イルミンスール魔法学校

　
「メインバッテリー、及び、予備回路チェック」
「チェック、クリア」
「システム起動」
「起動します」
　メインスイッチが入れられると、それまでステイタスインジケータの淡い輝きだけだったコックピット内にメイン照明がつきました。
「パイロット認証」
「サブパイロット認証」
　それぞれが、カードキーを差し込んで正規パイロットであることをシステムに証明します。
「認証確認。ジェネレータ起動します」
　軽い振動と共に、コックピット内のコンソールに一斉に明かりが点りました。
「ジェネレータ、出力チェック。シークェンスＡ１からＢ１２」
「……チェックしました」
　モニタ内のインジケータを確認すると、コパイ席の少女がパネルにタッチペンでサインして記録を残します。
「エネルギーパイパス、チェック。Ｒ１から１６まで。Ｌ１から……、あー、めんどくせー。Ｌ８から１６は省略だ」
「省略は認められていません」
「頑固者ぉ」
「チェック終了しました。続いて、ＦＣＳ、各センサーにチェックプログラム走らせます」
「了解。アクチュエータ各部……良好、動作支障なし。装甲表面走査、ＯＫ。オートバランサー、復元速度値、許容値内。すべて正常。チェック終了っと」
「発進前チェック終了を確認しました。認証サイン記入します。外部気象データ、セット完了。管制コード発行されています。発進申請認可されました。移動指示でています」
「よし、固定バー外せ。これより歩行移動開始。ハンガーより離脱する」
　パイロットの少年がコントロールレバーを倒すと、ゆっくりとイーグリットが歩き始めました。
「リフト上に移動確認しました。停止してください」
「停止」
「脚部固定します。リフト移動開始。ゲート１通過。ゲート２通過。電磁カタパルトに移動完了。シャトル、接続します」
　格納庫内用の移動リフトで運ばれたイーグリットが、カタパルトにセットされました。暗かったトンネルのようなカタパルトにスーッとのびていくようにガイドランプが点灯していきます。
「フローター起動。浮力上昇」
「機体異常なし。進路クリーン。オールクリア」
「発進！」
　パイロットの少年がスロットルを押し込むと同時に、イーグリットを接続したカタパルトの台であるシャトルがリニアモーターで急加速されました。高速で機体を外へと射出します。一気に、視界が暗い鉄の壁から明るい青空へと一変しました。
　天沼矛のイコンベースから飛び出したイーグリットが、機晶エンジンがついたフローター背部から青白いリング状の光を発して水平飛行へと機体を安定させます。
「超音速飛行に移る」
「どうぞ」
　少年が出力を上げると、イコンの背部で青い輪光がすっと収縮して、一気に加速しました。直後に、白い傘状のベイバーコーンが発生します。
「テスター２、テスター３、到着しました」
「よし、通信回線開け。これからアクロバット飛行訓練を始める。博覧会当日の演目を頭に叩き込むぞ。ついてこい！」
　少年は、僚機にむかってそう通信で言いました。
　
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「はい、こちら、来週開催されるイコン博覧会の会場です。一足早く、私、シャレード・ムーン（しゃれーど・むーん）が会場の雰囲気をお伝えします」
　マイクを持ったシャレードムーンが、カメラにむかって語りかけました。
「ここ空京西地区の特別会場では、各学校協賛によって様々なイコンが展示されています。こうしてみると壮観ですねー。
　ああ、あそこにあるのはイーグリットですね。その隣にはコームラントも展示されています。
　当日は一般客は展示されているイコンには乗れませんが、ここまで近くで様々なイコンを見られるというのもイコン博覧会ならではですねー。
　各学校による公式展示の他にも、個人所有のイコンの展示コーナーも作られますので、当日どんなイコンが見られるのか、とても楽しみです。
　また、当日は様々なイベントも予定されています。イーグリットの飛行ショーとか、イコン同士の模擬戦ともあるみたいですよ。こちらは、市街地から離れた特別会場で、模擬弾を使用して行われる予定です。迫力のある戦いに期待しましょう」
　
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「わあ、なんだか楽しそうなことやってますねー。イコンかあ、面白そうだなあ」
　どうやって受信しているのか、手製のテレビでシャレード・ムーンの中継を見ながら、アクアマリンが言いました。
「何を今さら。あんな物、お前にとっちゃ玩具だろうか」
　物好きなと、オプシディアンが突っ込みます。
「玩具だからいいんじゃないですか。改造しがいがあるなあ」
　ちょっとうっとりとするように、アクアマリンが答えました。
　そこへ、エメラルドも帰ってきました。
「ただいまー。ちゃんと全部解除してきたよー。これで、いろいろと夢見られると思う……ん？　何見てるの？」
「イコンの博覧会やるんだって」
「おもしろそー、行くー」
「そうですよね、ぜひ見に行きましょう！」
　顔を見合わせて、エメラルドとアクアマリンの姉弟が声を揃えました。
「楽しそうですね」
　面白そうに二人をながめながら、ジェイドが微笑みます。
「確かに。ベースはイコンですが、地球の技術でかなり変貌していますな。少し研究してみるのもいいかもしれません。いかがでしょうか？」
　アラバスターが、ルビーに訊ねます。
「私は止めないよ。試せることはすべて試さないと、結果など出せないからね」
　ルビーは、そうアラバスターに答えました。
　

