桜の季節がやってきました。
百合園女学院では、お花見を企画しているそうです。
そのお花見に合わせて新しく作られた『桜酒』というのが噂になっています。
『酒』と名は付いていますが、アルコールではありません。
作り主こそ分かりませんが、とても儚げな桜の香りと甘味に酔ってしまうほどの素晴らしい『紅茶』なのです。
酒豪たちはわずかにブランデーを垂らして……
お酒の苦手なものたちはその雰囲気に酔いしれる。
この『桜酒』は、桜の開花と合わせて百合園女学院にて販売が開始されましたが、すぐに売り切れてしまう状態。
気の利いた噂話までで回ります。
『桜の香りに酔いしれると、時を越えて、大切な人と話をすることができる』
大好評のままに、桜酒は残り少なくなってしまいました。
少しでも多くの人に楽しんでもらおうと、百合園女学院では桜酒の会を開くことにしたのです。
もちろん、男子禁制の百合園では参加者が制限されるため、学園内ではなく所有している桜並木一帯を使っての大掛かりなお茶会です。
ムード溢れるその場所は、恋人たちが過ごすのにはもってこいでしょう。
そして、華やかな桜の木は宴会の肴にぴったり。
あなたは、桜酒を購入できましたか?
それとも、お茶会でみんなと楽しい時間を過ごしますか?
お茶会では、各種イベントも用意されているようです。
お茶会を催す一日前、二人の機晶姫が並木道を歩いていました。
ひとりは赤毛の女性、一人は緑髪の少女です。
長いこと留学のためにこの土地を離れていましたが、花見の時期に間に合うように帰還したようです。
「みんなに会えるのが、そんなに楽しみですか?」
「はい! たくさんの友だちにまた会えるのが、楽しみです!」
仲の良い姉妹は、急ぎ足で学院へと向かっていました。
再会の桜の花が、あなたを待っています。