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大切な人に食べられたいチョコ化の呪い!?
シナリオ名:すいーと☆ぱにっく / 担当マスター: 瀬海緒つなぐ

 ヴァイシャリーのメインストリートはバレンタイン一色に染まっています。
 2月14日はバレンタインデー。愛の言葉や感謝の気持ちをチョコレートなどに込めて、大切な人やお世話になっている人に贈る日です。
 お菓子屋さんや食料品店の前には、パートナーや大切な人に渡すチョコレートやその材料を求めて、そこかしこに百合園女学院の制服が舞っています。
 いえ、ヴァイシャリーだけではありません。ツァンダでも空京でも、ヒラニプラやキマクですらバレンタインムードに包まれています。

「お姉様とお会いしてもう一年……わたくしもお姉様にチョコをお贈りしたいですわ」
 百合園の制服の中に、泉 美緒(いずみ・みお)の姿もありました。他の百合園生同様チョコを取っては品定めを繰り返しています。
 しかし、ふとチョコレートを持っていた手が止まり、それを陳列棚に戻しました。
「でも、どのようなチョコレートをお渡しすれば、お姉様は喜んでくださるかしら……高級チョコレート? それともわたくしの手作りのチョコレートでしょうか?」
 大切な人に贈りたいからこそ、考えれば考えるほど、想えば想うほど堂々巡りを繰り返し答えが出ません。
 美緒は溜息を吐くとお菓子屋さんを出て、パートナーのラナ・リゼット(らな・りぜっと)の家への帰路に付きました。
 ラナ・リゼットは魔鎧ですが、元はシャンバラ人で、ヴァイシャリーに居を構えています。美緒は百合園女学院の寮ではなく、ラナ・リゼットの家に同居しています。
「ただいま戻りましたわ。あら、これは……お姉様の……?」
 ラナ・リゼットはまだ帰ってきていないようです。
 美緒はリビングのテーブルの上に置かれている、綺麗にラッピングされた小箱を見つけました。

『美緒へ

 いつもありがとう。バレンタインという風習があると聞いて、チョコレートを贈ります。
 私だと想って食べてください。

 ラナ・リゼットより』


 と、カードが添えられていました。
 美緒が丁寧にラッピングを剥がすと、その下にはリボンに包まれたチョコレートが入っていました。
「お姉様、ありがとうございますわ……先を越されてしまいましたわね、しかし、渡すのは当日でも良いのに、ふふお姉様ったら」
 吟遊詩人としての好奇心から美緒に地球の話をねだるラナ・リゼットの瞳はキラキラと輝いていて、年上なのにとても可愛く見えます。
 そんなパートナーの姿を思い出しながら、美緒はチョコレートをかじりました。
 ほろ苦いビターの味が口一杯に広がります。
 全て食べ終えると――それは突然起こりました。
「あっ!? はぁ……あぁっ、はぁぁぁぁ!?」
 お腹の底から熱い何かが込み上げてきて、美緒の身体全体を包み込み始めたのです!
「な、何かが来る……嗚呼、来るぅ……お姉様……お姉様―――――!!」
 美緒の絶叫と共に、手に持っていたリボンがシュルシュルと音を立てて彼女の身体を覆っていきました。


「ただいま。美緒、帰っていますの?」
 帰宅したラナ・リゼットは、リビングの明かりが点いているので声を掛けました。
 しかし、美緒の返事はありません。
「あの子ったら、灯りを点けっぱなしで部屋に戻ってしまったのかしら……!?」
 ラナ・リゼットがリビングに来ると、息を呑みました。
「美緒の……チョコレート……?」
 そこには美緒を象った等身大のチョコレートの像が置かれていました。
 リボンが巻かれ、「食べてください」と言わんばかりの表情をしたチョコレート像です。良い香りがして、ラナ・リゼットの食欲をそそります。
「本物のチョコレートのようね。もっとも、あの子がチョコレートでコーティングして私を驚かそうとしていたら、怒るところだけれど」
 触ってみると確かにチョコレートです。髪の毛など溶け掛かっている部分もあります。
「あの子が私のために用意してくれた……? でも、こんな手の込んだことをするかしら? ……あら?」
 ラナ・リゼットはテーブルの上に置かれたラッピング用紙とカードを見つけました。
「私、このようなカード贈ってない……まさか!? このチョコレート像は……」



 ――ツァンダ、ツァンダ家別邸。

「パッフェル、あんたに届け物よ」
 セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)宛ての届け物を彼女に渡しました。
 セイニィとパッフェル、ティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)の3人は、任務がない時はツァンダ家の別邸で過ごしています。ティセラはシャンバラ宮殿に行っているので不在です。
「……!? あの人……から……?」
 パッフェル宛ての届け物もまた、メッセージカードが添えられた、リボンが巻かれたチョコレートでした。
 パッフェルも差出人を想いながらチョコレートをかじりました。
「……んっ……これは、っあぁ……呪縛!? ……くふっ、魔眼を……」
 パッフェルは自分の身体の異変に気付き、右目のゴスロリ眼帯を取ろうとしました。
 しかし、リボンが彼女の身体に巻き付き、身動きが取れなくなっていました。
「……身体がチョコ……レートに……――」


