シャンバラ教導団

「次の課外授業はイルミンスールの森の中で行います」
　百合園女学院の校長、桜井　静香（さくらい・しずか）が集まった生徒達と他校生の協力者に次の課外授業について説明をしています。
　ヴァイシャリーにあったと言われているシャンバラ古王国の離宮の調査も進んでおり、情報を得るためにも離宮守護していた騎士の１人、悲恋のカルロを探し出し、封印を解かなければなりません。
　同じく騎士の１人であり先に目覚めた麗しきマリルは、過去の記憶が曖昧でカルロが眠っている正確な場所はわからないそうです。
　ですが、シャンバラ古王国時代の知り合い、リーア・エルレンという有名な占い師の魔女の力を借りれば、特定できるのではないかとのことです。
　現在、魔女リーアはイルミンスールの森の中で暮らしています。
「リーアさんの家の側には、神秘的な池があるそうなんだ。その池の水を飲んで体を清めると、頭がすっきりして、過去の記憶を思い出す人もいるみたい」
　リーア自身にも、他者の過去の記憶を垣間見る力があるそうです。
「すっごく綺麗なお花畑に囲まれた池のようだから、お花遊びや水遊びをゆっくり楽しめると思うよ。……だけど」
　静香は少しだけ声を潜めて、真剣な表情で皆に説明を続けます。
　この課外授業は、囮行動でもある、ということはこれまでも軽く話してはありました。
　だけれど、今回はきちんと危険な組織に狙われる可能性もあるということを、一般の百合園生にも説明をしていきます。
「ここに来てくれた皆は、この間の神楽崎分校での悪戯のことも、全て許してくれている人達、だよね」
　静香が微笑み、集まった百合園生達も優しい笑みを浮かべました。
「身代金目的とかで、拉致を目論む人もいるかもしれないけれど、武装していない無抵抗の人々に、危害を加えようとする人なんていないと思うから。皆はいつも通りにしてて大丈夫。でも、単独行動だけはしないでね。……もしかしたら、一緒に行く人達の中に、悪いことを考えている人が紛れ込んでる可能性もあるけれど」
　静香は少し悲しげな目を見せました。
「人を疑うのは悲しいことだから。疑われたらとてもショックだと思うから、皆、友達を信じて楽しもう。何かあったとしても、何かされたとしても、その人にとってはどうしようもない理由があるんだって信じよう。疑心暗鬼になったりしないで、仲良くしようね」
　隣に座っている百合園女学院生徒会執行部、通称『白百合団』の団長、桜谷　鈴子（さくらたに・すずこ）が少し不安げに微笑んで頷きました。
「私からも大切な話があります」
　鈴子は、神楽崎分校で行われたバレンタインパーティ後の事件について、皆に話していきます。
　パーティ後、百合園女学院の生徒と、一緒に訪れた者。それから、神楽崎分校の生徒名簿に記載されている人物は皆無事に帰還しました。
　しかしその後に、分校に登録はしていないものの、分校設立時からずっと手伝ってくれている南　鮪（みなみ・まぐろ）の、パートナーとなったハーフフェアリーのイリィ・パディストン（いりぃ・ぱでぃすとん）の姿が見られなくなっていたのです。
　ぼーっとしている子なので、どこかで転寝でもしているんだろうと鮪は思っていましたが、いつになっても戻ってこない為さすがにおかしいと気付き、青くなって神楽崎分校生と共に探し始めているそうです。
「事件や事故に巻き込まれているようなら、放っておくわけにはいきません。神楽崎分校からの報告待ちですが、もしかしたら白百合団員は捜索に出ることになるかもしれません」

　その頃、当のイリィはとあるキマクの建物の一室で、お菓子をぱくぱく食べていました。
「これ食べ終わったら帰ろうかなぁ。んー、昼寝してからにしよぉ」
　拉致されたことには全く気付いていません。
「よぉ悠司。あのガキ、俺が研究所に届けに行くぜ。手柄を取ったりしねぇって。てめぇも一緒に来んだろ？　幹部に紹介してやるぜ」
「何で研究所なんすか？　あと、もう一つの依頼の方はどうしたらいいっすかね」
　高崎　悠司（たかさき・ゆうじ）が、兄貴分の男に尋ねました。
「さあ、解剖でもすんのかねぇ。依頼の方に興味があんなら、てめぇはそっち行っても構わないぜ」
「考えてみるっす」
　悠司は、部屋の隅でお菓子を食べている小さな子供に目を向けて、考え込みます。

