イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

季節外れの学校見学

リアクション公開中!

季節外れの学校見学

リアクションが公開されました!

リアクションの閲覧はこちらから!

リアクションを読む

参加者一覧を見る

シナリオガイド

ココが僕等の自慢の母校です!
シナリオ名:季節外れの学校見学 / 担当マスター: 菊池五郎

 それは良く晴れたある朝。
 破名・クロフォード(はな・くろふぉーど)が代表を務める孤児院系譜の前に、緊張した面持ちの一人の少女が居ました。
 彼女の名前はシェリー・ディエーチィ(しぇりー・でぃえーちぃ)。この孤児院の古株で最年長の子供です。
 そのシェリーに自己紹介しているのは、この孤児院に多額の寄付をしているアレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ(あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち)の妹、ミリツァ・ミロシェヴィッチ(みりつぁ・みろしぇゔぃっち)です。
「アレクサンダルの妹、ミロシェヴィッチ家のミリツァよ、どうぞ宜しく」
 差し出された手を、シェリーは怖ず怖ずと取り握手を交わします。
「あ、あの、シェリーよ。シェリー・ディエーチィ。その……よろしく」
 年下の少年少女ばかりの孤児院の中しか知らないシェリーは、殆ど年の変わらないミリツァの大人っぽさに圧倒されているようでした。挨拶がどうしても尻すぼみになってしまいます。ミリツァはそんな彼女に気付いて、優雅に微笑みました。
「あら、あなた随分と緊張しているようね。
 そんな調子では、向こうへ到着するまでに卒倒してしまうわよ」
「え、あ、そ、そうよね。駄目だわ、私。落ち着かないの」
 シェリーは早鐘を打つ胸を押さえて、堂々としているミリツァを少しだけ羨ましそうに眺めました。
 助手席には既に破名が――仏頂面で――待っています。
 二人が歩き出すと、扉の開けて彼女達を待っていたアレクが、妹の名を呼びました。
「ミリツァ」
「何かしら、お兄ちゃん」
 ふっと微笑んだミリツァに、アレクは無表情のまま答えます。
「右手と右足が一緒に出てるぞ」
 兄の指摘にミリツァは耳迄染上がった赤い色を隠すため、慌てて両手で顔を覆いました。どうやら彼女も自分と同じ様に緊張しているようだと、シェリーは微笑んで、少しだけ安心するのでした。



 さて、事の発端は数日前へ溯ります。
 その日系譜へやってきたアレクは、通された客間の向こうから、争う声を耳にしました。
 テーブルの上にコーヒーカップを置いていた手引書キリハ・リセンは、何時もの事だと言うように表情を変えず、言います。
「クロフォードとシェリーですよ」
 シェリーと言えば、この系譜では一番問題を起こさない――とても聞き分けの良い子供の筈。アレクが珍しい事もあるものだと眉を上げると、キリハは説明を付け加えました。
「以前の孤児院の改装の時にどうも触発されたみたいでシェリーが学校に行きたいと言い出したんですが、クロフォードがそれに反対していましてね。それから顔を合わせる度に行きたいの行くなの応酬が毎日続いてるんです。全く、よく飽きないものと感心してしまいますよ」
 表情からは読み取り難いものの、言葉尻から流石のキリハもうんざりしているのが分かりました。
 と、丁度そこで件の二人が客間に入ってきます。
「全く話にならないわッ 頑固者!」
「それはお前だろう。ほら、客だ。大声を出すな。慎め!」
 言葉が悪くなる程ヒートアップしていた様子の二人でしたが、客人が居る事を見つけると、お互いにぷいっと反対側を向いてしまいます。アレクがキリハへ視線を向ければ、キリハはもう関わりたく無いとばかりに首を振って部屋を出て行ってしまいました。
 こうなれば、沈黙を破れるのはアレクしかいません。アレクは仕方なく口を開きました。
「シェリー、お前幾つになった」
 問われたシェリーは破名を見ないようにアレクへ顔を向け、ゆっくりと答えます。
「16よ」
 シェリーの答えに、アレクは考え込みます。
 破名の――恐らく系譜自体の複雑な事情を考えれば、破名がシェリーを学校へ通わせたく無いのは分かります。
 ですがシェリーの立場に立ってみれば、16歳の少女が学業へ打ち込み、同年代の子と接したいというのは、ごく当たり前の欲求に思えました。
「世も知らず一人で買い物も出来ない右も左もわからない娘が、都会でどう生活すると言うんだ。俺はお前に金を触らせたこともないんだぞ。環境が変わるって意味をわかってないだろ、院で生活するのとはわけが違うんだ。それに、そんな金がこの孤児院のどこにあるというんだ」
 破名の『もっとも』な意見に、シェリーは俯いてしまいます。彼女自身、自分が学校へ通う事をどこかしら諦めている所があるのでしょう。しかし可哀想な位しょげたシェリーの顔を見ていては、アレクとしても放って置く事は出来ませんでした。
「金はまあ、その為のスポンサーだろ」
 アレクは自身を示してそう言うと、破名へ向き直りました。
「破名、頭ごなしに否定しても駄目だ」
 保護者だという自覚を促すように静かにそう言って、アレクは続けます。
「それからもう一つ。お前自身、学校がどういったものか分かっていない、そうだろう」
 破名は言葉を詰まらせました。確かにアレクの言う通り、彼は学校――取り分け現代のそれについては、全くと言って良い程知識を持っていなかったのです。
「だったらまず、見学に行ってみたらいいんじゃないか?
 シェリーがそこでやっていけそうか、シェリー自身と破名の目で見極めればいい」
 アレクの提案にシェリーは俯いていた顔を上げ、輝いた目で破名を見上げました。
「お願いクロフォードいいでしょう!?」
 懇願に、破名は肺の底から息を吐き出します。
「……好きにしろ」
 そして、事の成り行きを廊下で待っていたキリハと入れ違いに客間を出て行きました。
「終わりましたか? では予定を決めましょう」
 キリハの言葉を聞いて、アレクは各校への手続きを考えながら、ふと有る事に思い当たりました。学校と言えば、強化人間の手術から再び目覚めて半年ばかりになる彼の妹もまた、通ってはいなかったのです。
「家庭教師は付けているが……そろそろあいつも考えても良い頃かもな」
「どうかしました?」
 キリハとシェリーが此方を見るのに、アレクは間を置いて言いました。
「もう一人連れて行くか」