「パッフェルー、そろそろ夕ご飯にしてよー。あ、フライドポテトは必ず付けてよねー」
 しばらくして、とてとてとセイニィがパッフェルの部屋にやってきます。
 セイニィは料理が全く出来ません。家事全般はパッフェルが受け持っています。
「パッフェルー、またエアーガンでも弄ってるのー? パッフェル、入るわよー?」
 ノックをしても返事がありません。パッフェルの趣味であるエアーガン弄りをしているといつもこうなので、一応ノックをして断ってから部屋に入ります。
 そこでセイニィは言葉を失いました。
 部屋にパッフェルは居らず、その代わりに彼女を象った等身大のチョコレートの像がひっそりと佇んでいたからです。
「パッフェル、ふざけないでよ。あんた、身体にチョコ塗るなんて趣味悪いにも程があるわよ……って本物のチョコ?」
 チョコレートの像に触れたセイニィの手に、溶けたチョコレートが付きますが、パッフェルの柔肌は出てきません。
 床には先程彼女が届けた包み紙とメッセージカードが落ちていました。
「ん? チョコ化する呪い……? チョコ化する呪いですって!? まさか本物のパッフェルなの!?」
 メッセージカードには、かすれたチョコレート色の文字でそう書かれていました。
 完全にチョコレート化する前に、パッフェルが書き残したようです。
「ちょ、ちょっと待ってよ!? あたし、呪いとか全然専門外なんだけど!! 魔眼持ってて呪いに詳しいあんたですら解除できない呪いなんて、どうやって解除したらいいのよ!? しかも十二星華に効くような強力な奴よ!? それにチョコになっちゃったなら食べたり溶けたりしたらマズイってことよね!? ああ、何か美味しそうな臭いがして食べたくなっちゃうじゃない!? もう何から手を付ければいいのよー!!」
 セイニィはパニックに陥っていましたが、取り敢えずエアコンを冷房にして、パッフェル像が溶けるのを防ぎます。
 それから友達や知り合いに電話やメールをして、とにかく事情を話すことにしました。


 このようなチョコレートが、ヴァイシャリーやツァンダだけではなく、各都市で少量ですが置かれていたり、贈られていました。


「あはは、セイニィの慌て振りったら最高だよ! 鏖殺寺院謹製の呪いだからね、「清浄化」や「石を肉」にでも戻らないよ。ボクが持ってるこのエリクシルか、呪いといったらお約束のアレ以外ではね」
 ツァンダ家別邸の外でセイニィの慌てふためく声を聞きながら、悦に浸るシャムシエル・サビク(しゃむしえる・さびく)の姿がありました。
「でも、感謝して欲しいくらいだよ。自分自身を大切な人に贈れば、あれこれチョコレートで悩む必要もないんだからね。パパに相談してパラミタカマキリを参考にした甲斐があったよ」

担当マスターより

▼担当マスター

瀬海緒つなぐ

▼マスターコメント

 各都市でパートナーや大切な人の名前を騙ったチョコレートが、部屋に置かれていたり、贈られたりしています。
 それを食べるとチョコレートの像に変えられてしまう呪いが掛かっており、泉美緒やパッフェルを始め、数人から十数人単位でこの呪いに掛かってしまった人を助けるのが目的です。
 セイニィとラナ・リゼットは学校を問わず片っ端から友達や知り合いに連絡を入れているので、「セイニィから連絡をもらった」「ラナ・リゼットの知り合いから連絡を受けた」といった理由で、学校に関係なくどなたでも参加できます。
 また、自分やパートナーにこのチョコレートが贈られ、食べてしまいチョコレートの像に変わってしまったと巻き込まれるのもOKです。

 セイニィとラナ・リゼットは手分けして犯人(シャムシエル)を捜します。
 ただ、神出鬼没な彼女ですからなかなか尻尾は掴ませてくれないでしょう。囮作戦などが有効です。

 チョコレートの像に変わってしまった人の取り扱いには注意してください。
 特に溶けたり、砕いたりしないよう注意が必要です。強度は普通のチョコレートと変わりません。
 また、くれぐれも食べないように!
 ただ、呪いで「無性に食べたくなる臭い」が発せられているようで、我慢は時間の問題です。

 食べてしまうと元に戻った時、その部位は失われてしまいます。
 それを利用してウエストや太ももなど「ちょっと細くしたい部位」を削るなんてダメですよ!
 逆に足りない場所にチョコレートを盛って、元に戻ったらボリュームアップ! ……なんてとんでもありません、くれぐれもやらないように!

 なお、チョコレートの像になっている間、意識はあってもなくても構いません。
 意識がある場合、視界だけは機能している、とします。また、スキル「精神感応」で会話も可能です。
 お好きな方をアクションに書いて下さい。
 美緒とパッフェルには意識はありません。

※なお、パッフェルとセイニィ、シャムシエルが登場していますが、グランドシナリオ『戦乱の絆 第二部 第一回』には一切影響しません。

▼サンプルアクション

・LCがチョコレート像に!?

・MCがチョコレートの像!?

・犯人を捜し出す

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2011年02月01日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年02月02日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年02月06日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年02月21日


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