イルミンスール魔法学校

　草木も眠る丑三つ時。
　交差点の信号も役目を終え、中央が黄色く点滅するのみ。
　その道路の真ん中に、大の字に寝っ転がる男が１人。蒼空学園の制服を着た、銀色の髪を短くした青年です。４月に失くしたメガネも遺失物係から返してもらい、無事に彼――山葉　涼司（やまは・りょうじ）のトレードマークとなっていました。
「おー、すごい開放感。１度やってみたかったんだよなあ」
　空に浮かぶ満月を眺めながら、子供のような声を上げます。
「親友か……」
　ふと呟いたところに、大型トラックがやってきました。深夜の配達でもしているのでしょう。トラックは涼司の直前で停車し、運ちゃんが何事かと降りてきます。
「おいてめぇ！　そんな所で何してやがんだ！　死にてえのか！」
「俺……なんか悪いことしたかなあ……」
　涼司の様子がおかしいことに気付いた運ちゃんは、怒りをおさめて彼を路肩に引っ張っていきます。
「おい、どうした！？　何があった。俺でよければハナシ聞くぜ？」
「実は……」
　そして涼司は、運ちゃんにくだを巻き始めました。……どうやら、甘酒で自棄酒でもしていたのでしょう。

　翌朝。
　涼司を送り届けてくれた運ちゃんは、御神楽　環菜（みかぐら・かんな）に言いました。
「まあ要するに、女と険悪になったみてぇなんだけどよ！　すげぇ落ち込んでるから何とかしてやってくれや。俺は仕事があるからよ！」
　運ちゃんが帰ったあと、環菜は言います。
「なにあなた。彼女と絶縁状態なの？」
「俺にはそのつもりはねえんだけど……。でもとうとう、冒険にもついてくんなって言われちまって……」
「でも、花音さんに嫌われたわけではないのでしょう？　親友だ、と……」
「ああ……」
　ルミーナ・レバレッジ（るみーな・ればれっじ）が花音・アームルート（かのん・あーむるーと）の名前を出すと、涼司はますます頭を垂れます。親友とか言われても、最近の花音の態度からはそれすら怪しい気がしてしまうのです。
　しばし彼を見つめていたルミーナは、優しく微笑んで言いました。
「何かおいしいものでも食べれば、元気も出ますよ。それから、花音さんと話してみたらいかがですか？」
「…………」

　涼司が帰った後、ルミーナは環菜に提案しました。
「家庭科の授業の一環ということで、明日、盛大に調理実習をしませんか？　みなさまでおいしいものを作って、涼司さんを元気づけてあげましょう」
「私達が口を出す問題でも無いでしょう。ほっときなさい」
「でも……」
　心配そうにするルミーナを見て、環菜はため息をつきます。
「分かったわ。まあ授業ということなら、構わないでしょう」
「ありがとうございます」
「あいつには、主旨を秘密にしておきなさい」

　ということで、蒼空学園で大調理実習が行われることになりました。

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　家庭科特別授業のお知らせ
　品目：自由。
　時間：２限目～４限目
　調理場所：１階家庭科室（野外調理場付き）
　１限はＨＲ、自習扱いにします。参加者は事前説明を記した紙を蒼空学園事務所まで取りに来ること。他校生も参加可能です。学園見学歓迎！

【２０２０授業風景】。家庭科(蒼空学園編)です。

メガネが前面に出ていますが、いつも通りＮＰＣガン無視アクションも歓迎いたします。
蒼空学園で、オーソドックスな（？）調理実習を楽しんでいただければと思います。

ガイドにある「事前説明を記した紙」には、涼司を励ましてあげましょうという主旨のことが書いてあります。一応、参加者にだけ真実を知ってもらおうというルミーナなりの心遣い……ということで。全校生徒にプライバシーを勝手にさらすのもアレですからね＾＾；
ＰＬ情報をＰＣ情報にするための紙でもありますので、リアクション上ではこの部分はぶっとばします。あまり気にせずにおいてやってください。

今回の登場ＮＰＣはガイドに出てきた公式ＮＰＣのみとさせていただきます。

では、よろしくお願いいたします。

・メガネに料理をふるまう

・花音にひとこと物申す

・普通に調理実習を楽しむ