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人形師×魂×古代兵器の三重奏~白兎は紅に染まる~

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人形師×魂×古代兵器の三重奏~白兎は紅に染まる~

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シナリオガイド

ジャンル:ほのぼのバトルシリアス
シナリオ名:人形師×魂×古代兵器の三重奏~白兎は紅に染まる~ / 担当マスター: 沢樹一海

 空京に、デパートが建ちました。
 地下二階、地上十二階建てのデパートで、喫茶店から雑貨、服飾、家具、『買えないものはない』ことを売りとした大型デパートです。

 そのデパートに、ラス・リージュン(らす・りーじゅん)ピノ・リージュン(ぴの・りーじゅん)ファーシー・ラドレクト(ふぁーしー・らどれくと)リンス・レイス(りんす・れいす)クロエ・レイス(くろえ・れいす)の五人は買い物に来ていました。
 ラスとリンスはピノとクロエの要望で。ちょうど消耗品をまとめ買いしようと思っていたファーシーも、電話で話した時に四人の予定を知り、ここまで一緒に来たのでした。
「じゃあ、ピノの事は任せたからな」
「あれ、買い物手伝ってくれるの?」
 リンスにそう言って一歩離れたラスに、『ていうか、荷物持ってくれるの?』という幻聴が聞こえてきそうな表情でファーシーは言います。
「元々、そのつもりで連絡してきたんじゃないのか? どこにいても大して変わんねーし、付き合ってやるよ」
「ありがとう! じゃあ、最初はね……」 
 早速というように、ファーシーは踵を返してエレベーターへと向かっていきます。彼女に続こうとしたラスは、そこで一度足を止めてリンスを振り返りました。
「店ん中ではぐれるなよ」
「はぐれないよ。はぐれること前提に言わないでくれる?」
「だってお前、迷子癖あるだろ」
「ラスおにぃちゃん、リンスはほうこうおんちなだけなの。まいごになりたくてなってるんじゃないのよ」
「クロエちゃん、そのフォロー、フォローになってない気がするよ?」
 まったくだ、と目を伏せるリンスに、ラスは「頼んだぞ」と念を押してからファーシーの後を追いました。
 その背に軽く手を振ってから、リンスはピノとクロエを見ました。
「じゃ、俺たちは見て回ろうか。どこに行きたい?」
「えっとねー。えっと、ピノおねぇちゃんどうするー?」
「あたし、このお店前から気になってたんだー」
 ピノが指し示したのは、連絡通路を渡った先、B棟五階にある『ανρα』というお店でした。
「……読めない」
「アウラー、って読むんだよ。ここね、可愛いお洋服がいっぱいあるんだって。ね、クロエちゃん。行ってみようよ」
「うん! いくー!」
「楽しみだね! B棟は――六階から渡れるみたい。そこからエスカレーターで下に下りよう」
「はぁーい」
 こうして、リンスとクロエはピノに率先される形でB棟へと向かいました。

