お久しぶりです、村野憂規です。こんにちは。

　キロス達の目的は、放火犯を捕まえることです。キロス達と協力し、街の人々を守って下さい。
　　
　放火犯は二人おり、それぞれ以下のスキルを持っています。
　兄のスキル：サクシード（継人類)
　『ディメンションサイト』『グラビティコントロール』『パイロキネシス』『記憶術』
　『フォースフィールド』『アブソリュート・ゼロ』『Ｔ・アクティベーション』『行動予測』
　弟のスキル：サクシード（継人類)
　『ディメンションサイト』『グラビティコントロール』『記憶術』『パイロキネシス』
　『Ｔ・アクティベーション』『行動予測』『アブソリュート・ゼロ』『天候操作』


　1.場所は人通りの多い街中になります。一般人が多く居ますので、巻き込みに注意する必要があります。
　2.日が暮れた夕方から夜にかけて、放火犯達は犯行を考えています。
　3.放火犯達はコントラクターとして、スキルを持っていますのでスキルを考慮してアクションを考えて頂くと良いかも知れません。

　それでは宜しくお願い致します。

　

・海と一緒に一般人を守る

・キロスと一緒に放火犯を追いかける