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【蒼空に架ける橋】第3話 忘れられない約束

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【蒼空に架ける橋】第3話 忘れられない約束

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シナリオガイド

ついに動き出した敵。はたして神器の行方は?
シナリオ名:【蒼空に架ける橋】第3話 忘れられない約束 / 担当マスター: 寺岡 志乃



おおまかなあらすじ
 7000年前、国家神アマテラスが封じたオオワタツミを解放した大罪人ヒノ・コの孫ツク・ヨ・ミ(つく・よみ)は、祖父の願いをかなえるために軟禁されていた伍ノ島の館から逃げ出しました。
 ツク・ヨ・ミの持つ起動キーを狙って襲いかかるヤタガラスをどうにか振り切り、地上で知り合ったシャンバラの少年ウァール・サマーセット(うぁーる・さまーせっと)やコントラクターたちと浮遊島へ戻ったものの、伍ノ島太守コト・サカ殺害の濡れ衣を着せられてしまいます。
 ヒノ・コの願い、それは各島に魔物を寄せつけない安全な橋を架けるということでした。それを叶えるためには各島の太守が持つ5種の神器が必要です。壱ノ島太守モノ・ヌシから神器ヒガタノカガミを受け取ったツク・ヨ・ミは、次に弐ノ島太守エン・ヤを訪ねました。しかしエン・ヤは5年前、すでに神器ヒボコノカガミを手放していました。
 彼女を伍ノ島へ連れ戻そうとするナ・ムチ(な・むち)との対話の途中でヤタガラスにさらわれるツク・ヨ・ミ。
 一方で、エン・ヤを訪ねようとしていた参ノ島太守ミツ・ハの持つ神器オキツカガミを狙って、謎の少年タタリが彼女の隊を襲撃し――……。



●弐ノ島 西の地

「ツク・ヨ・ミを放せ!!」

 ツク・ヨ・ミを横抱きに、すべるような速度で走り去ろうとする巨大なヤタガラスに向けて、ウァールは閃光銃を用いました。
 発射された閃光弾はヤタガラスの肩に着弾し、丸く穴を開けて散らします。ヤタガラスは着弾の際、わずかに動きを止めたものの、すぐ回復してしまいました。

「あいつ、ほかの影たちと違う!?」

 驚くウァールの横で、ナ・ムチ(な・むち)が叫びました。

「待ちなさい!! 橋の起動キーを持っているのはおれです!!

 見せつけるように掲げた手には、起動キーが握られています。
 振り向きざま、それを確認したヤタガラスはぴたりと足を止めました。

「ツク・ヨ・ミと交換です! 彼女を返すならこれを渡します!」

 だれもが固唾を飲んで見守るなか、ヤタガラスは首を振りました。頭部にぽっかりと空いた空洞のような口が、地底から響いてくるかのような声を発します。

「だめだ。この娘にはまだ使い道があるからな。
 そうか、きさまたちだったのか、伍ノ島のナ・ムチ。よくも今までわたしの邪魔をしてくれたな。
 せいぜいそのキーを大事に持っていろ。いずれもらい受けに行く。きさまの命と引き換えにできるかはそのときのわたしの気分次第だ」
「あなたの方こそ、ツク・ヨ・ミを丁重に扱いなさい。彼女を助け出したとき、彼女の身にもしものことがあれば、おれは容赦なくこれを砕きます! おれはあなたやヒノ・コと違って、橋などどうでもいいんですから!



「どういうことだよ! おまえ、何を知ってるんだ!!」

 ヤタガラスが消えたのち、ウァールはナ・ムチに食ってかかりました。胸倉を掴もうとした手を握り止め、ナ・ムチは乱暴に押し返します。余裕を欠き、熱くなっている頭を冷ますように、ナ・ムチは大きく息を吸って吐き出しました。

「結局こうなってしまうんですか……」
「おまえ、あいつがだれか知ってるのか!?」
「知っていたらどうだというんです?」
「どう、って……」
「吹き荒れる嵐を相手に、立ち向かうばかりが対処の方法ではないでしょう。
 あなたたちはこの浮遊島群のことを何も知らない。この浮遊島群でに対抗するには、生半可な覚悟では不可能なんです」

 しかし事態は最悪でした。長年の目からヒノ・コをかくまっていたのが自分たちだと気付かれてしまったということは、祖母にまで敵の復讐の手が伸びる可能性があります。

(……いや、にとってそれは優先順位が低い。今は神器とこの起動キーを手に入れることを優先してくるはずです)