 こうしてシェリーとミリツァは今日、学校見学へ行くことになったのです。
 一方各校では彼女達の友人や、そのまた友人達が、自慢の母校を紹介しようと張り切って準備を始めていました。

「私、たくさん知りたいの。ねぇ、学校ってどんなところかしら」
「そうね、私も久しぶり過ぎてどんなところか忘れてしまったのだわ」
 シェリーとミリツァの会話を聞いて、アクセルを踏んだアレクは言いました。
「行けば分かるだろ?」と、そんな身も蓋もない言葉に、強張っていた表情を綻ばせる二人を乗せて、車は一つ目の学校へ向かいました。

担当マスターより

▼担当マスター

菊池五郎

▼マスターコメント

■3月11日追記
学校の特色として、天御柱学院に限りイコンを紹介する事も可能です。
今回、投稿時にイコン登録する必要はなく、アクション上で指定することで自分のイコンを登場させることが出来ます。
※自分が持っているイコンは幾つも指定可能ですが、細かなデータなどは参照されず、
 基本的に、数が多いとその分、それぞれに関する描写は少なくなってしまうものと考えてください。

----------------------------------------------
 シナリオガイドをご覧頂き有り難う御座います。東 安曇、保坂 紫子です。
 今回のシナリオは、二人のマスターでリアクションを執筆致します。予めご了承下さい。

 さて、今回孤児院『系譜』の子供の一人シェリーと、アレクの妹ミリツァは、各学校へ見学に行く事になりました。
 そんな噂を聞きつけたPCの皆さんは、二人の見学が上手くいくよう、そして自分の母校の素晴らしさを知って貰おうとアクションを掛けて頂く事になります。
 アクションは、二人の見学を手伝う内容に沿っていれば、基本的に行動は自由で、各校のNPCと協力して紹介する事も可能です。
 各校とは予め許可を取っているため、授業、実習、部活の見学や体験は全て可能な行動範囲になります。
 また、今回は学校生活を見学し、知る事が目的なので、男子校ですが『薔薇の学舎』も回る予定です。

 それでは、皆様の様々な母校自慢、お待ちしております!

 ※こちらのシナリオでは高等部、大学部になどについて明確な描写を行いませんので、年齢や校舎などは気にせずにアクションを掛けてしまって下さい。
 また、他校を紹介するアクションも反映致しますが、アクションをかける学校は一つまでとさせて頂きます。

**********

【登場NPC】

シェリー・ディエーチィ
 孤児院『系譜』の子供。
 幼少の頃に院に預けられてからずっと世間から切り離された環境で育っていたが、契約者達との交流を経て、「学校に行きたい」という欲求を抱くようになったようです。
 散々保護者である破名と言い争っただけあり、今回の学校見学には並々ならぬ期待を抱いているみたいです。

ミリツァ・ミロシェヴィッチ
 強化人間の手術の後眠り続け、半年程前に目覚めたアレクの妹。
 今迄は家庭教師をつけ、自宅学習をしていました。過去、日本での小学校にあたる学校に通っていた経験があります。
 未だ学校へ通うと言う事には余り実感を持っていませんが、見学自体は楽しみにしているようです。

破名・クロフォード
孤児院『系譜』の代表者で名実共にシェリーの保護者。
 学校へ行きたいシェリーに散々反対と言い続けていましたが、アレクの介入により態度が僅かに軟化。そんなに言うのならと学校見学を許します。
 少女達から少しだけ距離を開けた後ろを歩いています。

アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ
 孤児院系譜のスポンサーでミリツァの兄。
 今回は車の運転手件、唯一の常識人(?)として三人に付いています。 
 イルミンスール魔法学校出身で、蒼空学園に通っている為、二校については案内や軽い協力アクションも可能です。


▼こちらのシナリオは各校のNPC(下記参照)と協力する事も可能です。
蒼空学園
雅羅・サンダース三世、高円寺 海、南条 琴乃、ジゼル・パルテノペー

百合園女学院
泉 美緒、ラナ・リゼット、キアラ・アルジェント

葦原明倫館
仁科 耀助、トゥリン・ユンサル、スヴェトラーナ・ミロシェヴィッチ

天御柱学院
アリサ・ダリン、遠藤 寿子

空京大学
王 大鋸、ハインリヒ・ディーツゲン、トリグラフ

イルミンスール魔法学校
シェリエ・ディオニウス

※薔薇の学舎、シャンバラ教導団、波羅蜜多実業高等学校のNPCは登場致しません。

▼サンプルアクション

・学校案内をする。

・部活案内!

・学食紹介

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年03月11日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年03月12日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年03月16日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年03月31日


イラストを設定する 設定イラストを編集/解除する

リアクションが公開されました!

リアクションの閲覧はこちらから!

リアクションを読む

参加者一覧を見る