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桜井静香の冒険 ~古城~

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桜井静香の冒険 ~古城~

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シナリオガイド

冒険のある場所を探しに
シナリオ名:桜井静香の冒険 ~古城~ / 担当マスター: 有沢楓花

 2024年の4月、パラミタ内海を一隻の船がゆったりと進んでいました。
「いい天気だね。旅もここまで順調、この調子ならもう数時間で到着できるかも……」
 甲板で澄み渡る空を見上げながら、桜井静香(さくらい・しずか)が微笑みました。
「それはその本の内容が正しかったら、の話ですわ」
 静香の横で、白百合会会長アナスタシア・ヤグディン(あなすたしあ・やぐでぃん)が、こちらは少し皮肉気な笑顔を浮かべています。
 二人の視線は穏やかな海から、静香の手にある一冊の本に移っています。
 A4サイズほどの分厚い本は、古びた茶色い革表紙と染みのついたクリーム色の羊皮紙でできた年代物で、独特の匂いがしました。
 それは、何百年か前にヴァイシャリーを終の棲家としたとある探検家の日記で、パラミタ内海を巡った数々の冒険が記されていました。
 百合園女学院の司書がヴァイシャリーの古書店に眠っていたこの本を買い取ったのは大分前の事でしたが、つい先日、静香がこの本を借りたのです。
「私も謎を解くのにはやぶさかではございませんけれど、どうしてここを選びましたの? 記述が1ページにも満たないのですから、もっと詳細が書いてある場所に行かれた方が宜しいのでは?」
「うーん、だけど、惹かれない? 『秘宝の眠る古城』って」
 静香は栞の挟んであるページを開きました。
「お城の記述はこれだけなんだよね。
 『小さな古城に足を踏み入れた我々は、探索を開始した。書斎の本などからして、そこは古王国時代の魔女が住んでいた城のようだ。少々のトラップがあったものの、大した危険はなかった。遂に秘宝を発見した我々は、しかしそれを持ち帰ることはできなかった』」
「つまり、その秘宝の前に、何らかの障害があったということですわね?」
「うん。持ち帰れなかった、っていうところで記述が終わってる。……気にならない?」
 静香に笑いかけられて、アナスタシアは素直に頷きました。
「でも、自分だけで独り占めして、日記にはないと書いたのかもしれませんわよ?」
「それならそれでいいかなって思ってるよ」
 この本の内容が本当だったとして、秘宝があったとしても、今はもう持ち去られたり、時の流れで消え去っているかもしれない。
 それでも冒険をしよう、と静香が言い出して、張り紙で百合園内外の生徒たちを冒険旅行に募集したのは、ここではないどこかで、わくわくしたかったからなのかもしれない。
 世界の秘密は暴かれ続けて、もう行っていないところなどないように思われて。打ち倒せない敵なんていないように思われていたから。
「――お二人とも、中に入って下さい、雨が降りそうです」
 その時、白百合会会計の村上 琴理(むらかみ・ことり)が、二人を呼びに来ました。
 気が付くと空は分厚い黒雲に覆われており、ぽつりぽつりと、細い雫が額や腕を打ち始めました。
 静香ははっとしたように本を見ると、早口で読み上げました。
「『出航して三日、東に船を進めるとにわかに空が曇り、激しい嵐が吹き荒れた。船は波に翻弄され、我々は比較的重要でない荷物を海中に投げ捨てる羽目にあいながらも、とある小島に辿り着くことができた。頼りない地図と星と磁石によれば、その位置は――』」


 それは偶然なのでしょうか。本にあった通り、船は嵐に見舞われました。
 元来た方向に流されそうになりながらも、船長を務めるフランセット・ドゥラクロワ(ふらんせっと・どぅらくろわ)が何とか無事に船を目的地周辺の小島に停泊させましたが、豪雨に外に出ることもままならず、帆をたたんで耐えるしかありません。
「この島は、目的地付近に点在する小島で間違いなさそうだ」
「なさそう、というのは……?」
「機晶石が上手く働かない。今、故障の有無を点検中だが……それとは別に、晴れ次第、六分儀を使用して位置を割り出すつもりだ」
 フランセットはしかめっ面のまま、そう報告しました。
 そして、びしょ濡れになりながら船長室に海兵隊のセバスティアーノが駆け込んできました。
「提督、古い城がありました!」
「目的地には着いたってわけか。しかしこの嵐じゃな……可愛い女の子となら船や無人島にいくら閉じ込められたっていいけどね」
 船医の言葉に、船で家畜の世話をしている獣人の少女が、無言で冷たい視線を投げかけます。
「出発時には、一人で置いて行くのです。家も食べ物もなくてどれだけ持つか見ものなのです」
 メイドのヴィオレッタもそう言います。
 室内の緊張がゆるんだ中、主計長がやって来ると、彼らを横目に、一同に落ち着き払って説明しました。
「今回は冒険を前提として準備を整えてきました。船を拠点にする限り、文化的な生活には暫く困りません。
 ただし天候回復後に探検に出られる方は、テントや食料等、共通の物資を使用する場合はこちらに一声かけていただくようお願いします」
 ――翌朝、天候は見事に回復しました。
 ……しかし。
「さあ、さっそく冒険に行こう!」
 荷物を詰め込んだリュックを持ち上げた静香は、背中から引っ張られたように、どすんと倒れかかり……、
「大丈夫ですか?」
 後ろからフェルナン・シャントルイユ(ふぇるなん・しゃんとるいゆ)でしたが、彼もまた意外な重さに、眉をひそめ……、
「やった、これでか弱い女の子を守れる!」
 部屋の隅で守護天使の青年が、ガッツポーズを取っているのが見えました。


