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Buch der Lieder: 夢見る人

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シナリオガイド

死んだ少女は沼から這い出し、永劫歓喜へ連れて逝く
シナリオ名:Buch der Lieder: 夢見る人 / 担当マスター: 東安曇

 空京――
 オフィスや飲食、商業など様々な施設が詰め込まれた複合ビル。その上層階にある大劇場に、歌声が響いています。
 ミュージカル界の人気スターが集まるこのコンサートの目玉はフランツィスカ・アイヒラー、欧州で活躍する大女優です。今日は本来マスコミ関係者しか入れない本番前のドレスリハーサル(*ゲネラールプローペ)だったのですが、彼女のたっての希望で、契約者達は友人として客席に招かれていました。

 さて。三時間の演目を見終えて皆が心地よい疲れを感じていた頃、任務の後に急遽姉のもとを訪れたハインリヒ・ディーツゲン(はいんりひ・でぃーつげん)が、この舞台のプロデューサーの男性に捕まっていました。
 年の離れた姉フランツィスカがまだ駆け出しだった頃、たったワンシーズン子役として共演したハインリヒを、この男性は忘れられなかったようで、十年以上前の思い出を熱く語りハインリヒに歌って欲しいとせがみます。最後にはとうとう断りきれなくなり、一曲だけ……と、ハインリヒはフランツィスカとステージに立つ事になりました。



 皆に囃し立てられながら弟が気恥ずかしそうに姉の横に並び、二人息を合わせる様子を、ツライッツ・ディクス(つらいっつ・でぃくす)はフランツィスカの楽屋に設置された画面に見ながら笑みを零します。
 と、そんな彼の指に、ジゼル・パルテノペー(じぜる・ぱるてのぺー)は光るものを見つけました。
「それ……」
 指摘された事にどきっとしたのか、ツライッツは右手を重ね手元を隠す様にしながら視線を泳がせます。
「ハインツに預かっていて欲しいと頼まれたんです。でもこんな高価なものをポケットに入れるのは失礼ですし、ただ持っていると落しそうで……」
「でも薬指だわ」
「それは――! 俺の指では、その、ハインツみたいに小指にするとブカブカで……だから……」
 言い訳を受け取る皆の顔がニヤニヤとからかう様なものなのに、ツライッツが観念したように口を開きかけた時でした。

『その指環、私にもよく見せくれる?』

 突然後ろから掛けられた声に皆が振り返ると、そこには女性の姿が有りました。彼女の顔には覚えが有りませんが、向けてくる微笑みは柔らかく、警戒心を無くした皆は彼女に笑みを返します。
『まあ! そのチョーカーもキラキラしていて素敵だわ』
 呼ばれたジゼルが彼女に対応したようと、そちらに身体を向けました。すると
「待って下さい――」
 すっと横に出たツライッツの掌が、ジゼルの動きを止めます。
「すいません。お兄さま方にご挨拶をしていませんでした。ジゼルさんも、皆さんも一緒にいきましょう」
 “三歩下がって……”が常の彼から出た一方的で脈絡の無い発言に、皆は首を傾げますが、ツライッツはジゼルの手を掴むと、強引に楽屋の外へ出てしまいます。そこから彼の歩くスピードはどんどん早くなり、しまいには非常階段へ出ると、扉を乱暴な勢いで閉めるのでした。
 一体どうしたというのか。そう問う友人達に、ツライッツは青い顔をしながら、ゆっくりと喋ります。
「…………皆さんには、彼女の顔が分からなかったんですか?」
 その問いが頭に落ちてきた時、皆の心にぞくりと冷たいものが走りました。
 何故、彼女の顔が、姿が分からなかったのか。
 そう。皆には理解出来ずとも、その姿がはっきり見えていたのです。兄のカイコンラートと同じ赤みの強いサンディ・ブロンドヘアに、ジゼルとよく似た顔を持ったその女性は……
ローゼマリー・ディーツゲン!」
 ジゼルがその名を口に出した直後、背中の後ろにある扉――その向こう側からガチャガチャとドアノブを捻る音が聞こえてきます。
『ねえ! その指環とチョーカーを……青い宝石を私に返して!』
 今度はドンドンともの凄い音を立てて、扉が叩かれます。
『お願い! 開けて! 此処を開けて!! それが無いと、アクアマリーンが無いと、私はアロイスに……!』
 悲痛な声を聞きながら、ジゼルは泣き出しそうな顔で皆を見つめました。
「この宝石は元々彼女が持っていたもので……私の身体も…………彼女から作られたの…………だから……これは全部ローゼマリーのもので…………私、どうしたら」
 途方に暮れるジゼルの言葉に、最初に答えたのはツライッツでした。
「今は逃げるほか無いですね」
 そう言って、皆が頷いてくれたのに、ツライッツは淡々と続けます。
「“それ”は、ハインツの所有物です。お爺様から受け継いで、俺たちに託したものです。守るのは俺たちの役目で、義務です。違いますか?」
 そんな風に事実のみを伝えられると、ジゼルはハッと理解して、それから皆の顔を見ました。
「うん……ごめんなさい、そうだよね。私、弱気になってた。あなたの言う通りだわ」