 一方その頃、地下二階、ペットショップ。
 ガルディア・ノーマッド(がるでぃあ・のーまっど)は、依頼を受けてここにいました。
 依頼の内容は、ペットショップに紛れ込んだ実験動物の駆除、です。
 詳細の確認をしている最中、がしゃん、とガラスの割れるような音がしました。ガルディアの足元を、一匹のうさぎが走り抜けます。
 白い毛並みの、愛らしいうさぎです――ただ一つ、頭に注射器が刺さっていることを除けば。
 うさぎを視認したガルディアは腰の太刀の柄に手をかけ、容赦なく頭めがけて振り抜きました。
 その瞬間うさぎの姿が豹変。体毛は紫色と赤のまだらという毒々しいものに変わり、目と口は大きく開かれ、覗く歯は鋭利な刃物のごとく鋭く尖っています。もう愛らしい姿の面影はどこにもありません。
 うさぎは頭部に迫る太刀を紙一重で躱すと、地面を力強く蹴り、ガルディアを噛み千切らんとばかりに飛び掛かります。
 返す刃で空中のうさぎを狙うガルディアですが、その一撃はまたひらりと躱されてしまいました。
 「……っ!」
 咄嗟にガルディアが身を引いた為、うさぎの歯は空中でがちんと閉じ、ガルディアを素通りして背後の壁に着地。ずだんっと鈍い音が打ち鳴らされました。
 「素早い、か。ならば……」
 壁を蹴って再び襲いかかるうさぎに、彼は振り向きながら狙いを付けると太刀を握りなおして地面を滑るように突進しました。
 低い姿勢で踏み込んだガルディアは流れるような動きで太刀を振るいます。
 何度も振るわれる太刀の動きは銀色の光の帯――鋭い無数の剣閃となり、うさぎの周囲の空間を切り取るが如く追い詰めていきました。
 その動きはまさに神速。常人では彼の腕があたかも消えたように見えた事でしょう。
 空中で無数の剣閃に退路を断たれたうさぎは耳、左腕、右足と削られていき、最後に頭を割られその生命活動を停止します。
 無残にも細かな肉片へと変わったうさぎに近付くと、転がっている注射器を拾い上げます。 
(……注射器。若干の薬物反応、成分は……不明、か)
 ガルディアは太刀を鞘に収めるとペットショップの外の方を眺めます。
「似たような動体反応を多数感知……どうやら数だけはいるようだな」
 ペットショップを後にしようとしたその時、彼の背後で物音がします。
「まだいるのか」
 静かにゆっくりとドアが開くのと同時に先手を打たんと彼の太刀が鞘走ります。
 先程と違い一撃で勝負が決するかと思われましたが彼の刃は――――ドアを開けた者の首筋にぴたりと当てられた状態で止まっていました。
 なぜなら、それはペットショップの店員と思しき男性だったからです。
 青年――紡界 紺侍(つむがい・こんじ)は、口端を引きつらせ、曖昧な笑みのような表情で軽く両手を挙げました。視線は、ガルディアの持つ太刀へと向けられています。射るような目と張り詰めた空気が紺侍の肌を刺しました。「はは」、と乾いた笑いを浮かべましたが、本心としては、勘弁してよと嘆きたい気分でした。
 外が騒がしいから見てきてよ、と同じバイトの女の子にせっつかれて様子を見に来たところに、これです。まず状況がわかりませんし、かといって周りに注意を払う余裕もありません。
 どうしよう、と途方に暮れると同時に、凶器が引きました。ガルディアを見ると、無言で刃を鞘に収めています。先ほどまでの殺伐とした雰囲気はいくらか和らいでおり、紺侍は声をかけることにしました。
「あのこれ、なンの騒ぎで――」
 言葉の途中で、猫が牙を剥く際に発する声のような音がしました。
 音の先へと目をやると、うさぎがいます。しかし例によってこのうさぎも、変異していました。え、と戸惑う間にも、うさぎは床を蹴り紺侍へ向けて飛び掛ってきます。牙が、唾液で光るのをひどく不気味だと思いました。後ろに退き、店に戻ろうとしました。ドアが閉まっていました。
「……マジで?」
 遣いを出しておきながら締め出すとは何事か。勘弁してよ、と再び嘆きたくなりました。
 襲い掛かるうさぎを一刀両断のもとにしたのはガルディアでした。
「こんな騒ぎだ」
 血振るいをしながらガルディアは言います。
「……そりゃ、騒ぎにもなりますね」
「戻った方が身のためだ」
「生憎とドアに鍵をかけられまして」
「不運だな」
 淡々と返してから、ガルディアは紺侍にナイフを渡しました。
「折り畳みだが、丸腰よりはましだろう」
「ども」
 バイト中の身ですので、当然武器などは携帯しておりませんでした。ありがたく受け取って、頭を下げます。
「礼はいい。それよりひとつ訊きたいことがある」
「はい?」
「あれが実験動物か?」
 言って、ガルディアは動かなくなったうさぎを指差します。紺侍に覚えはありません。
「? なんのことっスか?」
「…………」
 紺侍の返答に、ガルディアは腕を組み考えます。
(店員には知らされていない……寧ろ知られては困るということか)
 ガルディアはもう一度、依頼のメールに目を落とします。
(この依頼……ただの駆除で終わればいいのだがな)
 小さく息を吐き、ガルディアは携帯を閉じました。
「可能ならどこかに隠れていることだな」
 助言をして立ち去るガルディアの背を見てから、紺侍は彼と逆方向に走りました。

 同階、カートを携えて日用品売り場へ行ったファーシーを適当に待とう、とラスは近くの喫茶店で時間を潰していました。結局誰の買い物にも付き合っていないという事には突っ込んではいけません。
 それからややあって店の外が騒がしいことに気付き、彼は外に出ることにしました。
 すると、大勢の人がこちらへ向かって駆けてくるではありませんか。
 人のはけた先を見てみると、倒れた人間と、床に広がる赤が見えました。
「な……」
「た、助け……」
 救いを求め、赤く染まった手を伸ばしてくる男に数秒絶句し、人々が来た方へと目を移します。そして、人を襲う小さなうさぎ達を確認しました。
「…………! ファーシーは……」
「……あ……、た、たす……」
 日用品売り場へ行こうとして、舌打ちと共にラスは男に近付きます。動かして大丈夫なのか判断する知識はありませんが、慎重にしている暇もなく無造作に彼を背負い込みます。
「これで死んでも恨むなよ」
 とりあえず誰かに託し、さっさとファーシーを回収して逃げようと思ったのですが――
「駄目だ……逃げられない! 閉じ込められた……!」
「何で……、どうしてシャッターが……!」
 次々と耳に飛び込んでくる人々の声はそれが不可能な事を示していました。
 絶望と恐怖の悲鳴は周囲に伝播し、フロアはパニックに包まれていきます。