　空京で開かれるイコン博覧会です。
　航空ショーやモーターショーのような物を連想してもらえばいいでしょう。
　メイン展示は、各学校協賛による各種量産タイプイコンの展示です。
　搭乗することはできませんが、キャンペンガールが一般的な説明はしてくれるようです。ただ、バイトですから、極端に専門的なことは知らないと思います。
　また、キャンギャルをやりたい場合は、イコンを指定すれば可能です。ただし、基本的に自分の所属校が優先されます。
　個人所有のイコンは、参考展示ということでサブブースで展示することができます。ただし、お客さんに来てほしい場合は、掲示板などで宣伝しないと、誰にも見てもらえない可能性があります。アクションでは、誰のイコンを見に行くのか指定してください。
　イコンの改造・メンテナンスに関しては、原則として各学校にある専門部署でしかできません。個人での修理などは、オプション武装などの換装程度です。原則、完成部品の簡易組み立てのみできるとしてください。
　イベントとして、模擬戦が可能ですが、その場合はＧＡを組んでください。模擬戦ですので、大規模戦闘や実弾の使用は禁止されています。
　模擬戦の勝敗はあらかじめ決めておくか、お任せということになります。細かい判定はしませんので、演出重視という感じになります。
　模擬店などで、お土産販売なども可能です。
　基本的に身体は一つですので、展示説明をして、模擬戦をして、他のイコンを見て回って、食事をしてなどという風に全部やるということは不可能です。イコン自体、展示したら動かせませんし、模擬戦参加の場合は展示できません。見学の場合も、学校ブースか、個人ブースか、模擬戦かに絞られます。
　コミケなどで、全部を細かく見るのは１日じゃ無理という感じですね。どうしてもすべてみたい場合は、移動描写だけで終わってしまいます。逆にモブに徹する場合は、これもまたありですが。
　模擬戦以外にも、簡易レースや、飛行ショー、演舞などのパフォーマンスが可能です。
　
　強制イベントとして、オプシディアンたちが事件を起こしますが、ＰＣはその情報は一切持っていませんから、事前に防ぐことは不可能です。
　ただし、一般的な警備ということである程度対応はできます。それによって、オプシディアンたちの起こす事件の内容が多少変化します。
　
　いつも通り、このシナリオに限りＭＣとＬＣの別行動は制限しません。
　
　今回ゴチメイの新しいキャンペーンの関連エピソードにはなっていますが、今シナリオでは後のシナリオの段取りとしての伏線以上の制約はありませんので、単純にイコンの展示で自由に楽しんでください。
　
　今回から、口調指定の抽出プログラムを作りました。多少は、口調ミスの予防になるかと。
　ただし、単純に「口調」という単語がある行を抽出するものなので、２行にわたるような説明は取りこぼしてしまいます。
　口調の指定のある行は、その全ての行頭に「口調．」や「口調：」など、「口調」というヘッダをつけてもらえると確実に抽出するので助かります。

・個人ブースに自分のイコンを展示する。

・模擬戦を行う。

・博覧会を見て楽しむ。

・模擬戦を観戦する

・出店を出す