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逆襲のカノン

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シナリオガイド

あたしに触った奴はみなごろしですからね!! 愛称:「逆カノ」
シナリオ名:逆襲のカノン / 担当マスター: いたちゆうじ



「さあ、エミリー。今日も、お話をしよう」
 グリマルディはそういって、強化人間を隔離している、檻のような地下室の扉を開きました。
「はい。グリマルディ様。今日は、何をすればよろしいでしょうか?」
 檻から出てきたその女生徒は、虚ろな瞳をグリマルディに向けて、いいました。
「何でもいい。まずは、身体を洗おう」
「はい。何なりと、お申しつけ下さい。私は、グリマルディ様に、助けられて生きているのですから」
 女生徒はそういうと、着ているものを全て脱ぎ捨て、グリマルディについていきました。
 女生徒の身体をみつめるグリマルディの目に、冷酷で、よどんだ光が宿っていました。

「なに。また死体が打ちあげられたというのか?」
 天御柱学院の校長、コリマ・ユカギール(こりま・ゆかぎーる)は、秘書からの報告を耳にして、彼には珍しいことですが、眉根を曇らせて、感情を露にしました。
 秘書には、その姿が、明らかな不快感を示しているようにみえたといいます。
「はい。先日の場所とは別ですが、今朝、人工砂浜を散策していた生徒たちが発見しました。やはり、行方不明になった女生徒で、全裸で、あちこちに傷が見受けられ、まるで何かに痛めつけられた後のようだったとのことです」
 秘書は、自分が怒られているわけではなかったのですが、コリマの険しい視線を前に、どぎまぎしながら説明しました。
「解剖の結果は?」
「直接の死因を水死と言いきれるかどうかは疑問とのことです。脳の状態を精査したところ、その、極秘にはしておりますが、精神操作の痕跡のようなものもあったとのことです」
 超能力科の生徒が行方不明になる事件が多発していて、最近では海京にきていた他校の生徒も行方不明になる人が出てきていたところでした。
 生徒たちには、砂浜に死体となって打ちあげられていた生徒について、水泳をしていて溺れて亡くなったのだろうと説明してありますが、同じようなことがあいつぐなら、誰でも怪しいと思うでしょう。
「早急に手を打たねばならない。だが、驚くべきことに、この私のテレパシーをもってしても、いなくなった生徒たちの行方をつかめないのだ。これはどういうことなのだ?」
 しばらく、脳内で幾千もの精霊と対話を繰り返しながら、スーパーコンピュータのように思考を巡らせていた校長は、ひとつの可能性に思い当たりました。
「至急、『海京アンダーグラウンド』について、情報を収集せよ」
「えっ? 何をおっしゃるのですか? 校長、あれは単なる都市伝説では?」
 秘書は、心底から驚いていいました。

 海京アンダーグラウンド。
 秘書のいうとおり、それはまさに、都市伝説といっていいものでした。
 かつて学院に属し、非人道的な研究を行っていた研究者たちが海底に存在する施設にひそかに集まり、ときおり地上の人間をさらっては実験を続けている……まさに、不安と好奇心の入り混じった噂話でした。
 学院としては、コリマ校長もそのような施設は感知していないので、とりあげるまでもない架空の存在として、海京アンダーグラウンドにはいっさい言及してこなかったのです。

「海京アンダーグラウンドが実在するとすれば、テレパシー遮断の謎も解ける」
 校長の目が、いよいよ鋭い光を放ちました。
「し、しかし、いったいどうやって、校長のテレパシーを遮断するのです?」
「海底は、私にとっても未知の領域なのだ。なぜだか、わかるか? 海底には、深遠の存在がひしめいているのだ」
「深遠の存在というと、伝説の中で語られるような、邪神だとか、魑魅魍魎の類ですか? でも、まさか」
「つまり、海底には、超自然的な存在が多いのだ。それらの中には、私と同等かそれ以上の力を持ち、なおかつ、私に対立する意志を持った存在がいることも考えられる」
 校長は、しばらく考え込んだのち、いいました。
「いまから、私が指定する生徒たちを呼べ。ああ、他校の生徒でも構わん。潜水艦を出すので、体験学習として乗ってもらおう」
 指示を出しながらも、校長は、募る不安を抑えきれないでいました。
 実は、行方不明になった生徒たちに、女性の強化人間の割合が増してきているように思えるのです。
 そして、校長がひそかに気にするあの生徒、設楽カノン(したら・かのん)も、既に行方不明になっていたのです。