 そちらには今から祖母の家に連絡を入れて、手を打てばなんとかなるとして。問題は、彼の言う「使い道」を終えたツク・ヨ・ミがどうなるかということでした。
 先ほどの宣告がどれほど敵に有効だったか――おそらく、ほとんど効き目はないとナ・ムチは結論しました。
 あの話し方からして、影たちを差し向けて奪い取ればすむと慢心しているのは間違いありません。ツク・ヨ・ミは人質としての価値を失えば、さっさと始末されてしまうでしょう。

「おい、どこへ行く気だ! このままにしておくのか!?」

 スク・ナ(すく・な)を伴い、来た道を戻り始めたナ・ムチを追いかけ、ウァールがあわてて問いただします。
 ナ・ムチはいら立ちにさらに冷酷さを増した目でウァールを竦ませると、こう言いました。

「あの影が何者にしろ、ツク・ヨ・ミをこの島から出すには船が必要です。無許可で島の上空に船を置くのは目立ちすぎますから、おそらく港に船を待機させてあるはずです。そこでツク・ヨ・ミを取り戻します」



●弐ノ島 東の地

 他方、そこから離れた別の地では、参ノ島太守ミツ・ハの隊が謎の少年タタリと対峙していました。
 数十の白い影の魔物が彼らを取り囲むように広がっており、ノコギリ歯を見せながらケタケタ嗤っています。

『こやつらは余の特別製のヤタガラスでな。名をマガツヒ(禍津日)という。彼奴の用いるものとは違い、かなり凶暴な性質をしておる。ひとたび余が命じれば屍の山を築くまで治まることを知らぬ。無論、相手がうぬでも同じことよ。見境はない。
 それでよいな?』

 その宣告に、ミツ・ハはフッと笑うと折れたハルバートを放り捨てました。親衛隊の1人が長箱を持って前に進み出ると、厳かに彼女の手元で開きます。なかからミツ・ハが取り出したのは、黄金色した全長60センチはあろうかという優美な鉄扇でした。
 パリパリと、青白い静電気のはじける光がミツ・ハの周囲のあちこちで起き始めます。

「たったそれっぽっちの数でこのアタシを殺れると考えるなんて、アナタも相当生ぬるいわね。
 アタシとこの八雷の一、サクイカヅチ(咲雷)が、すべて灰燼に帰してあげましょう――アナタもふくめてね」

 先までとまったく違う、冷ややかな口調で言い切った次の瞬間、流れる水のごとき素早さで飛び出していこうとするミツ・ハの腕を掴み止めたのは白津 竜造(しらつ・りゅうぞう)でした。

「邪魔をする気? まさかアナタたちもあの化け物どもの側だったってコト?」
「いや。あんなけったいな野郎は見たこともねえ。
 ここは俺たちに任せてもらおうか。俺たちはあんたの護衛としてここにいるんだ。その俺たちより前にあんたが出るのはちっとばかし順番がおかしかねえか? ――さっき十分暴れただろ、今度は俺の番だ」

 反論しかけたミツ・ハを黙らせると、後ろの女たちの方へ突き飛ばし、竜造は前に出ました。
 巨大な片刃剣、神葬・バルバトスを軽く手首で回してかまえをとります。その後ろには仕事モードに入った松岡 徹雄(まつおか・てつお)と、2人の支援をするべくアユナ・レッケス(あゆな・れっけす)が立っていました。

「来いよ、化け物ども。二度とそのうす気味悪い笑いができねえくらい、ことごとく散らしてやらぁ」



●伍ノ島 太守の館

 コントラクターの力を借りて太守の館、西の棟のはなれを抜けたヒノ・コは、本館をまっすぐ進み、とある部屋のドアを開きました。
 そこには亡くなった伍ノ島太守コト・サカの娘キ・サカがいて、訪問客のJJたちへの応対をしている最中でした。