 しかしそうしている間にも、背中の後ろの扉は、人ならざる強い力に耐えきれず、破壊されようとしています。
 ジゼルとツライッツ――二つに砕けたアクアマリンの欠片を持つ二人は、顔を見合わせると、非常階段を駆け下りて行きます。仲間の契約者はその背中を守りますが、彼等の後ろには既に、ローゼマリーの姿が有りました。



 同じ頃、劇場は先程迄とは全く違うものに変化していました。
 ハインリヒとフランツィスカの居る大道具しか置かれていなかった筈のステージが、氷と雪に閉ざされた森と水――『沼』のようにどこまでも広がっているのです。
「おい、なんだありゃ……」
 カイの困惑に、アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ(あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち)は珍しく焦った表情を浮かべています。
 彼の魔法陣は、描いた場所こそ空京全体でしたが、沼の出現する予定の範囲は人の居ない安全な場所に限られていたのです。それに『ウィリの歌』も、先日ハインリヒが大怪我を負い自宅療養していた為、魔法陣完成後から一度として歌われていません。
「考えられるのは、ウィリが此方側の罠を分かっていて、敢えてパラミタへ姿を現した、という可能性だ。一度魂が分たれても、俺達を皆殺しにして、元に戻ればいいと……」
 アレクがブツブツと声に出していたその時、沼の側から悲鳴が上がりました。沼の水が人の形を取り、フランツィスカを引き摺り込もうとしているのです。
「フランツィスカ!」
 姉を助けようとしたハインリヒが割って入ると、そこで劇場内に女の声が響き渡りました。

『裏切り者のアルブレヒト。私達はあなたを赦しはしない。さあ、沼の底へいきましょう』

 その言葉を皆が耳に入れた直後、ハインリヒはガクリと膝をつき、雪の上へ倒れてしまったのです。そして人形(ヒトガタ)は、弟を揺さぶるフランツィスカを押し退け、ハインリヒを冷たい腕に抱きました。
「ローゼマリーやめて、この子はアロイスじゃないわ! お願いよ連れて行かないで……その子は、私達のおとう…………」
 呼び掛ける声は小さくなります。異常な状況に、スタッフや出演者達が逃げようと扉へ向かうのに気付いて、ヒトガタは腕を触手のように伸ばしました。もう後少しで捕まってしまいます!
 ですが――
「凍った?」
 彼等の背中の後ろで砕け散っていく氷の腕。どうやら出現した沼は、魔法陣の影響を少なからず受けているようです。
「触れると魂を奪われるが、自由が効くのもステージの上だけって事か。此処から逃がせば何とかなるか」
「だがハインツとフランツィスカはどうなる!」
 プラヴダの兵士に逃げる様に促されながらも食って掛かる様なコンラートの勢いに、アレクは正面を見据えたまま答えました。
「助ける。必ず」



 劇場の外、ビル内の様々な施設では、突如現れた少女達によって、客やスタッフが無差別に襲われていました。
「たいへんだ。みんなころされちゃう!」
 頬をてしてしと叩いてくる兄タロウを肩から下ろして、ミリツァ・ミロシェヴィッチ(みりつぁ・みろしぇゔぃっち)は、共に外へ出たキアラ・アルジェント(きあら・あるじぇんと)らへ振り返りました。
「ミリツァが位置を特定するわ」
「頼んだっスよ。皆、一人も置いてかないで助けるっス!」
 キアラの声に契約者とプラヴダの兵士達は同意し、武器を手に取りそれぞれの行動を開始するのでした。


担当マスターより

▼担当マスター

東安曇

▼マスターコメント

シナリオガイドをご覧頂き有り難う御座います、東安曇です。
こちらのシナリオは【Buch der Lieder】シリーズの最終回です。PC、NPCと協力して、ハインツの死亡フラグの最後の一本をへし折りましょう。
それでは、皆様のアクションをお待ちしております!