「ちょっと、聞いていい? エミリーは、どうなったの?」
 設楽カノン(したら・かのん)は、尋ねました。
「うん? 心配することはない。グリマルディ先生が彼女を集中して治療することに決めたのだそうだ。もうすぐ、地上に戻れるだろう」
 カノンの話し相手を務めている、不気味な研究者が答えました。
 キイ・チークと名乗るその男は、さらってきた生徒たちにわけのわからない実験を施す、大きなチームの責任者であるようでした。
 カノンは、自分と同じく監禁されていた強化人間たちの姿が、一人、また一人とみえなくなっていることに、異様な不安を抱いていました。
「もうすぐ君の治療も始まる。急がねばならないようだ。ここにきて、不安定要素が出てきた。この海底の施設に暮らす私の部下たちが、最近、奇妙なものをみたというのだ。驚くべきことに、海底を、車椅子に座った若い男が移動し、この施設を観察していたというのだよ。もちろん幻覚かもしれないが、私は気になっている。以前盗みみたコリマの研究ファイルの中に、ある強化人間のことが記されていたからだ。何かが、私たちに勘づいた可能性がある」
 キイは、淡々とした口調でいいました。
 その視線は、舐めまわすようにしてカノンの身体を眺めています。
 カノンは、首を傾げていました。
「答えて。エミリーをどうしたの? あ……誰? またメッセージ?」
 疑念を持ったカノンは、ふいに、何者かからの交信を受けたように思いました。
 実はカノンは、海底にきてからというもの、目にみえない不思議な存在からの交信をキャッチしやすくなってきていたのです。
 どのようなメッセージを受け取ったのか知りませんが、その顔が、たちまち歪みだします。
「あなた、研究者だか何だか知らないけど、治療と称してあたしに変なことをするなら、そのときは殺しますからね!!」
 カノンはキイをにらみつけて、そういったのです。
 キイは、そのとき、不敵な笑みを浮かべました。
「カノン。やはり君は、ほかとは違うように思える。私の部下たちは、君の精神に細工することには否定的だった。過去の経歴をみると、君はいろいろ危険だというのだが、それは逆に、可能性を意味しているともいえる。私は、是非君で、実験をしたいのだよ。それには、まず、自分の身の程をわきまえてもらわないと困る」
 キイが手にしたスイッチをひねると、鎖で拘束されているカノンの全身に、高圧電流がはしりました。
「あ、ああああああああ!!」
 カノンは悲鳴をあげて、倒れ伏します。
 倒れ伏したカノンの首に、キイは、ニヤニヤ笑いながら、首輪をはめまわした。
「私は、いや、私たちは別に、君たちを虐待しているわけではない。全ては、至高の存在の御用に役立つ人材になってもらうためだ。ときはきた。私自身の手で君に集中治療を施そう。もちろん、役得で、少しは楽しませてもらうが」
 首輪から伸びる鎖を強く引いてカノンを引きずりまわしながら言い放つキイを、カノンはにらみつけました。
「殺す!! 殺してやる!! 絶対に!!! 仲間を、仲間をどうしたの? 鬼畜はシネシネシネシネシネシネシネシネェェェェ!!!」

担当マスターより

▼担当マスター

いたちゆうじ

▼マスターコメント

 
 いたちです。
 今回はバトルというより、サスペンスな内容です。
 行方不明になった生徒たちの死体が砂浜に打ちあげられていたことをきっかけとして、都市伝説とされていた「海京アンダーグラウンド」の調査を行うべく、海京近海の海底に潜水艦が派遣されます。
 調査に参加する生徒は、コリマ校長に呼び出されて、事件の調査を直接依頼されています。
 なお、天御柱学院の生徒でなくても参加できますので、お気軽にお越し下さい。

 研究者たちは、誘拐した強化人間たちを危険な実験の道具にして、精神操作を行い、戦闘マシーンに改造しようとしているようです。実験に耐えられなくて死亡した生徒は、海中に投棄されています。
 研究者たちは、女性の強化人間を色仕掛け専門のマシーンに仕立てようとする実験も行っており、おぞましいことに、対象者を自分自身に仕えさせることに夢中になっていて、科学的探究心と欲望との区別がつかなくなっているようです。
 コリマ校長は、これらの研究者たちがなぜ非人道的な研究を続けるのか、その動機や目的も調査したいと考えています。

 さて、調査に参加した場合、潜水艦は、あっという間に海底の謎の建造物を発見し、しかも、光信号で、着艦するよういわれます。
 着艦してからは、海京アンダーグラウンドの中で、キイ・チークを始めとする研究者たちに接触し、研究を手伝うよういわれたり、囚われて実験道具にされたりします。
 謎の研究者たちは、潜水艦のメンバーを地上に返すつもりはなく、自分たちの研究に仕えさせるつもりでいるのです。
 参加者としては、研究者たちの動機を探ったり、あるいは、派手に暴れて囚われの生徒たちを救出したり、といった行動をとることが考えられます。

 気になるカノンの動向ですが、彼女は、何とか自力で監禁から脱出しようとします。
 カノンは最近、精神に何かが「オリてくる」こともあるらしく(もともと内在している死楽ガノンとは別に)、スピリチュアルな状況ですが、研究者たちはカノンを奴隷にすることにとても興奮しているようなので、一刻も早く救出する必要があります。

 せっかくなので、強化人間海人も、要望があれば登場させたいと思っています。
 アクションに「海人召還」と書いて頂ければ、海人が登場するようにしたいと思います。
 その場合、校長とは別に、海人が独自にアンダーグラウンドの調査を行っている、という設定で出てきます。

 なお、監禁されているのが強化人間だけ、ということはなく、サンプルとして面白そう(?)なものは何でも(誰でも)誘拐されて監禁されていることにします。

 海底という、未知の領域でのみなさんの活躍に期待します。

▼サンプルアクション

・海京アンダーグラウンドの調査を行う。

・カノンを救出する。

・海京アンダーグラウンドに監禁されていて実験道具にされる。

・海京アンダーグラウンドに監禁されているが脱出する。

・暴走する研究者たちに加担して強化人間を虐待する。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年09月17日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年09月18日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年09月22日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年10月05日


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