「何を無礼な――あなた、ヒノ・コ!? どうしてここに!!」

 キ・サカは驚き、とまどいながらソファから立ち上がります。
 ヒノ・コはバタバタとこちらへ走ってくる警備員たちの足音に廊下を肩越しに見て、静かにドアを閉めました。

「お父さんは残念だったね、キ・サカ。彼はとてもいい太守だった。その彼が天寿をまっとうできなかったのは、わたしも悲しく思う」
「いけしゃあしゃあと、よくもそんなことを!! 殺したのはあなたの孫でしょう!! あなたが命じたの!? あの子娘に父を殺せと!?」
「そんなことはしないよ。彼とは近いうちに時間をつくってもらい、じっくり話をすつもりだった。30年前は彼も若くて、どうしても踏み切れないでいたけれど、今度こそ、彼はきっと分かってくれたはずだ。だが彼が死んで、それもかなわなくなった以上、きみにお願いするしかない。次の太守はきみだからね」
「やめて! やめなさい! あなたたちにはもううんざり!!
 そうよ、次の太守はこのわたし! あなたたちをどうするか、決めるのもこのわたしというわけよ!」

 キ・サカは言葉にするうちにこれまでの彼ら一家に対する恨みつらみが箍(たが)を弾き飛ばして一気に吹き出したように、我知らず興奮に目をギラギラさせながら歪んだ笑みを浮かべていました。

「覚悟しておきなさい、ヒノ・コ。わたしはお父さまのように、あなたたち一家に寛容ではないわ! そのせいでお父さまはこんなことになったのだから!
 見なさい! この地上人たちが、あの子娘を捕まえて来てくれるそうよ! そうしたらあの殺人鬼ともどもあなたたちを即刻監獄島へ送り返してやる! この島には死刑制度がないから、あたしにはあなたたちをどうすることもできない。だけど、きっとあの島の者たちが率先してあなたたちを事故死させてくれるでしょうよ!!」

 せせら笑うキ・サカをみて、まるで小さな子どもの癇癪を前にしているように、ふうと息を吐いたヒノ・コは、おもむろに話し始めました。

「きみがそうしたいというのなら、そうすればいいよ。わたしに何を言う権利もないのは分かってるからねぇ。
 ただ、それはすべて終わったあとにしてくれないかな。なにしろ、もうあまり時間がないんだ。それに、これはきみのためでもあるんだよ」
「わたしのため?」
「ヨモツヒラサカを下りるために、軍を派遣してほしい。完全武装した兵士を、そう、300人ほど」
「何を言ってるの? ヨモツヒラサカですって? どうしてそんなこと――」
「なぜって、そこにマフツノカガミが置き去りになっているからだよ
「何を……マフツノカガミは、ちゃんと……」
「あれは偽物だよ。とても精巧につくられていたけどね。はるか昔の太守がつくった物で、ただの鏡――」

「そこまでだ、ヒノ・コ」

 唐突にドアが開き、なかへ入ってきたのは警備員でなく、肆ノ島太守クク・ノ・チでした。
 彼は昼間のうちにコト・サカの遺体をこの館へ運び、そのまま滞在していたのです。

「おじさま!」

 キ・サカは見るからにほっとした表情を浮かべて彼の元へ駆け寄ります。
 その背に、ヒノ・コは言葉を投げました。

「キ・サカ。きみのお父さんを殺したのはツク・ヨ・ミじゃない。そこにいる彼だ」
「……は? 何を言って――」
「あの者の言葉に耳を貸してはいけない。ヒノ・コは蛇蝎(だかつ)だ。その操る言葉は常に耳ある者を惑わせようとするが、性根から腐っている。彼が何をしたかを思えば、信じるに足る人間でないのは分かりきっているだろう? なにしろ、数万の罪なき者たちを殺しながら、ああも平然と生きてこられているのだから」
「ええ。もちろんです、おじさま。よりによっておじさまにあの子娘の罪をかぶせようだなんて、どこまで見下げはてた者かしら。もう二度と、顔も見たくないわ」

 キ・サカがそう反応するのはヒノ・コにも分かっていました。めずらしいことではありません。大罪人ヒノ・コと太守クク・ノ・チのどちらを信じるかと問えば、間違いなく浮遊島群の島民は全員キ・サカと同じ答えを返すでしょう。
 クク・ノ・チは廊下から警備の者たちを呼び入れ、ヒノ・コを元いた西の棟へ戻すことを命じました。
 おとなしくそれに従って部屋を出て行こうとしたヒノ・コは、JJたちの腰かけたソファを通りすぎる際に、つまずいて彼らに倒れかかります。