「犯罪者の殺しの依頼が入った。こっちの方が楽かもしれない」
　帽子を目深に被り、マスクをした青年がキマクの屋台で桐生　ひな（きりゅう・ひな）と落ち合いました。
「イルミンスールの森ん中に住んでる魔女だそうだ。過去に、呪術で沢山の人を殺した女なんだって」
「うーん……」
　ひなは首を傾げます。
　確かに最近、その魔女――リーア・エルレンについて頻繁にキマクで噂を聞くことがあります。不自然なほどに。
「他のターゲットでもいいけど……どうする、一緒に来るか？　……邪魔はしないでくれよ」
　青年は真剣な目でひなにそう言いました。

こちらのシナリオは、百合女学院のキャンペーンシナリオです。
百合園女学院のＰＣが抽選で優先されますが、他校の方も歓迎いたします。但し囮行動でもあるため、警戒がされています。顔を隠していたり、身分の証明が出来ない方が百合園生に混ざることは不可能です。
これまでの話は特に気にせず、ほのぼのと百合園の課外活動を楽しむことを目的にご参加いただいて構いません。
こちら闇組織編は後半まで単発風になっております。後半に向かってシリアスになっていきます。参加したい回だけのご参加でも大丈夫です。
闇組織を追っていくことや、闇組織側として活動することを目的とする方は、１回１回の積み重ねも大切になってきます。

尚、百合園女学院キャンペーン『嘆きの邂逅』は２分割となっており、こちらの闇組織編３回に参加された方は、今月下旬にガイド公開予定の離宮編３回にはご参加いただけません。ご了承下さい。

リアクションでの描写は原則１ＰＣ１シーンです。状況によって複数シーンに登場する方もいるとは思いますが、アクションは原則１つの事柄への行動にして下さい。
ＬＣはなるべくＭＣと一緒に行動してください。但し、同じ事柄へのアクションであり、行動が繋がっていれば別行動も出来なくはありません。

今回はＬＣが忘れている過去を池でほんの少しだけ思い出したり、魔女から教えてもらうことができます（魔女が無事なら）。
過去の設定、思い出す内容はご指定いただければと思いますが、どんな過去でも構わない方は、お任せでも構いません。
もしかしたら、皆さんのＬＣが何か重要なことを知っているかもしれません。
深い関係でなければ、マリル、カルロと知り合いだったという設定もＯＫといたします。
ただし、特殊すぎる過去設定は妄想扱いとさせていただきますので、ご注意下さい。

今回のシナリオのメイン舞台はイルミンスールの花畑と周辺です。別の場所や皆が行く日以外の日という独自設定行動はどうかご遠慮下さい。
例外として、闇組織への接触方法を持っている方（リアクションや交流等で）は、闇組織絡みの行動をとっていただいて構いません。
また神楽崎分校に行った事のある方は、分校で話し合いを行っていただいても構いません。

四天王の称号をお持ちのＰＣは、キマクでの行動の際のみ、舎弟を従えた行動を可といたします。

【同行予定ＮＰＣ】
桜井静香（百合園女学院校長）
桜谷鈴子（白百合団団長）
ミルミ・ルリマーレン（鈴子のパートナー。６騎士ジュリオ・ルリマーレンの子孫）
ライナ・クラッキル（ハーフフェアリーの幼子。鈴子のパートナー）
ラザン・ハルザナク（ルリマーレン家執事）
麗しきマリル（６騎士の１人。ルリマーレン家の別荘の地下で眠っていた）
ミズバ・カナスリール（白百合団員、組織の一員だった早河綾の友人）
アユナ・リルミナル（６騎士の１人ファビオと接触したことがある。マリルが何か用があるみたい？）
（その他、瀬蓮とアイリス、ブラヌ、シアルを誘っていただいても構いません。早河綾もお誘いがあった場合、同行するかもしれません）

こちらのシナリオではＰＬ情報とＰＣ情報の違いにご注意下さい。ガイドやリアクションに載っていても、知る手段のない情報は知っているとして行動することができません。
組織のターゲットと報酬の情報につきましては、キマクにある組織のかつての拠点に訪れたことがある方と、既に組織側として動いている方でしたら、知ることの出来る情報となります。
訪れたことがあっても、早河綾に連れられて来た方や、早河綾救出時に組織のメンバーに顔を見られている方は真正面から訪れても追い返されてしまい、知ることが出来ないと思われます。

キマクで流れている魔女の噂については、キマクに訪れることがある人物であれば、聞いたことがあるとしていただいても構いません。

『ハーフフェアリーを研究所に護送』という情報に関しましては、ガイドに登場している高崎悠司さんと悠司さんが話した相手のみ知っている情報となります。
（高崎悠司さんが現在所属している組織の拠点と、かつての拠点は別場所です）

それでは、アクション楽しみにお待ちしております。

・お弁当を作る

・水遊びをする

・身を清める

・カルロの封印を解く

・魔女を討つ