イルミンスール魔法学校

「新年会だと？　やりたければ勝手にやればよかろう！」

　嘆願してきた生徒たちに向かって、金　鋭峰（じん・るいふぉん）は言い放ちました。

「ただし、集合時間への遅刻はもちろん、過度の飲酒、騒動を起こした者は厳罰に処す。
　そもそも、こういう時期だからこそ教導団員が率先して規律を――」

　説教が始まりかけ、生徒たちが慌てて逃げ出そうとしたその時、

「――いや、待て」

　あごに手を添え、思案していた金鋭峰は彼らを呼び止めました。

　次の日、シャンバラ教導団主催の新年会を開催するというチラシが、各学校に配られました。

　簡素なデザインのチラシには固い文面で場所と時間、
　校長である金鋭峰や教導団幹部も多数出席するという内容のほか、
　読んだ人々の目を引く一文が添えられていました

　参加費用はシャンバラ教導団負担のため、すべて無料（タダ）

★★★

『皆、あけましておめでとう』

　青空の下、スピーカーから李　梅琳（り・めいりん）の声が響き渡りました。
　彼女の後ろには、教導団の校長が控えています。

『今日はシャンバラ教導団が主催の新年会よ。存分に楽しんでいってね』

　教導団の演習場には、和洋問わず豪華な料理が並べられていました。おせち料理もあります。
　基本的には立食形式ですが、座って食べれるようシートが敷かれている一角もありました。

『また、新年会の余興として日本の伝統的な儀式の器具や遊具を用意してみたわ。
　器具の貸し出しは無料よ』

　集まった人々の目が、そちらに向きます。

「おい……あの羽根突き、羽子の代わりにパイナップル（手榴弾）が置いてあるぞ？」

　教導団の生徒のひとりが、嫌な汗と共に呟きました。

「あれが噂の日本の凧揚げですか。大きな凧ですね、人が乗れそうです」

　シャンバラ人の少女が呑気に言います。

「臼と餅と杵……じゃなくて鉄製のハンマー？」

　手にしたハンマーのずっとりとした重さに、蒼空学園の少年が戦慄しました。

　他にも、ロシアンルーレット付き双六や天まで届きそうな出初式のハシゴ。
　刃物の付いた巨大な自走式のコマに、各学校の校長や有名人を模した福笑いなどなど。
　ちょっと方向性を間違えた、物騒なものがあれこれと置いてあります。

『なお、新年会中の不慮の事故などについて、教導団は一切責任を負わないので注意してね。
　それでは――乾杯！』

「「「かんぱーい！」」」

　どよどよと腰が引ける参加者でしたが、梅琳が乾杯の音頭を採り新年会が始まりました。

　ですが、

「ついに金鋭峰の圧政からシャンバラ教導団を解放する時が来た！！」
　
　その陰ではゲルグと名乗る男が、同志と共にクーデターのチャンスを狙っていたりもするのでした。

あけましておめでとうございます。

今回はシャンバラ教導団主催の新年会となっております。

悪ノリしてもいいし、騒ぎを遠目に普通に新年会を楽しむのもアリです。
ただし、公序良俗は守りましょう。
器具を使って目立った方は称号がもらえる（かもしれません）。

また、クーデターに参加しても構いませんが、戦力差は……言うまでもありませんね。

色々と物騒なネタが散りばめられていますが、あくまでお祭りです。
基本的に明るく、楽しく。
重い描写はほとんどないと思って頂いて構いません。

以上です。
皆様のご参加と楽しいアクションをお待ちしております。
今年もよろしくお願いいたします。

・普通に新年会を楽しむ

・教導団らしく新年会を楽しむ

・クーデターに参加