「わたしの言ったことは本当だよ。マフツノカガミを彼に渡してはいけない。
 もちろん、信じるかどうかはきみたち次第だけどねぇ」

 そうささやいて、目配せをすると、ヒノ・コは今度こそ彼らに急き立てられるままに部屋を出て行きました。



●肆ノ島

 彼がやって来たのは、日が暮れて、クラ・トが店じまいをしているときでした。看板をしまい、シャッターを下ろしていた背後に、いつの間にか彼が立っていたのです。

「ひさしぶりだな、クラ・ト。10年ぶりか」
ハヤ・ヒ!」

 ぎくりと青ざめたのもつかの間、彼に気づいた瞬間、クラ・トは破顔して彼の両腕を掴み、揺さぶります。

「おまえ、今までどこに隠れてたんだよ! ずっと捜してたんだぞ? でもおれの網にも全然おまえの情報が引っかからなくて、もしや監獄島で殺されたんじゃないかと……」
「すまない。連絡する手段がなかったんだ。監獄島へ入り込むのは成功したんだが、そこにがいなくて。どうやら脱走して地上へ降りたらしいということまで掴んだんで、地上へ降りていた」
「地上へ!? そりゃまた、思い切ったな。それで、あの人とは会えたのか?」
「…………。
 地上は広かったよ。想像してはいたが、それ以上だった。その上向こうも素性を隠しているようで、なかなか掴めなくてね」
「そうか……残念だったな。
 だけどおまえ、いいところに返ってきたぞ。ついにやつが動き出したんだ」

 店のなかへハヤ・ヒを招き入れ、ドアに鍵を閉め。それでもどこにあるともしれない耳を気にして声をひそめながらも、クラ・トは興奮を隠せないようでした。

ヤ・トだ。あいつが、新しいヤタガラスをつくる家を探しているというのがおれの情報網に引っかかったんだ。しかも並のやつじゃない、特別製のヤタガラスだ。そうなると狙う家も絞られてくる。やつの条件に合うのは、おそらくこの家だとおれは思う」

 クラ・トは鍵をかけた引き出しからメモと地図を取り出して、ハヤ・ヒにその家を示します。
 ハ・ヅチ家。それは肆ノ島でも有数の名家で、マホロバの血を濃く残している家でした。
 身の内に鬼の力を潜ませるマホロバの血が濃いほど強力なヤタガラスが生み出せるということから、外法使いには昔からマホロバ人を好んでヤタガラスへ変えようと画策する動きがありました。

「ここには去年結婚した娘夫婦の間に生まれたばかりの小さな娘がいる。おそらく娘夫婦と孫を当主の目の前で惨殺して、当主をヤタガラスへ変えるつもりだ」

 その魂がどす黒い憎しみに染まれば染まるほど、いいヤタガラスができる――それはハヤ・ヒも知っていました。
 ハヤ・ヒの胸に、かつて見た光景がよみがえります。
 赤々と夜空を染める炎に包まれた屋敷を見て、大恩ある一家を連れ出そうと飛び込んだハヤ・ヒは、そこでこれが外法使いによる仕業であると知りました。
 燃え盛る部屋を巡ってようやく見つけた令嬢ツ・バキは、彼女を肩にかついで連れ出そうとしたハヤ・ヒに言いました。

『わたしはもうだめ……薬を、盛られた、みたいなの……。これ以上、歩けないわ……。おまえだけでも逃げて……』
『何を言うんですか、お嬢さん!』
『あいつが……もうじき、来るのを感じる……わ。わたしを連れては、おまえも、逃げられない……』

 そこでツ・バキは床に仰向けになると、つらそうに大きく息を吸い込み、ハヤ・ヒの顔をなぞるように指をすべらせました。
 両の目は暗く、焦点を失って、見えていないようでした。

『それに……父上や、母上を、残しては、行けない……』
『それはおれもですよ! まずあなたを連れ出して、それからおふたりを――』
『いいえ。2人はもう……。だから、あなただけでも……。
 そして、伝えて……あの人に。どうか……』