担当マスターより

▼担当マスター

有沢楓花

▼マスターコメント

 こんにちは、有沢です。

 今回は、桜井静香がパラミタ内海へ冒険にやってきました。
 百合園女学院生徒だけでなく、OGや他校の生徒、知り合いを誘って……となれば当然参加者の殆どが契約者なのですが、この島に着いてからというもの、力を失ってしまっています。
 体力や運動能力は一般人並になり、スキルは基本クラス・下級クラスの習得レベル1までしか使用できません(アクティブだけでなく装備しただけで効果があるようなパッシブスキルも同じです、但し使用回数は現在のSPを基準にします)。ペットなども同じように力が発揮できません。
 そのため、戦闘は勿論、探索や持っていく荷物の重量にも普段より制限があります。
 機械は、パートナー間の携帯電話は使用可能ですが、それ以外のハイテク機器は調子が悪く、つながらなかったり作動しないことがあります。


 島は、数日もあればくまなく見て回れるほどの大きさです。ほぼ同心円状に地形が広がり、砂浜、わずかな草原部分、そして大部分を占める林となっています。林には泉や小さな川も幾つか流れ、怪物もおらず、平穏そのものです。ただし狼などの野生生物には注意が必要です。
 林を抜けて島の中心部には小さな山があり、小さな古城が建っています。
 古城にはかつては道があったのか、麓から城へは緩やかな坂が続いています。一重の城壁についたたったひとつの(両側に小さな塔がついた)城門はセバスティアーノによって内側から開けられました。
 城は門に入ってすぐの中庭の他、居館部分(キープ)、塔、厩舎が建っています。外側から見た限り、居館は二階建て、塔は三階建てのようです。状態は比較的良いのですが、全体的にかなり埃っぽく薄暗いです。

 以下が、NPCの居場所と行動になります。古城の大まかな説明でもありますので、アクションの指針としてください。

 ・桜井静香……二階の魔女の居室や書斎を調べていましたが、何故か城の外に出ていました。また調査を再開する予定です。
 ・アナスタシア……塔は研究用のもののようです。魔術関係の本や実験器具の残りを調べています。眠りに陥らせる雲が出る杖が作動したり、扉を開けたつもりが滑り台状になっていて落下したりと苦戦中です。
 ・琴理……二階で、広間(食卓)や居間など居住部分を調べています。
 ・フェルナン……地下の貯蔵庫や牢屋を調べています。じめじめして気味が悪い場所です。
 ・守護天使……城の外から(翼で)屋上部分に上がろうとして、弾き飛ばされて中庭の花畑に落下しました。
 ・フランセット……機晶船のチェックをしつつ、留守番です。部下に島の探索を行わせたりしています。連絡には携帯の他に発煙筒や狼煙等を用います。
 ・ヴィオレッタ……花妖精のフランセットのメイドです。船で留まる人たちのお世話や荷物の番をしています。
 ・セバスティアーノ……城門の中や中庭や城壁の上を調べています。
 ・船医……一階で、使用人の寝室などを使えるように掃除したり、トイレやお風呂を用意したいようですが……。
 ・主計長……一階で、キッチンや食料他の貯蔵庫と井戸の周辺を調べています。
 ・獣人の少女……船員と共に、適宜、船から食料など必要なものを運んできたり、道を確保したりします。

 皆さんのアクションをお待ちしています。

▼サンプルアクション

・城を探索する

・謎を解き明かす

・冒険を理由にいちゃつく

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年04月07日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年04月08日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年04月12日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年04月23日


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