 一方、B棟五階では。
「ピノおねぇちゃん、そのスカートかわいい!」
「えっ、ほんと? 似合う?」
「にあう! とっても! いろがねー、あってるの」
「え、えへへー。……買っちゃおうかなー?」
「いいとおもうわ! とっても!」
 ピノとクロエが、きゃいきゃいとかしましく更衣室と店内を行ったり来たりしていました。
 リンスはリンスで、人形の服の参考にでもするつもりでしょうか、服のデザインを見ています。
 時折女性陣からの「どっちが似合う?」という質問に答えたりと、あながち暇そうでもありません。
「ねぇ、これとこれなら?」
「リンスさん、これどうかな!」
「……ていうか、ふたりとも、そんなに色々着たりして疲れないの」
「つかれないわ!」
「疲れないよ!」
「……そう」
 始終、和気藹々と楽しそうにしています。

「ひどい、こんな……」
 戻り、うさぎが静まることなく牙を剥き続けるフロアでは――
 有志での治療が始まっているというその場所に、ファーシーは怪我をした人を連れて来ていました。
 怪我人から聞いた話では、うさぎが突然襲ってきた、というのです。
 どういうことか判然としませんでしたが、その直後、ファーシーはうさぎが人を襲う現場を見ました。正直、うさぎとは言いがたい容姿をしていたそれは、見境なく人に噛み付いていました。うさぎの牙は鋭く、怪我人の中には肉をごっそり削がれている者もいました。不幸中の幸いか、死んだ人はまだいません。
 けれど、このまま放置するとどうなるかはわからないでしょう。出血のひどい者もいます。空京という土地柄、中には非契約者の人々もいて。
「どうしよう、このままじゃ、誰かが……!」
『誰かが』の後をファーシーは口に出来ませんでした。彼女はかつて見た光景――魂が不安定になった剣の花嫁達の様子――を思い出します。
 でもこれは、その時よりもずっと酷い状況かもしれません。
「とにかく、血を止めれば助かるはずよね……!」
 彼女は、なんとかしないと、という使命感からここに留まることにしました。

担当マスターより

▼担当マスター

沢樹一海

▼マスターコメント

※本シナリオのリアクション公開は下記表示とは異なり2月14日を予定しております。あらかじめご了承ください。※

◆ご挨拶。
 ガイドを一読してくださってありがとうございます。
 このシナリオは、沢樹一海、灰島懐音、ウケッキ、の三人による合同シナリオです。
 各マスターは担当マスターNPCの登場する部分を執筆いたしますが、担当パートは細かく分かれておりません、あらかじめご了承の上ご参加ください。

◆内容について。
デパートの地下二階で、うさぎと思われる凶暴性の高い生物が人を襲う事件が発生しました。
数え切れない程のうさぎ達に客は逃げ惑い、人々は成す術なく次々と倒れていきます。

そんな事件の起きたデパートで、七人は
・楽しく買い物したり。
・逃げたり。
・治療しようとしていたり。
・うさぎを殲滅したり。
しています。
さて皆様は、何をして過ごしますか?

◆NPCについて。
 このシナリオで登場可能なNPCは、ガイドに登場しているNPC限定となります。

 リンス・レイス、クロエ・レイス、ピノ・リージュンの三人は、別棟で買い物を楽しんでいます。地下での惨劇など夢にも思いません。
 この三人に関わったらほのぼのできるでしょう。
 
 ガルディア・ノーマッドは単身うさぎの殲滅をしています。
 敵を探して動き回ることになるので、継戦能力なども重要になります。
 彼に関わったら敵との熱い戦いが繰り広げられることでしょう。
 ※『ガルディア・アフター』のガルディアは現在暴走状態ですが、こちらのシナリオのガルディアは落ち着いた後で、時系列としては今後公開予定の「ガルディア・アフター 後編」が終了した後となります

 ラス・リージュンは脱出目指してデパートを移動しています。
 別れてしまったファーシー・ラドレクトと合流したら即離脱を考えていますが、ファーシーが人々の治療に当たっているのを見た時点でそこに留まることになるでしょう。
 地下2階が封鎖され、事件がこのフロアだけで起きていると判った時点でピノの事は心配していません。
 割といつも通りなので、適当に絡んでくださると幸いです。ラスがモブ男を背負ってるかどうかはアクション次第。モブ男の無事を祈りましょう。
 ※裏設定:今回未登場のNPCは子守中です。登場予定はありません。

 紡界紺侍は、可能なら脱出したいと考えています。けれど戦闘能力は自衛できる程度しかないので、うさぎに遭う→逃げる、を繰り返していることでしょう。
 地下二階では、彼が逃げ惑う姿が見られるかもしれません。


 それでは、皆様のご参加お待ちしております。




▼サンプルアクション

・相手の数は未知数、なら一人でいるのは自殺行為だろっ

・絶対数には限りがあるはず、一体一体確実に仕留めていけば勝機はある

・うさぎ達から治療スペースを守る

・買い物する

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2014年01月18日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年01月19日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年01月23日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年02月14日


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