イルミンスール魔法学校

　充分な休養をとって完全復活したゴチメイ隊は、かねてから行こうと思っていたツァンダへとやってきました。
「あんまり、顔出ししにくいんだよなあ。まあ、もう私を覚えている奴もいないだろうけど」
　ツァンダ観光で、結局蒼空学園に来てしまったココ・カンパーニュ（ここ・かんぱーにゅ）が、ちょっと気まずそうに言いました。
「まあまあ。なんだか、それどころではないようですがあ〜」
　チャイ・セイロン（ちゃい・せいろん）が指す方で、何やらイベントをやっているようです。
　
「さあ、我と思う方はどうぞ、このメイド対決に御参加ください！」
　身綺麗な濃緑のスーツを着た小麦色の肌の男が、蒼空学園の校庭に張られた巨大なテントの下で叫んでいました。
　なんでも、新開発のロボットメイドの売り込みに来た者たちということのようです。ところが、そのようなメイドロボなどいかがわしいと言われてしまい、だったら性能を実際にお見せしましょうということになり、メイドコンテストが開かれることになったのでした。
　種目は、衣食住の三つとなっています。
　衣は、パートナーを着せ替えるファッション勝負。
　食は、お料理勝負。
　住は、会場に乗り込んできた蛮族のお掃除勝負となっております。
　
「よし、当然、お掃除に参加よ。跡形も残さず掃除して……」
「はいはい。お姉ちゃんは、私と着せ替え担当ということで」
　張り切るココ・カンパーニュをアルディミアク・ミトゥナ（あるでぃみあく・みとぅな）が引っぱっていきました。さすがにここで勢い蒼空学園まで破壊されては困ります。賢明な判断でしょう。
「でわあ、あたしたちはお料理担当ということで」
　チャイ・セイロンはリン・ダージ（りん・だーじ）とともに料理勝負に参加するようです。
「しかたありません。私たちはお掃除をするといたしましょう」
　軽く溜め息をつきながら、ペコ・フラワリー（ぺこ・ふらわりー）が言いました。まあまあとマサラ・アッサム（まさら・あっさむ）がなぐさめます。
　
　勝負は、あくまでもメイドらしさを競うことになりますので、一つ一つの言動や立ち振る舞いが厳しく審査され、その上で結果が問われることとなります。
　メイドロボの方は、中身はメカメカですが、外見はかわいい女の子型に偽装されています。大きさは、１メートルほどと結構小さく、主催者側であるロボットの開発者三人がリモコンで操作するリモコン式です。機晶姫のような意志はありませんので、行動はパーターン認識された物になります。
　
　さて、表向きイベントで盛りあがっている裏では、静かに事件が起きていました。
「また小ババ様が現れたただと？　以前すべて駆除したんじゃなかったのか？」
　報告を受けた山葉　涼司（やまは・りょうじ）は、以前と同じように光ケーブルを囓っている小ババ様を探しました。
「ゴパー」
「いたか。光になれー！！」
　山葉涼司が、小ババ様叩きを思いっきり振り下ろしました。イルミンスール魔法学校にいる強化された小ババ様ならいざ知らず、普通の小ババ様なら猫パンチ一発で光になるはずです。
　カキン！
「なんだと！？　手応えはあったはずだ」
　なんと、小ババ様が小ババ様叩きを跳ね返しました。
　金属的な音がしたようですが、そういえば小ババ様叩きを受けた場所が傷つき、微かに光ったような気がします。
「まずいぞ。以前のようにケーブルを寸断されたら一大事だ。手隙の者はすぐに小ババ様の駆除に回れ。まったく、イルミンにはクレームを入れてやる！」
　小ババ様のせいか、若干ノイズの混じる携帯電話で指示を飛ばしながら、山葉涼司は毒づきました。
　
　そのころ、小ババ様はイルミンスール魔法学校で大ババ様とアイスクリームを食べていたのです。どうやら、今回の小ババ様は、大ババ様とは無関係のようです。
　いったい、蒼空学園で何が起こっているのでしょうか……。
　

　ゴチメイキャンペーン再開です。
　終わりのないゴチメイ隊の漫遊記ですが、裏では何かが確実に進展しているようです。
　今回は、コンテストでゴチメイやメイドロボと対決するもよし、小ババ様駆除に専念するもよし、あるいは……という形になります。
　今回の結果で、次回がどうなるかがかなり変化します。黒幕が目的を達すれば何かは早まり、失敗すればまた何か手を打ってくるでしょう。
　
　とはいえ、表でわいわいとメイド勝負に専念するのもまたたのしです。
　衣の勝負は、単純にファッションショーですので、メイドが御主人様をお着替えさせる乗りで、誰かを綺麗に着飾ってください。
　料理は、ガチに味勝負とメニュー勝負となります。
　お掃除は、はっきり言ってかわいそうな蛮族の人をバトルで排除するわけですが、ライバルを蹴落として掃除しなければなりません。ほぼバトルロイヤルです。
　なお、すべての勝負にメイドらしさが求められます。クラスはメイドである必要はありませんが、よりメイドらしい方が評価が高くなります。
　ただし、この勝負は誰が優勝というものは実質ありません。メイドロボよりも、人間の方が有能であると言うことを証明する勝負です。まあ、ゴチメイが参加している時点で、こまけーことはいーんだよになりそうですが。
　
　まあ、すべてにおいて、見た目が真実とは限りませんが……。
　

・メイド勝負する

・小ババ様の駆除

・真相を暴く

・メイドを応援する

・ゴチメイに味方する