 ツ・バキは淡々とした、けれど薬に耐えながらのか細い声で、夫アク・タへの伝言をハヤ・ヒに頼みました。彼女の夫は少しいわくのある人物で、2人は家族に内緒で婚約したために、屋敷の敷居をまたぐなときつく言われていたのです。駆け落ち同然にひっそりと結婚した2人でしたが、ツ・バキは妊娠したことを伝えに帰郷していました。
 そこにはもしかしたら、これをきっかけに2人が結婚を許してくれるかもしれない、という期待があったのかもしれません。里帰りしたいというツ・バキの願いをかなえるため、アク・タは同伴しておらず、結果的に災禍を免れることとなっていました。
 屋敷は不審火による夜中の火事で全焼。この火事で十数名の死傷者が出、死者のなかにはツ・バキとその両親も含まれていました。
 そしてこれはすべてアク・タによる犯行とされたのです。
 結婚を認めてもらえなかった両親、そんな2人の説得を受けて彼と手を切ることに同意したツ・バキに逆上したアク・タが3人を殺害、証拠隠滅に屋敷に火をつけた、ということでした。ハヤ・ヒは違うと奉行所に訴え出ましたが、3人の会話を盗み聞きしたと宣言するツ・バキの部屋子が現れて、アク・タの罪は確定しました。

『伝えて……あの人に』

 ハヤ・ヒの耳には、燃える屋敷の音に掻き消されまいと耳を近づけたときのツ・バキの声が今も残っています。
 ツ・バキは大恩ある男の娘というだけでなく、ハヤ・ヒにとっては小さなころから見守ってきた娘とも妹とも思える存在でした。
 その伝言を伝えるため、ハヤ・ヒは偽装してアク・タが送られた監獄島へ入り込み、彼を探したのですが、すでにそのときアク・タは脱獄したあとだったのです。
 それで彼を追って地上へ降りたハヤ・ヒでしたが、今回思わぬ国交回復で島へ戻れることになり、昔なじみを訪ねに来たというわけでした。
 それがまさか、かたき討ちができるかもしれないとは。
 ツ・バキの遺言を優先してきたハヤ・ヒでしたが、当然かたきを取ることを忘れたわけではありません。それは同じく屋敷に勤めていたクラ・トもそうでしょう。裏世界に足を踏み入れ、敵がヤ・トと呼ばれる外法使いであることを突き止め、ずっとこうしてその動向を追っていたのですから。
 しかし相手はヤタガラスを使役する外法使いです。自分たちだけでかなう相手ではありません。
 ハヤ・ヒはふと、あることを思い立って愛用のパソコンを取り出しました。

「どうした?」
「地上人に持ちかけてみる」
「地上人? ああ、今地上から来ているんだったっけ。そういや昼間も店に来ていたな」

 クラ・トは昼に、ヤタガラスについての情報を求めて店を訪ねてきた地上人たちを思い出しました。

「彼らはコントラクターだ。味方してもらえたら、心強い者たちだよ」
「へえ」

 コントラクターが何を意味するのかクラ・トにはさっぱり分かりませんでしたが、ハヤ・ヒの言葉を否定しようとはしませんでした。
 クラ・トが見守るなか、ハヤ・ヒは肆ノ島にある宿泊施設を調べてその名簿から該当者の名前を引き出します。そして彼らの部屋に電話入れた彼は、ヤタガラスを連れた外法使いが屋敷を襲撃する計画を阻止するための手助けを依頼しました。
 すぐに仲間たちに連絡をとる、と言ってくれた彼らに、ハヤ・ヒはためらい……ひと言付け足しました。

「JJにはおれが……クイン・Eが、ここに来ているというのを知られないようにしてくれると助かる」

担当マスターより

▼担当マスター

寺岡 志乃

▼マスターコメント

■5月16日追記
神器の表記につきまして、第2回リアクションと、第2話ガイド・第3話ガイドとで違いが生じておりましたが、こちらにつきましては、ガイドが正しいものとなります。
また、第2話リアクションの該当箇所は修正を行わせていただきました。


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※本シナリオのリアクション公開日は6月9日の予定となっております。あらかじめご了承ください※



 こんにちは、またははじめまして。寺岡志乃といいます。
 このシナリオは、シャンバラとカナンの間にある雲海に囲まれた5つの島を巡っての冒険物となります。
 
 ガイド本文の内容は、「参ノ島 西の地」以外はほぼPL情報です。
 手に入れられるPCは第2話のリアクションでガイドに登場しましたNPCとともに行動したPCに限定されます。
 手に入れました情報をどう共有するかにつきましては、掲示板で話し合ってください。


