シャンバラ教導団

　冒険者たちの活躍により、イルミンスールは魔物の襲撃から護られ、魔物を率いていた『氷の精霊』カヤノを捕らえることができました。また、氷に閉ざされたイナテミスを解放するための橋頭堡を築くことができました。
　そして、アイシクルリングの呪縛からカヤノを救うために自らの身を差し出した『雪の精霊』レライアは、『イルミンスールの森』の一部を永久凍土に変えた後、『氷雪の洞穴』の最奥で封印の時を待っています。
　リングの力により洞穴の周囲は氷雪が吹き荒れ、魔物たちも活動を活発にしているようです。
　
「……私が、イナテミス解放に向かう君たちを導こう。諸君、厳しい戦いになると思うが、今一度君たち自身の力を信じ、全員一致して町の解放に努めようではないか」
　集まった冒険者に対し、パム・クロッセを従えたカイン・ハルティスが激励の言葉をかけます。そして、隣に立つリンネ・アシュリング（りんね・あしゅりんぐ）とモップス・ベアー（もっぷす・べあー）に頷いて、席を譲るように下がります。
「えっと……とんでもないことに巻き込んじゃって、ごめんなさいっ！　リンネちゃん……ううん、私、反省します！」
「リ、リンネが謝るなんて、初めて見たんだな」
　突然飛び出た謝罪の言葉に、モップスが驚きの表情を浮かべます。
「――でも、後悔はしてません！　だって、みんながとっても、イルミンスールのことが好きなんだって、分かったんだもん！　……自分勝手にやってきた私が、こんなに愛されてるんだなって、分かったんだもん！」
「……ムチャクチャなんだな。そんなこと言うの、リンネくらいなんだな」
　その後のリンネの言葉に、モップスは冷笑を浮かべます。
「私……リンネちゃんからのお願いっ！　みんなのあったかい心で、寒くてふるえてるレライアちゃんを、あっためてあげよっ！　みんなが頑張ったら、きっとレライアちゃんを助けられるよ！」
　リンネの呼びかけに、モップス、カインにパムが頷きます。
「よーし！　リンネちゃん、大・爆・発！！　だよっ☆」

　冒険者が準備に散っていった後、リンネが端で一人座り込んでいたカヤノに歩み寄り、微笑んで手を差し伸べます。
「一緒に、行こっ？」
「……ふんだ！　あんたの力なんか借りなくたって！」
　口ではそう言いつつ、カヤノがリンネの手を取り立ち上がります。
「……手、あったかい、な。レラも――」
「ん？　何か言った？」
「な、何も言ってないわよっ！！」
　触れた手と手をきゅっ、と握り合って、そして二人は共に向かうのでした――。

　猫宮・烈です。
　『氷雪を融かす人の焔』第三回、ラスト、イナテミス＆レライア解放戦です。
　
　今回の主な目的は、イナテミスの解放及び、アイシクルリングにより暴走するレライアをその影響から解放することです。
　イナテミスには現在、正門に二つ、側門それぞれに一つ、仕掛けを解くための魔法陣が敷設されています。これらに炎を撃ち込み魔力を満たすことで仕掛けを解くことができれば成功です。仕掛けが解放された時点で、魔物は全て消滅し、氷漬けにされていた町人を助け出したことになります。
　炎は魔法による炎でも、燃やしてできる炎でもいいです。魔物の抵抗を突破して門の前に辿り着き、内外から襲い来る魔物から作業を行う者たちを護る流れになるかと思います。
　イナテミス解放が遅れれば、魔物が洞穴へも向かってしまうでしょう。そうなれば洞穴に向かった冒険者が危機に晒されます。
　心して事に当たりましょう。

　レライアのいる洞穴周囲は、豪雪に見舞われています。
　カヤノの案内により道に迷うことはありませんが、寒さ対策はお忘れなく。もちろん魔物に遭遇してしまえば、戦う必要も出てくるでしょう。
　洞穴の最奥で冒険者に猛威を振るうレライアと戦い、抵抗力を奪い去ったところでリングを封じます。
　リングを封じるのはリンネが、担当する意思を固めています。
　リングの力で強化された冷気の応酬に、厳しい戦いになるかと思われます。カヤノの力も借りながら、レライアを解放してあげましょう。
　
　その他、リアクションを魅力的にするアクション、お待ちしています。
　あなたの行動が、レライアを、そしてイナテミスを救うことに繋がります。よく考え、行動を決定してみてください。

　なお、このシナリオは全三回となっております。
　今回は第三回となります。
　前回よりの参加者だけでなく、新規の参加者もお待ちしております。
　
　以上、よろしくお願いいたします。

・イナテミス解放戦に参加する

・レライア解放戦に参加する