ヒラニプラ北東部。森林を進んだその先に、古びた教会が一軒立っていました。
教会では年老いたシスターが一人で身寄りのない子供達の面倒を見ています。
ある朝。そんな教会で二人の女の子が喧嘩していました。
「あんたが盗んだんでしょ!? あたいがシボラ出身だからって、そんなにあたいを苛めて楽しいの!?」
「勝手なことを言わないで! 私はそんなことしてないわよ!」
泣きながら殴りかかろうとするドゥルムを、リーラテェロは肩を押して突き飛ばします。
尻餅をついたドゥルムは赤と紺のストライプの入った袖で流れ出た鼻水を吹きとると、充血した瞳でリーラテェロを睨みつけます。
「持ち去るの見たってやつもいるんだから!」
「そんなことあるわけないじゃない!」
「じゃあ、今までどこで何してたの!?」
「ぅ、それは……」
問われたリーラテェロは言葉を詰まらせます。
数か月前、“龍頭”の出現によりシボラには大穴が開き、ドゥルムは両親を失いました。
その両親が最後に残した物こそ、彼女が盗まれたと主張する拳ほどの宝石を加工した首飾りでした。
リーラテェロを中心に数名の子供たちは、ドゥルムの肌の濃さや訛りのある言葉使いを理由に、ちょっかいを出していました。
そんな日頃の行いもあって、ドゥルムはリーラテェロが犯人だと疑ってやみません。
「わ、わかったわよ! そんなに疑うなら犯人を捕まえてきてあげるわよ!」
街道から教会へ向かう道を逸れ、森林を進んだその先に目的の場所がありました。
首飾りを盗んだ犯人が向かったとされる、『立ち入り禁止』の看板が立てられた洞窟。
散り始めた桜の木のすぐ横にひっそりと漆黒の口内を見せるその中へ、リーラテェロは虚勢を張りながら入っていきました。
『桜の散る時、冥府の門は開かれ小悪魔たちが踊り出す』
しかし、リーラテェロは正午過ぎになっても帰ってきませんでした。
不安になった子供たちは相談を始めます。
「シスターに知らせるべきじゃないの」「でも、洞窟に入ったのが知られたら怒られちゃう」「テェロに何かあったらどうすんだよ」
纏まらない子供たちの話し合いの中で、ドゥルムは責任を感じて胸が苦しくなりました。
そこで、街道を通りかかったあなたにドゥルムは助けを求めました。
「お願いです! 友達を助けてください!」
『リーラテェロは無事なのか』
『果たして中で何が起きているのか』
『本当の犯人は誰なのか』
物語を解決させるカギはあなたの行動次第です。