* * *

▼施設情報
1階から5階までは吹き抜けになっており、なんとなくですが、全体が見渡せます。
 行動1はロビーなどへ移動する事は可能ですが、9階からは動けません。
 行動2のスタート地点は1階です。
 行動3を選んだ場合、どこの階に向かっても構いませんが、あちこちに行っていると、その間にバトルが終了してしまう可能性もありますので注意して下さい。
 また、突入しているプラヴダの兵士は、下記に名前の無いキャラクターは自動で動くため、協力は出来ません。

▽地下1  :飲食施設が有ります。所謂デパ地下で、家族連れが多く、慌てた子供など物陰に隠れてしまった者もいるようです。
(地上1  :玄関口。プラヴダが誘導を始めています。)
▽2・3・4:フッション・雑貨コーナー。若い人達が多く、比較的逃げ足は速いでしょう。
▽5・6  :カフェやレストランが有ります。老若男女が居るようですが、ディナータイムに入り人でごったがえしています。
▽7・8  :オフィス階。新しいビルとあって、若い会社員が多いです。比較的逃げ足は速いでしょう。
▽9    :劇場。9階がエントランスホールになっており、その上に大劇場があります。

* * *

【行動1:劇場内バトル】
劇場内に居るスタッフや出演者を外へ逃がし、ハインリヒとフランツィスカを助けるアクションです。

▼敵NPC
『沼(ヒトガタ)』
▽沼の水が、場内に居るものを襲っています。
・しばしば人の形をとりますが、自在に伸縮し、飛び散る水そのものです。
・人が触れると魂が奪われかけてしまいますが、契約者は10秒くらいまでなら捕らえられても問題有りません。
・アレクの魔法の影響を受けた為、ステージから出ると、氷化して砕け散ってしまうようです。
・しかし(沼は)時間の経過と共に大きくなっていきます。
▽攻撃方法:
 魔法で氷化させる事によって、攻撃が可能になります。ただし氷化は部分のみで、一定時間しか持ちません。
 また、魔法陣を作り出したアレクの氷化はある程度持続しますが、通常の氷属性攻撃は、レベル差に関わらず数十秒しか持ちません。
 ジゼルとツライッツが劇場に辿り着くと、全体攻撃(とどめをさす事)が可能になります。

▼味方NPC
『ハインリヒ・ディーツゲン』
沼に囚われ魂が奪われかけています。動く事も喋る事も出来ず、肉体も緩やかに死んで行きます。非常に危険な状態ですが、自我はあるようです。目も開いています。

『フランツィスカ・アイヒラー』
ステージ下手側にいます。魂が奪われかけている状態で、自ら動く事が出来ません。

『アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ』
氷化魔法で沼への攻撃を可能にします。

『コンラート・ディーツゲン、カイ・ディーツゲン』
避難誘導をされていますが、弟妹が囚われた状態の為、その場から離れ難いようです。PCの行動で彼等を此処に留まらせる事も、逃がす事も出来ます。

* * *

【行動2:逃走バトル】
アクアマリンの欠片を持つジゼルとツライッツを、追い掛けてくるローゼマリーから守るアクションです。二人が最終的に目指すのは劇場になります。

▽二人はビル内を逃げ回ります。行動する場所は、PCも指示を出す事が可能です。 
 通常の複合施設にあるものでしたら、大体登場させられます。
▽ローゼマリーの背景事情(開発段階の)強化人間となった経緯など)は、ジゼルとツライッツに尋ねれば返答があります。

▼敵NPC
『強化人間:ローゼマリーディーツゲン』
 彼女が強化人間である事は開始段階にNPCから告げられます。
 存在が非常に曖昧で、周囲にいる人々と溶け込み見分けがつかなくなる事がしばしばありますが、ツライッツの他、機械のPCにはローゼマリーにしか見えません。
 
