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第一章 ミーティング
――蒼空学園の会議室。
「しょっと、これで椅子の移動は最後だね」
「うん。こんな形で良いかな、海君?」
会議室には杜守 柚(ともり・ゆず)杜守 三月(ともり・みつき)と高円寺 海(こうえんじ・かい)が既に来ていた。
椅子やテーブルを動かし、ミーティングの準備をしていたようだ。
「ああ、十分だろう。助かったよ」
「良いの。気にしないで」
「それで頼みごとって何かな?」
学園内のベンチに綺麗に座った小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は夏來 香菜(なつき・かな)に尋ねた。
香菜から連絡が来たのは、ついさっきだ。別段予定の無かった美羽は二つ返事で了承した。
「はい、美羽先輩に協力して頂きたい事がありまして……」
「良いわ、手伝ってあげるわよ!」
香菜から話を聞いた美羽は即答した。
「美羽先輩、ありがとうございます」
「それで場所は何処なの?」
「はい。学園内の――」
昼を過ぎ、時刻は十四時を示していた。
「お疲れ様です。どうぞ、席へお座り下さい」
雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)は集まったメンバーを室内へと案内する。
会議室は窓が開け放たれ、心地好い風が室内へと流れ込んで来ていた。
「うあー、お腹減ったかも」
椅子にもたれ掛かったルカルカ・ルー(るかるか・るー)がお腹を押さえた。
「ああ!? さっき散々食ったばっかだろーが」
キロス・コンモドゥス(きろす・こんもどぅす)はルカの隣に座り、呆れた顔をしている。
「デザートを食べなかったのが失敗だったよ」
「……聞いてねえ」
「っていうか、キロス!ルカさんとあたしの奢りだったんだから、何で文句つけてんだよ!しかも、散々食べたのはお前だろうが……」
キロスの背後に六尺 花火(ろくしゃく・はなび)が立っていた。キロスの肩に置かれた花火の指先には、『リトル・バン』が挟まっていた。
小さな顔をキロスに近づけ、立夏は周囲に聞こえない低い声で呟いた。
「弾くぞ……キロス……」
「す、すいません」
「ん?」
ルカがそちらに顔を向けると、
「べっつにー、なあキロス?」
「そ、そうっすね……」
何かに怯えたキロスが小さく椅子に座りなおしていた。
「あ、始まるよ」
「それでは時間になりましたので、始めたいと思います」
海の合図に合わせ、自動的に窓に遮光が施された。次に、パッと部屋の照明が落とされ全体が薄暗くなる。
「配置案は水原 ゆかり(みずはら・ゆかり)とマリエッタ・シュヴァール(まりえった・しゅばーる)さんにして頂きました。お願いします」
「作戦を説明します。ここが放火が頻繁に起きている繁華街になります」
放火が頻発していた繁華街のマップが複数のセルブロックに区切られていく。
「今回の作戦人数から考えて、人の密集が予想されるポイントに人を配置したいと思います」
海は壁に投写された映像に参加者達のマーカーを表示していく。
「なかなか広いわね……」
セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)はマップを見て呟いた。
「繁華街というだけはあるかしら」
隣のセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は新たに表示された避難ルートを眺めていた。
「配置は以上になりますが、何か質問はありますか?」
「無いかな、問題もないよ」
花火に同意する様に全員が頷く。
「それでは作戦を決行します」
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