 最後に注意点がありますので、必ず熟読して、アクションを書くようにお願いします。


●今回行動できる場所について
 基本的にどの島へも行けますが、事件が起きていますのは弐、肆、伍の島です。壱と参へ向かわれた場合、つつがなく観光できるでしょう。
 1.壱ノ島
   地上の人たちとの交易に期待をしている、とてもフレンドリーな島民たちがいます。
   現在伍ノ島太守が暗殺されたことでピリピリしていますが、犯人の共犯者が地上人であることはまだ知られていません。
 2.弐ノ島
   岩と草しかない過酷な島です。強い風が吹きすさび、枯れた土地が広がっています。
   町は廃墟が目立ち、人々は疲れ切っていて、観光するような場所はどこにもありません。
 3.参ノ島
   島のなかでは一番工業が発達した島です。かつて機晶石が採掘されていました。
   採掘が終わってピークは過ぎていますが、まだアーティフィサーや機晶姫が多くいて、武具が豊富。女傭兵たちがいます。
 4.肆ノ島
   和風で雅な場所です。散策にぴったりのゆったりとした景色が楽しめます。
   法術使いが多く、店では普通に魔法的な呪具や呪符、お守りのような物が売られています。
   白法術師もいれば黒法術師もいます。こちらでは道をはずれた法術師は外法使いと呼ばれて恐れられています。
 5.伍ノ島
   シャンバラ並に発達した、一番大きな島です。
   現代的で瀟洒な建物が立ち並び、近代的ですが、郊外には緑の丘や雄大な大地が広がり、自然があふれています。
   ここでしか見られない野生動物たちもいて、ツアーも開催されています。観光におすすめです。


●NPCについて
モノ・ヌシ……壱ノ島太守です。第2話で死亡しました。
ミツ・ハ……参ノ島太守です。色気たっぷりな美女で、強い男が好き。外見や口調に見合わず頭が切れ、とても強いです。
クク・ノ・チ……肆ノ島太守です。法術使い。強烈なカリスマ性を持ち、肆ノ島の民だけでなく全島民から支持されています。
コト・サカ……伍ノ島太守です。第1話で死亡しました。
キ・サカ……死亡した伍ノ島太守コト・サカの娘です。ナ・ムチの(自称)恋人。気が強く、少し情緒不安定。昔からツク・ヨ・ミのことは嫌っています。ツク・ヨ・ミが父親を殺したと思い込んでおり、味方にはなってくれそうにありません。
ヒノ・コ……ツク・ヨ・ミの祖父で島を5つに割った原因をつくった人。現在伍ノ島にある太守の館の一角に監禁されています。
ツク・ヨ・ミ……ヒノ・コの孫で、現在ヒガタノカガミを持っています。
ナ・ムチ……伍ノ島の青年。かつて祖母とともにヒノ・コをかくまっていました。起動キーを持ち、敵の正体にもある程度気づいています。
スク・ナ……ナ・ムチのおさななじみです。彼と一緒に行動します。
ウァール・サマーセット……シャンバラの少年。ツク・ヨ・ミを取り返すため、ナ・ムチたちと一緒に行動します。
JJ……シャンバラの賞金稼ぎ。ヒノ・コの言葉に、ツク・ヨ・ミを追うべきかヨモツヒラサカへ行くべきか迷っています。
パルジファル……JJに忠実な相棒。赤い刀身を持つ狼型ギフトです。JJの決定に従います。
クイン・E……JJの相棒。実は浮遊島群出身の魔女でした。そのことはJJに内緒にしていて、罰が悪く、今回別行動とっていることも内緒にしたいと思っています。
ヤタガラス……ツク・ヨ・ミを執拗に狙ってきます。その正体は外法使いの使役する死霊です。攻撃者の物理攻撃方法をある程度コピーします。闇黒属性で、何の防御もなく触れると数秒間浸食されます。光で散らすことができるものの、決定打にはなりません。ある程度戦って逃げることをおすすめします。なお、数体ですが、巨体でしゃべることができるヤタガラスもいます。このヤタガラスはすべてにおいてほかのヤタガラスよりも強力です。
マガツヒ……タタリの使役する白化したヤタガラスです。齢数千年を経ており、邪悪そのものの怨霊と化しています。ヤタガラスとしての攻撃のほか、噛みつきをします。
タタリ……全身に呪符を巻いた謎の少年。ミツ・ハの持つオキツカガミを狙っています。
オオワタツミ……雲海の龍です。島を囲む雲海を生み出している源で、雲海の魔物たちの首魁。雲海に隠れたどこかの無人島を根城にしています。