ワールドメーカー:160:武器無し:不可

▼味方NPC
『ジゼル・パルテノペー』
身を守る・逃げる事を最優先にしています。
皆へ攻撃があった場合、防御も行いますが、パートナーが居ないと能力の制御が上手く出来ない事から、攻撃は殆ど行いません。

『ツライッツ・ディクス』
身を守る・逃げる事を最優先にしていますが、自分よりもジゼルを優先します。
護身用のワイヤーを張り巡らせる事で、時間稼ぎが可能ですが、逃亡を優先するため積極的には攻撃に出ることはありません
※こちらのNPCの判定は、逆凪まことマスター監修のもと東が行います。

* * *

【行動3:協力バトル】
ビル内で逃げ惑う一般客を、襲ってくる少女達から守り、プラヴダ兵士の居る一階正面入り口へ誘導するパートです。
こちらのパートは、NPCと協力してバトルが行えます。

▼敵NPC
ビル内各所に現れた少女達。魂を『沼』へ連れて行こうと、一般客達を襲います。
彼女達は一つの魂(ウィリの姿)に戻ろうと、劇場を目指して進んでいます。

▽前回の病院パートの結果、ウィリの種族が判明しました。
 これらは、古王国時代から続いていた生物兵器セイレーンの実験の犠牲者達(の、一部)です。情報を得たPC側は少女の外見で種族が分かるため、選んで当たる(逃げる)事が可能です。
▽参考クラスは実際にそのクラスなのではなく、「大体このクラスと似た能力を持ち、そのくらいのクラスの強さがある」として下さい。
▽魔法陣が成功した結果、仮の肉体で実体化しています。氷の属性が与えられており、炎などに弱いです。
▽武器はイメージで再現されたもので、破壊してもまた復活してしまいます。
▽肉体が滅んでからかなりの時が経過しており、他の少女と解け合った自我は崩壊。説得は通じません。個体のうちに倒す事で、魂をナラカへ送りましょう。
▽同じ種族が二体以上いる可能性も有り、正確な人数は不明です。
(種族:参考クラス:身長:武器:飛行)

『守護天使』
 セイント:170:槌矛(メイス):光りの羽根の為、羽根への攻撃不可

『機晶姫』
 ラヴェイジャー:両手剣:160:可能

『魔女』
 ソウルアベレイター:150:杖:飛行魔法有り

『剣の花嫁』
 プリースト:165:槍:不可

『アリス』
 セネシャル:140:短銃:不可

『獣人』
 マスターニンジャ:180:クナイ:不可

『ハーフフェアリー』
 ディーヴァ:130:竪琴:可能

『精霊』
 ディーヴァ:155:弓:可能
 
『花妖精』
 セイヴァーシード:190:短剣:不可


▼味方NPC(協力アクション)
▽こちらのアクションをご希望のPLは、希望NPCの名前と、NPCにどのように動いて欲しいかをアクションにご記載下さい。(名前の後ろのアルファベット表記で構いません)1PL1NPCまでです
▽複数のPLに同じNPCをご希望頂いた場合、アクションはPC同士の協力アクションとしてリアクションに反映されます。(掲示板での発言を推奨します)

『兄タロウ:KOH』
 足止めが得意で、安全な道を選ぶ事に長けています。大きさがあれなので、一般客の誘導には向きません。

『ミリツァ・ミロシェヴィッチ:MM』
 逃げ隠れている人々を探し出す事が出来ます。軽く身を守る程度は可能ですが、基本的に戦う事は出来ません。

『キアラ・アルジェント:KA』
 魔法での防御、サポートが行えます。

『トーヴァ・スヴェンソン:TS』
 高い回復力を持っており、重傷の者を回復する事が出来ます。
 
『トゥリン・ユンサル:TU』
 オールラウンダーです。子供なので、一般客の誘導には向きません。

『スヴェトラーナ・ミロシェヴィッチ:SM』
 高い攻撃力を持っており、協力して敵を倒す事が可能です。  

▼サンプルアクション

・【行動1:劇場内バトル】

・【行動2:逃走バトル】

・【行動3:協力バトル】

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年07月08日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年07月09日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年07月13日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年07月28日


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