●ヨモツヒラサカ下りについて
 伍ノ島、イフヤの動物保護区、風の神殿跡地下にあります。封縛された扉を開けて長い階段を下りることになります。マフツノカガミは最下層でかつてオオワタツミの荒魂を封印していた祭壇に残されています。
 真っ暗なので、その対処が必要です。また、なかにはダリという巨大な魔物とその配下の大勢のヒダルたちがいます。
 ダリ……常に飢えており、その飢餓感は動く物を何でも口に入れてしまうほどです。目が見えないかわりにほかの感覚が異常に発達しており、隠れ身等気配を殺すスキルは一切通用しません。主に地上と地下をつなぐ階段を往復するなど、地下を徘徊しています。ぶよぶよの体は並の刃物は通さず、また火や雷、氷といった攻撃魔法もその威力のほとんどを体皮を覆う粘液が退けてしまいます。外見はイボガエルのようで、背中の穴から触手を出したり、長い舌を用いて捕食します。
 また、その飢餓は周囲にも影響を及ぼし、ダリが近くにいるとそれだけで飢えに襲われます。距離が近くなればなるほど、その感覚は激しくなります。何か対策が必要です。
 ヒダル……餓鬼です。体長は大体140センチ前後。身軽に飛び跳ねて襲いかかってきます。知能は低く、しゃべれません。ダリを崇拝し、恐れています。武器は爪と牙です。傷を負うことよりも食欲が優先されます。
 ヨモツヘグイ……地下にはほのかに光る苔が生えていて、これがヒダルたちの普段の主食になっています。しかし毒性があり、これを口にすると毒に侵されて身動きがとれず、意識を保つことも難しくなります。これをヨモツヘグイと言います。ダリの発する飢餓感に負けると、とにかく何でも食べたくなった結果、これを食べてしまいます。注意が必要です。


●肆ノ島、ハ・ヅチ邸について
 外法使いヤ・トは2体のヤタガラスを邸宅に送り込みます。どちらも強化版ヤタガラスです。
 外法使いは遠距離から憑代の頭がい骨を用いてヤタガラスを操ります。そのほか、自分の護衛として1体の強化版ヤタガラスを置いていますが、こちらはつくりたてのヤタガラスで、先の2体よりも若干能力が低めです。



注意点
 1.各島へ行く手段は浮遊島の熟達した船乗りが操縦する船しかありません。それ以外の航路を独自に用いようとしますと、雲海の魔物たちに襲撃されます。ですので、浮遊島では飛空艇、箒その他乗り物は一切使用できません。船に乗せることもできませんので、持ち込まないようにしてください。

 2.このシリーズに参加できるLCは2人までとさせていただきます。3人目が入っていました場合は没とし、リアクションには登場しません。ただし、文字数用として追加されるのはかまいません。

 3.パートをまたぐアクションはWアクションと判断、片方が不採用になります。また、目的が2つ以上あるアクションも同様にWアクション判定となり、LCのアクションが没扱いになります。
  例)MCはヤタガラスとバトル、その間LCはセツと会話して情報を得る → × LCのアクションが没扱いになります。
    MCは情報収集、その間LCは町を散策 → × LCのアクションが没扱いになります。
    GAでMCは情報収集、その間LCは他の者と町を散策 → △ 散策はできますが事件に遭遇、バトル参加といった複雑なことはできません。
    MCはスク・ナの足止めLCはセツを安全な所へ逃がす → ○ 逃がすだけです。逃走先あるいは途中で○○するというのはWアクションです。

 4.浮遊島群ではツク・ヨ・ミは指名手配されています。額のあざは刺青で、浮遊島群で最も重い天津罪刑に処された犯罪者であるしるしです。
   彼女の味方をして一緒に行動するというのは、犯罪者の仲間であるととられます
   そのせいで島での立場が悪くなったり、冷遇されたり、捕縛されてしまうことも考えられます。ご承知ください。

 5.高久高久GMのシナリオに参加される方は、こちらのシナリオには参加できません。参加されました場合白紙と同じ扱いとなり、リアクション内に登場することはありません。よろしくお願いします。(高久マスター側のシナリオは5月18日(日)公開予定となります)



 それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。

▼サンプルアクション

・ツク・ヨ・ミを救出する

・ミツ・ハを守る

・ヨモツヒラサカを下りる

・ヒ・ヅチ家を守る

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年05月15日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年05月16日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年05月20日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年06月09日


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